4-20 ドラゴンマスターリューネ 魔王の支配が見えるギルド
改めて下に降りると酒場は宴会で、みんな盛り上がり、店は男女問わず数人が働いている。カウンターの定位置にあのギルマスがいる。降りる前に偽装はしておいた。まあ、見られていいものではないし。
「終わりましたか?」
ギルマスは真面目に帳簿をつけている。
「そういえば仕事は?」
「そこにお仕事ボードがあります。その数字を言ってくれれば伝票と、あと受諾表出しますよ。」
依頼ボードを見ると、
”城壁建築工員一日5銀貨”
”薬草回収依頼一束5銅貨”
”野草懸賞金 未発見草木、買取相談”
”動物生態 レポート募集 買取相談”
…
「そういえば…貨幣単位ってどうなってるの?」
「最近切り替わったんですよ、世界会議で。」
「へぇ。」
「それで、私たちギルドが管理してます。で…。」
100銅貨=1銀貨 パンとスープの基本食事が銅貨2枚。
物の基本単位が銅貨5枚分でワンセット ここの宿屋が一晩銅貨50枚
100銀貨=1金貨 この店のエルフ塩の塩漬け肉と塩掛け野菜が2銀貨
高級家具が1金貨
らしい。パンとスープセットの基礎職で銅貨2枚か…。で、この店の外食が2銀貨。
「今流行中のエルフ塩です。後、木工工芸品などもありますね。武器防具は受注生産です。ただし金額が10金貨から、頂きます。」
すごい高いな…。ただ、これ魔王軍開発の武器防具なんだよな…。工芸品は、この…レストランのおまけおもちゃカウンターか、ここは。が、あの時見たエルフの里にはなかったポーションとか、オーツ木のナイフとか、あと、塩1瓶 5銀貨…何これ、ネル様人形?後、ネル様御言葉集?
「それですか?それは、勇者を手助けしたエルフの英雄であり族長の”ネル様”の人形と、名言集です。もはや神!もはや天使。そこで布教活動として、こうして私の独断でこうしてネル様の…。」
そこに置いてあるのはネル様という…金髪青目の幼女らしいエルフと思われる人形と、白く、手荒い紙に書かれた”ネル様マイスィート”と書かれた、中身見たくない、薄い本より怖い。
「す、凄いですねえ。」
「暇つぶしで買って行く人多いのですよ、ほら、あそこに名誉会員の勇者様の話があり、パレードも行われたのでそのため、我らエルフは胸を張って生きていけるのです。」
よく見るとメガネかけた少年?と思しき絵と、それに従う、白い衣の少女の絵だ。勇者。あれか…。
「それは絵心ある方に書いてもらった、この地の戦勝パレードに来た勇者”教授”とネル様の絵です。」
ん?教授って個人名?
「ああ、勇者様はそう呼ばれるのが好きみたいで、その名前を好むのです。で、ネル様はその窮地を救い、王たちを救った英雄として語られています。」
ネル様ねえ…この金プレートの話からすると、これを持っているのは”教授”そして、魔王軍関係者のみ、って事はネル様は当然”魔王軍”って事になる。魔王軍幹部以外”持っていない”のだから。思いっきり世界支配してるやん。裏から。これは勇者が俺ツエーしても必ず”ギルドがしゃしゃり出て旨味貰う”って算段だ。内政チート、してもいいよ、魔王も利権貰うよって事だ。恐ろしい…。無論”金カード”は勇者がギルドに来たら発効される。その場で”位置情報”ごとゲットされ襲来も感知可能。って事だ。勇者が手のひらで踊らされるのが分かる。最悪”教授”も踊ってるのではなく”仲間”の可能性がある。怖い怖い…ただ、この情報は逆に”仲間”であるうちは決して裏切らないと言える。話聞くと”SNS”で聞いた勇者よりこいつは”二回り”は恐ろしい。なんと言ってもステータス2ケタで5ケタ即ち1000倍以上と普通に戦えるのだ。それは赤子のうちから私が今挑んで勝てるか怪しいとまで言う内容である。そんな化け物相手にしたくない。怖い怖い。
「依頼はこれくらい?」
「今はこれくらいです。現在我らギルドが援助金を出して、各町を城壁で覆うための関連の依頼を領主様主導のもと実行してます。魔王軍はどうも凄いらしく対策を我々が提言いたしました。資金こちら持ちです、ただいずれあの領主には本当のお客さんになって欲しいんですけどね…。」
