表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/34

第十七話:ルキフェルの荒行綴り 前編

……………………鬱だ。



なにあの人……マジで面倒なんだが。



あからさまに監視つーか、観察つーか、とにかく見られている。



さらに、道場にはとりあえず見学として行ったはずなのに、強制参加させられるし…。



いや、まだ人がいないのはしょうがないけどさ。



見学に来た小僧を行きなり参加させるか!?



しかも内容も半端なもんじゃなかったし。



バレないよう魔法を使ってた俺でも満身創痍になるくらいだからな、普通のやつなら死んでるぞ。



魔法を使うのはセコい気がしたけど、使わなきゃヤバかったし。



アレは殺す気だったね、絶対。



バレないように魔法を使って、且つ実力を隠しつつ、鍛錬…いや拷問を生き残る。



地獄だ………。



道場を辞めようにも(入門した覚えないけど)フォルティアさんに引っ張ってかれるし。



ミアさんも、俺がいくら訴えても聞いてくれない。むしろ、性根を叩き直す良い機会と考えてるらしい(証言 ルキア)



一度鍛錬を見学に来てほしい。



きっと考えを改めてくれるハズだ。



あれは常人に耐えられるもんじゃない。



まさに人権などない!!! ってくらいだ。



ハァ〜〜〜、エスケープするかな。



ようはバレなきゃいいんだしな。



よし! さっそ…



ガシッ!!



………あのフォルティアさん、離してくれません?



いや、少し用事が…、ちょっとタイムで、ヘルプ〜〜〜!!



(ルキフェル…頑張ってね)



ルキアの薄情者〜〜!!!














ブンッ!


「ッ…!」


あぶなっ! と心の中で叫びながら次から次へと繰り出される攻撃を避ける。


実際は叫んでいる余裕がないから、心の中でしか叫べないんだけど…ってうおっ!?


フォルティアさんの猛攻からギリギリで逃れつつ、一旦間合いを離す。


やっぱりこの人は俺より強い。


年齢差からみれば当たり前かもしれないが、俺が魔法を使ったとしても純粋な戦闘技術ではコチラが劣る。


コンバットフォームによりパワーやスピードで圧倒したとしても、その戦闘技術により俺は負けるだろう。


ちなみにこの場合の戦闘技術には技などの他に実戦経験によるカンも含む。戦闘能力の方がいいかな?


とにかく、命を賭けていたとはいえ、俺のまともな戦闘経験は二回。


さらに言えば、一回目は油断を利用した騙し討ち同然の攻撃で勝ったし、二回目は精霊の力でごり押ししただけだもんな。


まとも、と言っていいのかさえ、微妙だ。


それは俺自身でも解っていたから、どこかで戦闘術を学ぼうと思った。


俺の戦い方は特殊なものだが、根本にあるのは普通の武術。


それに魔法を織り交ぜているだけだ。


ソードとかも適当に振り回してただけだし、一度武器も習った方が良いかもな。


ドスン!


「……ガフッ」


そんなことを考えていたら、ガードをぶち抜くほどの良い一撃をもらい、後ろに吹き飛ばされた。


……戦闘中の、考えごとは…やっぱ、り危ない…な、ガク。


………。


………………。


……………………………。


「坊主。寝たふりはいいからさっさと起きねぇか!」


…………………………………………チッ。


「あの、お父様。本当に気絶しているのでは?」


「ふむ……。よし、フォルティア。熱湯持って来い!」


「はい!……ってええぇ〜〜!!? 火傷しちゃいますよ!?」


「大丈夫だ! 男だからな!!」


「はぁ、わかり…」


「イヤイヤイヤ! 師範、普通に火傷しますから!!」


命の危機を感じて慌てて飛び起きる。


前にもこんなやりとりがあった。


俺はこのまま狸寝入りしていれば帰れる! と思っていたのだが………甘かった!!


あの時は俺を起こすのに、師範は真剣で斬りかかれとか言っていたハズだ。


俺は冗談だろうと寝たふりを続けたのだが………



結果、死にかけた。



フォルティアさんは容赦するどころか、全力で剣を降り下ろしたのだ。


真剣白刃取りが成功しなければ、確実に、致命傷だった。


さすがに文句を言ったのだが、師範曰く、男は命の危機となればどんな深い眠りからも目覚めるもの、だそうだ。


俺は唖然とするほかなかった。


………その条件でカテゴライズした場合、確実に男は女に対してごく少数になるだろう。


ていうか、それを信じるフォルティアさんもフォルティアさんだよな……。


世間知らずにもほどがあるよ。


「何だ坊主、起きてたならさっさと立ち上がりな!」


「虐待しかけといて、謝罪なしすか!?」


「なんのことだ? 坊主なら大丈夫だろう」


「……俺は何者なんすか?」


さっきから無茶言ってるのがこの道場の師範でフォルティアさんの父親である。


正直、この人の教育でなぜフォルティアさんがあんな礼儀正しくなったのかわからない………天然なのは生まれつきとして。


俺も最初はもっと礼儀正しく話してたんだが、いつの間にか微妙にくだけてしまっている。


師範、恐るべし!!


それになんか俺のこと見抜いてるようなフシがあるしな。


たしかに熱湯くらいなら、符なしの簡易版障壁で防げる。


でも、俺が魔法を使えることは言ってないし、バレるような派手な魔法を使った覚えもない。


俺自身の魔力は平民より少しある程度だし、だいたい平民は普通魔力を感じとれない。


………………いや、師範ならカンでなんとかなる気も。


「じゃ、坊主も起きたし再開だ」


「ちょ…」


師範の言葉に俺は思考を中断した。今、再開するとか言ったよな?


「師範! いい加減終わりにしてくださいよ!!」


まず、走り込み。


次に筋力トレーニングを多数。


さらに体捌きや型の練習。


続けて、防御の練習という名目で師範とフォルティアさんにボコボコにされ。


その上でフォルティアさんと組み手をやらされていたのだ。


ちなみに全て俺の体力ギリギリまでやらされる。


詳しい内容は、どこぞの達人が集うところにいる最強の弟子の修行みたいな感じだ。


あれって虐待だよね?


とにかく、俺はクタクタなんだ。


怪我はしてないけど、疲労困憊なんだ。


回復魔法とかはあるけど、俺できないし。


せいぜい、魔力で身体を活性化させる程度。焼け石に水だ。


それにここの鍛錬は肉体だけでなく、精神的にもキツイから魔法を使う余裕もあんまりないし……。


「坊主…」


「何ですか?」


「オメェには正直、驚かされてんだ。聞いた話からそこそこやるとは思ってたが、まさかここまでとは…ってな」


「はぁ」


じゃあアレか?


何度か死にかけるめに遭ったのは俺の力を量るために…


「うっかり殺しちまうようなことをしちまっても、オメェは生き残ってるしな」


うっかりでかよ!?


……イカンイカン、落ち着け俺。


クールになるんだ。


「だからつい、な……」


「……つい、なんですか?」


「どこまでやれるか試してみたく……」


「オーケー…全面戦争だっ!」


俺は師範が最後まで言い切る前に、魔力を全力全開にして突っ込んだ。


コンディションは最悪だが、あの顔面に一発叩き込まなきゃ気がすまん!!


新年明けましておめでとうございます。


読んでくださった方どうもありがとうございます。


なかなか投稿できず、申し訳ありませんでした。しかも微妙に短いし…。


まだ試験が残っているため不定期になるかもしれませんが、よろしくおねがいします。


感想・批評お待ちしております。


それではまた次回。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