出会い
世の中は不公平だ。
ちやほやされる人とされない人、嫌われやすい人と好かれやすい人がいる。叔母さんはそんなことないって言うけれど、私とあの子に対する皆の態度を見てると全然違うからそんなことあるって私は思う。
あーあ、いいな。あの子はずぅっとちやほやされて生きてくのかな。羨ましいなぁ。
帰り道、1人公園でブランコに乗る。もう、皆帰っちゃったか。じーんと目が熱くなりごしごし擦る。がぁがぁと鴉が飛んで、ひゅっと強い風が吹いた。やーい泣き虫ー!って言ってるようでなんだか悔しくて、唇を噛み下を向く。
「ねぇ、なんで泣いてるの?」
「泣いてなんかないもん。」
「そう?私には泣いてるように見えたけどなぁ。」
泣いてない、そう言おうと顔を上げて驚いた。
「っっ?!?!?!ゆ、幽霊っっ?!」
「あら、バレちゃった。」
目の前に立っていた、その女の人は足が透けていて異常に色が白くテレビで見る、そのままの幽霊だった。
「あっはは、ごめんね。驚かすつもりは無かったんだ。あと、私は君に悪いことなーんにもしないよ?」
ぱくぱくとお魚みたいになっている私ににっこりと笑いかける。
そう言われても、あなた幽霊じゃん。
「で、でもっ、」
「あっ、あのね、私死んじゃってから私の事見える相手が居なくって。だからずぅっっと1人で寂しいなーって思ってたの。だから、話し相手になってくれると嬉しいなーって。」
「うっ......でも叔母さんに知らない人は気をつけてって言われてるし。」
「だって私死んじゃってるから人じゃないもん、幽霊だもん。知らない幽霊と喋っちゃ駄目!とは言われてないでしょう?ね!お願い!」
ぱちんっと手を合わせて懇願してくる幽霊さん。
確かに人じゃないからOK......?でも知らない幽霊さん......だし。うーん、うーんと唸っているとぐぅーとお腹がなった。
「あっ......。」
「ふふ、お腹減ってたのね。」
「だって......塾帰りだし。」
「そっか。ねね、家着いていっても良い?折角のお話しできる人、なんだもの。また1人でさ迷うの嫌だわ。ね!お願い!」
だめー?ね、お願いー!っと私の周りをぐるぐると飛ぶ幽霊さんを無視して帰ろうと歩き出した。
「......」
「ふふ、へぇ、今ここら辺こうなってるのねー。こっちの方は散歩したことなかったなー、嫌、足無いから散歩じゃないのかな、歩いてないし。」
楽しそうに私の横を歩く(?)幽霊さん。
「あの......、私良いって言ってないです。」
「あれ、そうだっけ?んまぁ、良いじゃない!幽霊のお友達出来たって事で!」
「友達じゃないです。」
「あら、冷たい。」
だっっ、と走っても、信号ギリギリで渡ってみても幽霊さんは着いてくる。
取り憑かれてるみたいな感じで、逃げられないのかな。
悪いこと、なにもしないって言ってるけど......。
でも幽霊さん着いてくる気満々だし。
はぁ、とため息を吐いてぐるりと後ろを振り返る。
「幽霊さん。約束守ってくれるなら家に入れても良いです。」
「本当?」
「はい。ぜっったいに、守ってくださいね?」
にっこりと笑いかけ、指で3を作って見せる。
「まず、1つ目。私が他の人と居るときに現れないこと。急に幽霊さんが出てきたら私びっくりして声あげちゃうと思うから。」
「そして2つ目。夜はぜっったいに来ないで。怖い夢見そうだもん。」
「最後に3つ目。宿題手伝ってください。」
「うん、分かったわ。でも最後のはちょっと......。」
「じゃあ、家入っちゃ駄目です。話しません、ずっとシカトします。」
「あーあ、分かったわ。手伝うから。」
おっしゃっ、と内心ガッツポーズをしながら早速算数でも手伝ってもらおうかなと早足で家へ向かった。
((幽霊さんはご飯食べるんですか?))
(え?食べないわよ?あー、でも焼き肉とかお酒とか久しぶりに呑みたい!)
((......要らないんですね、分かりました。))
(えー、冷たいなぁ)