これはインスタンスダンジョン対策だな。がこうしてみると魔王軍はどっちの味方やら…いや人間だろうな…私も元は人間殺したくない。強いやつなら試してみたいが試すまでだ。殺すは違う。そういえば 手元の金カードのメニューからDP金貨変換を選び、一枚だけ、金貨を作る、MP1000分だ、回復は寝て起きればいいのでいいのだが…。一日金貨4枚…大体パンとスープが200円と換算
すると…。大体100万円って事になる。金貨は。すごい物価だな…。
「これもネル様考案で”各地で金が銀貨の価値が違うと商売しづらい”だそうでそれを統一したのです。」
実際貨幣を発行する上で、ここは”仮想通貨”としてギルド員が仕事した分を発行できる。という事になる。これ、最悪首根っこマウントで握ってない?ま、うちらはDPを交換できるようになる
ので凄い楽なんだけどね。ダンジョンマスターの生活が楽になる。
「で、今カードに入ってる金貨、銀貨にして降ろして。」
「はい…これで…はい、これになります。」
そこには銀貨100枚がある。いいねえ、これで当面生活できる。仕事なくてもいいじゃん。私!これはニート生活がはかどる。魔力だらだら流せばその分稼げる。が…それは飽きるな、きっと
この調子だとレベリングは。
「そうだ、なんかあったらでいいから、連絡くれない?私、ちょっと戦闘とか興味あるんだ。」
「分かりました。後採取系とか行けば獣もいるでしょう、お肉とか喪買い取りますよ。後毛皮も。」
「了解。じゃ、今日は寝るよー。」
「ではお二人様で、お題は一晩分はもらってあります。こちらで。」
ギルマスは木のカギを二つ差し出した。そのまま、この世界で初めて、ベットで寝た。風呂?ないですよ。今までずっと…そういえば、便意も汚れもなかったな、べたつくとかなんでだ?
朝起きて、衝撃の事実をバンバン知って手に入れたこの金カード朝起きて二やつきながら降りてくると、朝も一応人が入れ替わっているものの店員が忙しそうに働いている、唯一は…
ギルマスだろう。受け付け、仕事、料理の会計とかなり忙しい。
「すいませーん、このエルフ特製ふわふわパンとこのサラダ一つ。」
「はーい。」
奥から普通のお姉さんが来て、そして、ちょっと火であぶったパンとそして、例塩が入ったサラダである。パンは、うわちょっと柔らかい。ちょっとというのが微妙だがそれでも十分。
あとサラダは、…もしゃもしゃ…何これ、うまい!地球よりサラダが旨い!何これ、侮ってたわ。これもしかして…。
「もしかしてこれ、全部同じエルフ塩?」
「はいそうです。塩漬けも、サラダにかけた塩も全部エルフ塩です。少しの量でもばっちり味が出るので、この量でもおいしいんですよ。」
魔素吸収得てから飯も食わなくていい身だがこれはうまい…。特にこの塩分に旨味感じる。いいねえ…。りーもそうだったように一心不乱に食べている。これは凄いね・・・。さて、腹いっぱいに
なったところで…。
「さて、どうするか…。」
色々アイテム登録して、金貨手に入って。で…おいしいもの食べたから、もう終わりなんだよね。やる事。そういえば市場は見てないな…。
「リー。行こ。」
「は。」
そう言うとさっとリーが私の後ろをついてくる。
「どうする?」
「私としてはこの様子だとこの辺にダンジョンを開設して、DP稼ぎたいですね、ただ、危険地帯なので、何とも言えないのですよ。」
そう、この辺はそれなりに人がいるのと、実はここ、今見て気が付いたが、海に面した街なのだ。海向こうには小さな諸島がある。無人島だろうな…。適当に探せば無人島のほどほど近い立地の
ダンジョンが作れる。但し、私はダンジョン作ってしまえばその島から出ることはできない。そしてダンジョン領域は”誰も所有権のない土地か、自分が所有する土地に限り領域設定ができる”ので
ここではできない。が、対岸のあの島は可能性高い。ここが拠点ならやりやすい。まあ、最悪は逃げればいいしダンジョン5階層程度なら作れる。作って今のうちに荒稼ぎできるポイント
”初心者ダンジョン”の利権を得る、これでDP稼いで、封印や制限を買い戻す!とりあえず、対岸に渡ってダンジョンを組む!




