外伝 東雲惠の魔界探訪 エルフの里
「ここがエルフの里?」
私たちは数歩歩くとそこにはエルフの里の入り口があった。
「ああ。ここがエルフの里だ。」
看板には”おいでませ!エルフの里!”と書かれた極採色の看板と一応ツリーハウスになっている木々の間にたくさんの観光客と思しき人々が群れとなっていた。エルフの里だよね。ここ?
「まあ、説明する間でもないがここは元々この世界が危機に瀕したとき唯一残った最後の防衛砦であり・・・。」
「ここには冒険差ギルド本部と、この世界の事実上の最高権力者”エルフ評議会”が住んでいる場所。」
「ハーリスさん。」
隣には幼女が立っていた。
「来ちゃった。」
「手伝ってくれるの?」
「転送ついでに勇者の検証。」
周りは私たちに気が付いてないようだ。
「でもこんな観光地化しないよね?」
「ここは昔というか、一か月ぐらいかな、ネルが住んでた。」
「へぇ。」
「で,ネルがいることを知ったエルフたちが大挙してここで、”ネル様わっしょい祭り”なる行事してた。」
…どこの世にもそんな奴がいるんだ。
「で、それ以来ここはエルフの聖地となった。」
「何かいろいろ端折り過ぎな気がするが…。」
「で、今でもエルフ生誕の地として。エルフ、そして、暇な冒険者がここに来るようになっていた。で、いつの間にかこうなった。」
なんかすっごいにぎやかだもんね。
「そういえば、ユーちゃんの様子確認に来た。」
「ユーちゃん?」
「うちのダンジョンの幹部でユーちゃん。」
なんかかわいい子だといいな。
「と言っても元気だと思うよ。ほら」
そう言って里の奥を指さすとそこには巨大な大木があった。視界内だと、幹しか映らない。
「あれがユーちゃん。」
「木だよね。」
「木。」
「木です。」
「木なんだ。」
とても巨大な木がそこにあった。
「まあ、この里が安全である理由だし、あの子がいるからここはこれだけ魔力が高い。ただあの大きさだろ、動かすわけにいかなかったの。」
「確かに…。」
「ついでにあれで、ちゃんとこっちの声聞こえてるんだぜ。」
『あー。ばーかーにーすーるーなー。』
「何?この声?」
「これがユーちゃんだ、あいつは念話でしか話せないからな」
念話か…。
『よーろーし―く―。』
「よろしくね。」
すごいかわいい声だ。
『かーわーってーるーねー。』
「何が?」
『まーえーかーごーかーったんーだー。つーかーってーいーいー?』
よく分からない。
「加護?」
「対象に自分の力の一部を与えるスキルです。効果中は称号に変化が起きます。」
そんなスキルもあるんだ。
「このスキルは強力な反面、持っている対象の数が多いとどんどん弱くなります。本人が弱くてもダメですけどね…。」
「うーん、まだいいかな。私の力でやっていきたいし、」
『わーかーったー。』
「あ、そういえばそのスキルってさ後で解除できる?」
『うーんー、やーってーみ―タ―。でーき―た―。』
「ならすぐに解除していいから一度だけ、加護お願いしていい?」
そうすると私の体の周りに光が…すぐに収まった。
『アーレ―?』
「ハーリスさん、この加護って、本人は対象にできたっけ?」
「よく分かりませんが、基本はできないはずです、」
「分かった。」
ふっふっふ。記憶の蘇った私に不可能は…ない…はず…きっと。
「よく分からん。称号…ないよな…。」
「はい。」
ハーリスも私を不思議そうに見ている。
「それあとのお楽しみね。」
少しうきうきしてきた。こういう試すのも楽しいんだよね…あの頃は楽し…おばさんジャンこれじゃ。
「さて、今日は泊まる?」
「んー。そうしてもいいが…。」
「私が仕事してもいいでしょうが、これにとらわれるのは…。」
少し苦い顔をしている。それくらい、ここは忙しいらしいのだ。
「だな、それに頼むにしたって…。」
「レベル10は欲しいです。」
「それじゃ行きますか…。」




