外伝 東雲惠の魔界探訪 レベル3の草原
ハーリスと、ネルとはここで別れ、草原に来ていた。草原にはちらほら少年たちがみんな同じような剣や盾を持って何かを探しているようだった。
「一応さ、うちらダンジョンモンスターはハーリスに聞くことで、周囲の状況をマップで見れて、敵もいないなら探してもらえる。そして、この辺に出る敵の大体の目安であるエリアレベルとナンバーも確認できる。」
「エリアレベル?ナンバー?」
「この世界は今、最大レベル5のエリアが王都クラスが2か所および、森、海、山、湖で4か所ある。この箇所はあたい達でも苦戦するほどの敵がいる。もう少しレベルアップしてから挑むことになってる。」
「はい。」
「で、それに近い危険地帯のレベル4地帯の複合エリアと、レベル4純正エリアっていうのがある。複合はレベル5ができて出来た。”海+森”とか、”山+森”という地形な。」
「はい。」
「そこにも独自の生物がいる。ついでにレベル5山である”デルゾー山脈“には近くに鉱山都市が密集していて今のところそれに隣接するレベル4鉱山ともどもかなりの大鉱脈となっている。」
「さっきも思ったんですけど、名前安直ですよね…。」
「いや、シオバニラは普通だろ…。」
「まあ、いいですけど。」
後で絶対バニラアイス食べたら混乱するね。
「で、モンスターが出てくる最低限度はレベル3。この辺でちらほら、レベル3森林が訓練用にある。」
「それ以下は?」
「普通にちょっと深い森とかむしろ安全な森だ。動物しかいないしモンスターは出ない。当然経験値にはなるが逆にレベル3の周りにおいてそのモンスターを増殖させている。」
「さっき間引くとか…。」
「このレベルなら、むしろ生成数が足りないくらい。材料も大量に欲しいから。」
「そうなんだ。」
「ほら、あれ…。」
しばらく先を見ると子供たちがみんな同じ格好を射て、ポコポコ犬を叩いている。
「ああいう感じで、冒険者ギルドは難民の子供とか、後…子供たちを実践慣れさせることを推奨している。」
「防具はどうするんです?」
「ネルの弟子の冒険者ギルドの副ギルド長が付与術師で、鍛冶師なのさ。で、確か付与魔法レベル10
を持ってる。」
「へぇ…。」
「で、その能力で”プログラム付与”をつけてあるから、年齢が10から15でレベルが10未満に限り、防御力が凄い上がる”初心者用の鎧”と同じ条件で”自傷解除機能付きの”初心者の武器シリーズ”を装備させてある。一応安全なんだぜ…あれでも…。ついでに、売れないし、捨てたら、自動でこっちに帰ってくる。」
「よく考えられてますね…。」
「ただし、装備できないゴーストはあれの恩恵にはあずかれない。ついでに、ギルドカードも”装備品”扱いだから装備できない…。まだ…。」
「うわぁ・・。」
「それだけ強いなら、いらないんじゃ?」
確かに長谷川ちゃんとかに隠れてスキルの練習とかしてたけど、実戦で殺すのは初めてだ。
「いえ、戦闘を一人でやったことなくて…。」
「ならいいチャンスだな、あんな子供に負けるなら、後がつらいぜ。ほら、あそこ、一体いるぜ。」
そこには少し小さめの鹿がいた。
「ん?」
名前:なし
種族:パルプガゼルLV4
職業:なし
ソウルレベル:1
STR:22
VIT:12
INT:6
MID:4
AGI:42
MAG:0
スキル:無し
称号:なし
所持金:なし
費用:422DP
TIPS:草原や森林にすむ低木の森林に適応したガゼル。攻撃方法は早い突進からの体当たりのみ。但し基本臆病なのでそれもめったに見ない。パルプガゼルの由来は昔こいつの糞を使って紙が作られていたから。その為、一部の地域では今でも”益獣”扱いされる。
「あれくらいなら狩れるだろ。」
「やってみる。」
この世界は弱肉強食、私はもう…異世界に来ちゃったんだ。やるしかない。ごめん、鹿さん。手を突き出すと、光の矢ができる。これは魔力の矢、攻撃魔法の初歩で、属性のない魔力のみの存在だ
ついでに当てると、ちょっとくらっと来るだけ。がそういえば昔あれやってたっけ、ちょっとやってみるか。簡単に一分でいいかな。それを貯めるためにしまう。魔法の矢を手から離すとそのまま
霧散した。
「何やったの?」
「ちょっと昔思い出したんだ。」
そう、私の能力”溜め攻撃”は攻撃を貯めることができる。貯めた攻撃はストックすることができ、ストックしている間も”溜め続ける”そして貯めた時に”溜めた攻撃である項目”をある程度
コントロールできる例えば、破壊力、スピード、大きさ。何も考えていないとまんべんなく上がる。そして一分くらいチャージすると
「行って!魔力の矢!」
そう言うと…。うわ、早い。打ったところから着弾まで全く見えなかった。そしてシカは見事に…死んでいた。
「流石勇者様…。」
「初めてだったけどうまくいったね…。」
これ実は、同じ攻撃手段に限り”発動を重ねること”ができる。これでさらに火力は上げることができる。ついでに勇者のころはこれで、発動が遅い魔法を貯めておいてストックしておいた。
ちょっとヒールとか、あとフルエンチャントはチャージしとこ。
「やっぱり勇者様は違うねえ…。」
「まあ私はナオ君のおまけだったから、ずっと。」
そうお姉ちゃんとして勇者頑張ってたけど、さすがに本気出したい黒いナオは強かった。スキルも何もないけど頑張るあの子が好きだった。今でもきっとそうだよね。
「これだけ強くて?」
「強い、じゃないかな?なんだろう…頼もしい?」
「うーん。よく分かんね、とりあえず…。」
キャー!
