第十九話:貴族と平民と 騒動編
教会に新しい奴らが来たらしい。
どこから来たかもわからない馬の骨だそうだ。
孤児院と教会の両方を見学した上で、教会を選んだ変わり者らしい。
理解に苦しむ行動だ。
この孤児院ならばボロくさい部屋で寝なくてすむ。
服もお下がりを着なくてすむ。
食事だって大皿ではなく、一人一人のぶんがちゃんと分けられている。
教会とはくらべる必要もない。
だからみんな孤児院に来た。
そして知った。
僕たちは選ばれたということを…。
僕たちはあの方たちに認められ、名誉ある使命を与えられたんだ。
だから厳しい訓練にも耐えられる。
あの方々のお目にかなうためならばどんなことでもやれる。
ここでは自分以外はみな競争相手だ。
教会にいた頃のように遊ぶこともなくなった。
別に不満などない。
ただ………仲良く遊ぶアイツラを見ていると、どこかイラついた。
さてさて、本日も鍛錬で貯めたストレスを学習会でフォルティアさん(とオマケでルキア)をいじめ…じゃなく、厳しく指導することで発散し、今はみんなで昼飯を食べている。
あ、ちなみにフォルティアさんは道場に帰っている。
師範は料理が作れないので、フォルティアさんが作るしかないそうだ。
まぁ、師範は何でも食べれるらしいが、……ホントに何でも食べちゃうのでフォルティアさんが必ず作ることにしたらしい。
何でも毒草を食ったのに平然としていたとか(フォルティアさんは当然ダウンした)。
今度ぜひともエイミの料理にチャレンジしてもらおう。
「むーっ」
「エイミ? どうかしましたか?」
「なんか、ムカッときたの」
…………この教会にいる人間はカンが鋭すぎやしないか?
「まぁ、誰かが噂でもしてたんじゃないか?」
「むぅ」
よし、バレてないバレてない。
「(ルキフェルってば、あくど〜い)」
「(ならルキアはあれが食べ物だと思うのか!?)」
「(そっ、それは!?)」
「(俺の拳を軽々と弾き、合成魔法を喰らっても再生し、俺たち二人の切札とも言える魔法でオーバーキルするしかなかった…あの謎の生命体を!!)」
俺は思えない……つーか思いたくない。なまじ、材料は普通だったから余計に恐いんだよ。
何か変な生命体でも混じっていたのだと思いたい。
普段食ってるものでもあんな凶悪なものになると思うと、食欲なくすし。
あれに妖(あやかし)がとり憑いたら最強になるんじゃないかな?
「(や、止めてよ!! その想像、本当に恐いよ!!)」
……………………うん、止めとこう。
手におえない感がスゴくするし。
「あ! そうでした、ルキフェル」
「? 何、ミアさん」
「鍛治屋の方が少し手伝って欲しいそうです。この後、行ってきてください」
「うい」
「返事は"はい"です」
「は〜い」
また鉱石運びかな? おっちゃんとこ弟子いないから大変なんだろうな〜。
ま、久しぶりに小金でも稼い…
「あ、それとお金は結構ですと言ってありますから」
ホワイ?
「困っている人を助けるのは当然です。奉仕活動だと思ってやってきなさい」
「え〜〜!!?」
「すぐに終わるそうですから、がんばってきて下さいね」
そんな殺生な〜〜!?
「? ルキにぃ、泣いてる?」
「どこかいたいの?」
「…………ああ」
金に汚くなってしまった俺を見る、二人の純真無垢な視線が特に……な。
「あんがとな、ルキ坊」
「おっちゃん、坊は止めてくれ。ま、こっちもしご…じゃない、奉仕活動の一環だし」
ホントに手伝いはすぐ終わった。
急ぎの仕事で急に人手が足りなくなったらしい。
ま、鉱石運びと完成した品物の配達くらいわけないしな。
「ハッハッハ。あ、それとほれ」
? これって……
「おっちゃん、貰えないよ。ミアさんになんて言われるか…」
「何言ってんだ。ルキ坊に頼んだのは結構な重労働なんだぜ。何も渡さない、じゃ決まりがわりぃぜ」
そう言っておっちゃんは俺に包みを押し付けた。
「まぁ、足りないかもしれんがな。みんなで食べてくれや」
「…ああ。サンキュー、おっちゃん」
俺はおっちゃんに貰った包み、たぶんお菓子か何か
だろう、を抱えて鍛冶屋をあとにした。
今日のおやつはこれに決定だな。
「おやつの時間まではまだあるから、いったんミアさんに預けるか」
教会への帰り道にこの後の予定を考える。
このお菓子は御厚意から貰ったと言えば良いだろう。
そういうのは貰わない方が失礼だろうし。
「あとはアイツラと合流して…」
「(ルキフェルッ!!)」
「がっ!!?」
あ、頭が〜〜!!?
