4-27 リーメ君のダンマス日記 勇者が来た
そこから僕たちは真相を知るべく、メルンスタットの街に向かった。当然話に聞いていた、ダンジョンを閉じ、移動することになった。そこで、僕たち30人が働き、家を買いそこにダンジョンを設置することにした。現地に言って情報を集め、あの徴税官がなんて来たのかを知る…そのためだった。歩いて2週間その時々でダンジョンを設置して、宿泊しリューネさんにもらって、スキャニングしておいた。塩漬け肉とママ特製のパン、そしてあったかいスープはみんなの旅を極めて楽にしていた。壊れた道具もすべてダンジョンに入れておけば後で新品に変えれるためかなり便利だった。その最中ガルッチのレベルがアップした。どうもこのアイテムの往復でもDPの消費カウントは上がるとの事で、それでレベル3となりショップにママ特製パン50DPが設置された。
「ダンジョンレベル3になったので、トレード、ショップ、魔力DP変換、モンスター配置変換ができるよ。」
「モンスター配置変換?」
「今まで置いたダンジョン領域にモンスターを転移できるよ。またダンジョンがあるなら、その内部ならどこでも行ける。っていう奴。このダンジョン領域はかなり重要になるよ。」
「条件は?」
「誰にも所有権がない土地か所有者が許可した場合でしか入手できない。そこを手に入れると、モンスターをいつでも配置できるようになる。」
「物は?」
「持って行ける、手にもてる範囲なら…。」
「これは村に戻れるんだ。」
「現在開発中に”ダンジョン機能の一部をダンジョン関係者に使わせる道具の開発もしてるそうなので、期待していいよ。」
「それはいいね。」
そうこうして2週間やっと…
「ここが、メルンスタットの街さ。」
かなり大きな城壁で包まれており、中は石や木の建物がいっぱいある。が、ここは道中のみんなと相談したとおり、脇道にそれ、…近くの適当な箇所にダンジョンを設置。そして外装として今は
テントを張り、モンスターたちで木を切り、家を建てることにした。その間に村のみんなは”盗賊に襲われたので”と言って…少しだけお金持ってホルンスタットに入って貰うことにした。向こうで資金稼ぎができる様ならして、簡単な家を買いつつ、領主の情報を集める。当然、村の戦闘員や、鬼ちゃんをつけて領主が来た時の念のために備えることにしたのだ。そして2週間がたった。今は着の小屋の地下にダンジョンを張っている。
「まあ、予想よりひどいね。」
それが情報収集してきた話を奥さんはきつそうな顔で言っていた。
この領主自身は気が弱く、どうもこの辺一帯の領主がモートリア国の命令で金目の物をかき集めていたこと。どうも勇者召喚には大量の金品が欲しいらしく自分の国独自の勇者を立てるべく勇者召喚の為に税金を取り立てたらしい。そのため領主に対する不満は高く、犯罪が増加していたとのことだった。
「なんか凄い事になってる。」
「でもそんな勇者凄いの?」
あのリューネさんクラスならどうにもならない。
「どうも勇者は元々先代がいたらしい、今の勇者”教授”は2代目らしい。その前は3人いたらしくてそいつらは国を一個潰すほど強かったらしい、一晩で街が消えたとかそんな話聞いた。」
「ついてに、5万とか10万とかいう人間を吹っ飛ばしたのは初代の方、2代目はそれを倒した勇者らしい。」
上には上がいる。そして、教授という奴は仇を取ってくれた人なのか?
「ただ、その勇者は”ギルド”って奴に行っちゃって、で、自分の勇者が欲しいってモートリアの王様って奴が散々騒いだらしい…。」
「なんかすごいね…。というか勇者って呼ぶの?」
「ああ、そうらしい、その王様の部下って奴の話聞いた奴がいたんだよ。それによると勇者は”魔法”で呼ぶらしい。で、そいつは凄い強いんで、呼べば戦争に勝てると、そうなったらしい。」
そりゃあ呼ぶよ、強い人欲しいもん。けどそうなると勇者はSNSで聞いたより早い段階で呼ばれる。そして、ダンジョンを見つけると襲ってくる。
「つーか、そうなると。ここで領主倒しても何の意味もねえ。倒しても、次の徴税官とか来て、食べ物奪って終りだぜ。」
そうなんだ。というより、むしろこの領主は悪くないんじゃ?
「一応みんなには後で連絡するって伝えておいた。」
「と怪しい話な。」
「何?」
「エルフって連中がいて。そいつらがモートリア含め、各地に店を作ってるらしいんだよ。」
「何ぞれ?」
「いやあな、そのギルドって奴。聞いたら、この町にも店があるらしいんだよ。その店が”ギルド”っていうらしい。その中心が、モートリアとか3つの都市と後…エルシュウッドだっけ?そこにあるんだそうだ。で、そのエルフって奴らがいるのは大都市にいるらしい…。どうする?その勇者がいるほうに行って、王様の話をどうにかするか、それか…王様って奴を俺たちが倒すのか…。」
話が大きすぎて訳が分からないって思った。その勇者って人がどんな人もわからないし、それに・・・勇者は怖い。僕たちを見て、襲ってこないとも限らない。たとえ奥さんでも…怖い。
「ついでに魔王っていうのはその前の勇者の事らしい。」
じゃあ、勇者は魔王でもあるのか?でも、魔王ってそういえばリューネさん見た事あるって言ってたな。
ビービービー
警報が鳴り響く、これは…二人?
