表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
桜のあと  作者: 九七
1/4

プロローグ(始まりの始まり)

初めての作品です。お付き合いいただけたら幸いです。

「ねぇ康介、わたしとバンドやらない?」

 幼馴染の女の子が、唐突に言った。

 黒髪でショートの、小柄だけど快活というイメージを持つ少女。

 いつも、物事を唐突に言い出す目の前の女の子は自分の幼馴染でもあり、多分、幼稚園生くらいからの長い付き合い。

「────いきなり何を言い出すかと思ったら」

 俺は机に突っ伏していた顔をあげ、女の子に目を向ける。

「だって、この前のバンドがすっごく良くってさー」

 目の前の少女は満面の笑みで、小柄な体を目いっぱい使って大きく腕を上下に振る。ペンライトを両手で振っている仕草だろうか。俺の態度なんて、気にも留めない。

 よほど、休みの時に行ってきたライブがお気に召したようだ。

 いつも明るい(ひなた)だけど、ここまで興奮してるのも結構珍しい。

「だから、康介(こうすけ)もバンドやろ?わたしと一緒にさ」

 屈託なく言ったその口調は、笑みを含んでいるものの目は真剣そのもの。勢いの良さに、思わずちょっとたじろいでしまう。

 陽は、こうと決めたらいくら言っても聞かない。過去の経験上、それは一番身近にいる自分がよく分かってる。

 ……頑固というか意固地というか。

「とは言っても、メンバーとかどうすんの?大体、楽器とかの問題とかもあるだろ」

 それと、人数の問題とかいろいろあるでしょ。

「ま、何とかなるでしょ」

 平然と手をひらひらさせて答える陽。

 思わずため息が出る。

 その、何とかするが何とかなりそうならいいんだけど。その無茶ぶりにつきあわされるこちらの身にもなってくれないかな。



「授業始めるぞー」

 先生が、鳴ったチャイムとともに教室に入ってくる。



「じゃ、またね」

 また面倒くさくなりそうだな。

 自分の席にそそくさと戻る陽を見ながら、俺はため息をついた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