「(って何すんだよルキア!?)」
俺は突然頭に響いた声に、思わず道の真ん中で膝をついてしまっていた。
慌てて立ち上がりながら、声の主であるルキアに怒鳴り返す。
「(大変だよ!! なんか知らない子達に囲まれてるの。物騒そうな感じだし、早く来て!!)」
……なんか本当にヤバいみたいだな。
いつものふざけた雰囲気がまるでない。
ルキアは年少組と一緒に遊んでいたはずだ。
年少組がいる以上、自力での脱出は不可能だろう。
「(わかった、すぐに行く!!)」
そう返答して、ルキアとの繋がりに意識を集中する。
場所を聞くより、こっちの方が早い!
………こっちか!?
俺はコンバットフォームを発動して跳んだ。
道なりに行くより、屋根の上を直線に行った方が早いだろ………後でミアさんに苦情が行くかもしれんが、それは後で考えよう。
しかし、"知らない子達"ね。近所の奴らとはそんなに仲は悪くないはずなんだが…。
別に何かした覚えもない。
つーかあんま遊ばないんだよな。なんか怖がられてて…
「っと、あれか?」
見るとルキアたちは五・六人の俺くらいからフォルティアさんより少し年下の男女に囲まれていた。
たしかに剣呑な空気だな。
「なにするのよ!」
「……なんで」
「うるさい!!」
「うぇーん」
エイミとハルトはともかく、ウィルはもう泣いてるし。
……アイツラ、ただで済むと思うなよ!!
「黙れ!! どうせ助けなんて来ないぞ」
「…それはどうかな〜?」
「その通りっ!!」
ルキアの声に合わせて叫びながら、飛び降りる。
ダンッ!
「なっ!?」
「俺たちに何か用か?」
突然現れた俺にアイツラはビックリしている。
さすがにこの人数と一度に戦うのは得策じゃないな。手加減がメンドイし、ウィルたちを守りきる自信もない。
このまま俺のペースにのせて、隙をついて逃げるか。
「……全員そろったか。ちょうどいい」
「だな。やっちまおう」
「そうね」
「(ルキア。俺が入口側のヤツを倒したらみんなを連れて逃げろ!)」
「(わかった)」
アイツラが何か言っている間にルキアと心の中で作戦会議をする。
場所はいわゆる広場みたいなところだが、人通りの少ない路地裏にあり、入口は1つのみ。
ルキアたちを逃がしさえすれば足止めは簡単だ。
「やれやれ。雑魚が多すぎるとメンドイな」
「なにぃ!?」
「貴方たちごときが、バカにしてっ!!」
ごとき…ね。なんかイヤな奴らを思い出すな。
「ふ〜ん。まぁいいけどさ。ところであの大人って知り合い? 何か怒ってるけど…」
『っ!!?』
おや? 気をひければそれでいいと思っただけなんだけど、想像以上に食いつきがいいな。
これは……
「チャ〜ンス」
「だね!」
俺がウィルとハルト、ルキアがエイミを抱き抱え、一気に包囲網を抜ける。
俺はもとより、ルキアも常人離れした動きが可能だ……まぁ人間じゃないけど。
「な!? 待てっ!!?」
「待てと言われて…」
「待つ人はいないよ〜だ!」
こんなところで絡んできたってことは人通りのあるところではかかってこないはずだ。
俺たちは教会まで大通りを駆けていった。
しかし、これだけじゃ終わんないだろうな〜。
ハァ〜、かったるそう。
「だよね〜」
………だから心を読むなよ。
どうも、読んで下さった方ありがとうございます。
更新が遅れ気味で申し訳ありません。
しかし、行き当たりばったりで書いてるので話の繋がりが微妙だ(汗)
これからもがんばって書くのでどうぞよろしくお願いします<m(__)m>
ではまた次回(^^)ノシ