「侵入者です。2名、子供一名、少女一名。ですが、武器防具を装備してます。戦闘可能な可能性があります。どうします?」
全員に緊張が走る。
「地下のメンバーは避難して。僕たちは上にいてごまかす。」
じっとみんな息を殺している、外では一人の少女と男の子が話してるようだ、緊張感はないな…。
「すいませーん。誰かいますか?」
木のドアを男の子だろう、その子が叩く。
「はーい。」
今ここにいるのは、鬼ちゃん、奥さんと僕だ。ここは親子って事にしてごまかそう。
「ここにリーメって子います?」
入ってきた少年は布の服と…後ナイフ?後ろの美しい少女は木の杖持ってい白い衣を着ていた。が何で僕のこと知ってるの?
「はい、僕ですけど。」
「君か…ふむ、いい顔だな、きっといい大人になるぞ。」
「あいつよりかわいい、これはもてる。」
「どなたです?」
「ああ、私の事は”教授”と呼んでくれたえ。で、」
「ネル。」
「立ち話もきついのでな、奥に入っていいかな。私は君たちの様子を見に来たのだよ。」
そう言うと教授はずかずかと部屋の中に入ると近くの壁に寄り掛かる。ネルもそばに寄った形だ。
「何者なんだい?」
奥さんもさすがに警戒してる。
「勇者、というのが肩書だそうだが、私は好きではない。」
「そして、私が従者。」
「勇者!」
三人、いや、地下にいる人たちも全員叫んでしまった。
「実は依頼があってね、この辺に角が生えた人間がいて、で、そいつに兵士がやられたと、そこでそいつを倒して欲しいと…。」
その言葉に近況が走る。鬼ちゃんも刀に手をかける。
「が、その前に雇い主から”ダンジョンマスター”を見たら保護せよ、と言われててね。で、リーメ君。君を見定めに来た。君はどんな人間なのか。って事だ。」
「分かってるんですね。」
「そうだね、一つリューネ君からも言われなかったのかい。勇者の多くは”鑑定”を持っている、それでステータスを見て…称号である程度のスタンスがばれるのだよ。」
その言葉に奥さんが武器を構える。
「だから対策を立てないといずれ、君たちはダンジョン関係者とばれ、そして人類の敵として討伐される。分かるかね。」
「俺たちをどうしようっていうんだ?」
鬼ちゃんが地味に僕に寄る、
「せめて、DPでステータス偽装を買うか対策を考えるべきだ。が、私のような人間にばれたら最後、ダンジョンは、破壊されかねない。」
「分かってる、だけどみんなを、せめて村のみんなは助けて欲しい。」
「ふむ…。」
少年は微動だにしなかった。
「それは依頼でいいのかね?」
「え?」
「私から言わせれば、それでもう、感動してるくらいだよ。なあ、ネル君。」
「うん、この子なら、きっと大丈夫。」
何言ってるんだ?
「このネル君の肩書は・・・。」
「長い、一回しか言わない。」
「お、おう。」
「エルシュウッド国初代王、エルフの族長、ワークギルド総代表、魔王軍対外本部長、冒険者ギルド特務代表、勇者の従者、エルフの里の商会長、後…基本的に偉い。」
「あと私の雇い主だ。」
え?
「魔王軍?」
「そう、魔王軍。」
「まあそういう事だ、味方だよ。探すに手間取ってな。」
全員が胸をなでおろす。
「という事は、ギルドも魔王軍?」
「そういう事になる、で、ダンジョンマスターは基本個別に聴取後どうするか聞いている。リューネ君は現在初心者ダンジョンを開いてDPを稼ぎつつ、悠々自適ライフだそうだ。」
「で、魔王軍は基本みんなの幸せのために働く。人間歓迎、俺ツエー歓迎。で、みんなの幸せが大事、それが私の思い。」
なんか思ったのと違う。
「魔王軍は勇者?」
「いや、勇者ではない。が、勇者もいる。そして、救援の話は聞いてる。でどうするのか聞きに来た。本当は強行突破して人員送ってもいいけどそれやると印象悪いって聞いた。だから私たちが来た。」
その言葉に全員が、いや口が開いたままの状態だった。
「で、この辺の調査はしてもらった。こういうことはこの辺の…いや、この大陸のどこでも起こっている。大方、どの国に逃げても一緒。」
「それは?」
「王たちは全員今、勇者を呼ぶべく金品を探し出している。それが今はどこにもない状態にまでなっている。今まで呼ばれた勇者は二人、それで三つの大都市の領主の金品が尽きてる。だから各地で
王家主導で略奪も起きてる。」
「とりあえず、私たちに害意はない。もしよかったら皆さんの意見も聞きたい。情報を聞いて、みんなで判断して欲しい。」