「ん?」
「悲鳴だね…。」
ちょっと遠目を見ると、街道から一人の女性が走ってくる、衣装は皮鎧に服…冒険者かな?そして、追っかけるほうは20人ぐらいの…。
「ゴブリン?」
「おいおい!お前らお嬢さん怖がらせたらあかんぜお、姉ちゃん、物騒やき。うちらと一緒にうちもまで来んか?」
「いや、いや・・・。」
ゴブリンは方言丸出しではあるが、普通に会話してる…そして反対側は…冒険者の少女が一人…。ちょっと鎧とか留め金外れちゃってるよ。ちょっと少しこの辺でいいか、仕込んでおこ。
「行ってきな。私はここで見てる。」
「分かった。」
そう言うと女性のもとに駆け寄った。
「何してるの?」」
「あんた…モンスターか?」
「ま、そういう物だよ。で、なにしてるの?」
そのゴブリンの顔は全員がエロい何かを見てる目だ。
「ああ、俺達さ、この辺を縄張りにしてんや。でぇ、うちん縄張りで採取とかしとんけど、怖がっちゃってさ。だけん、うちまで来て休みんさいと思って。」
「なら、私街まで送っていこっか?」
「いやあ…うちらん所まで来て欲しいんよ。」
ああ、これはナンパして、失敗してるパターンか…。
「お嬢さんはどうする?」
「わ、わた、私は…通りがかっただけで襲われ、おそ、襲われ…。」
これは怖がっちゃってダメだね…。」
「落ち着いて話せる場所まで行こ?
「ちいと待ちんや。うちらん縄張り荒らしぃ、このまま帰すん、いかんけん。ちいと姉さんだまっときや。」
どすの利いた声だ…だがここで下がったら…。
「怖がってるじゃん。」
彼女の目の前に立つ。
「なら、あんたぁ落とし前付けるんか!」
その声と共に全員が刃物を抜く。
「それだと正当防衛でいいよね?」
「なんだぁ!」
私は手を出して、手のひらを見せつける。
「なんじゃあ!」
ズゴォォォン!
空気の震える音が、周囲にこだまする。単純に手のひらから貯めておいた衝撃波っていう奴である。実はこれ、本来は魔導士が寄られた際に使う防衛用の魔法。相手を吹き飛ばして、身を守るためのものだ。あの頃はこういうの無くて明かり用の”光の灯”を使ったっけ。で、そいつを貯めておいて、今撃ったのだ。まあ、よく吹き飛ぶこと。
「あまり不要な殺傷は好きじゃないんだよね。帰ってくれる?今度から。」
そう言うと手を上に掲げ、加算矢を打ち出す。これは魔法の矢を複数同時に打つ魔法で、火力をはね上げるものだ一発は低くとも、火力はそれなりで、他のスキルで言う3レベル火力魔法と同等の威力を持つ。実際かなり強い。尚、加算数に寄りMP消費は跳ね上がる。
「これとかが相手だと思うんだ。どう思う?」
流石に魔界と言えど…魔法相手だと震えてくれるらしい。
「い、いやあ、姉さん。」
「平和って素敵だと思うんだ。何もないっていいよね。わかるよね。この子は責任もって私が連れてくし。」
「分かりあした。みんな、帰るぞ!」
そう言うと慌てて全員…何人かナイフとか落としたまま逃げ帰っていった。
「大丈夫?」:
「だ、大丈夫ですけど…お姉さんもモンスターでしょ?}
「悪いモンスターじゃないよ。」
「そ、そうなんですか?」
「一緒に街に帰ろ?そこで落ち着けばいいと思うんだ。」
それから彼女を立ち上がらせ、そのまま城門に向かっていった。
「あ、ありがとうございます。命の恩人です。」
「いいのいいの。困ったときはお互い様でしょ。じゃあね。」
そう言うと元の平原に戻ろうとした
「あたしならやってたね。やっぱりその辺が違うのかねえ。」
「ヨミさん。」
「参考なったよ、ああいうのもあるんだねえ…。」
「まあ、さっきの話聞いてると、誰も死なないのが一番いいのさ。」
「かねえ…やっぱり勇者様は違うよね…。」
「どうして?」
「スキル見て。勇者の力が2になってる。」
勇者の力LV2 (特異系)
勇者の力を持つ、勇気ある正義の行動を行うと成長する。今は成長+1、必要経験値取得2倍 また、特異系スキル習得可能 必要DP 取得不可
はは、元だよ、元勇者。なのに…。
「レベリングはこの辺はちょっと…東雲ちゃんだと足りないかもしれん。せっかくだから、エルフの里行ってみる?あそこは敵のレベル高いから、惠ちゃん満足できるかも。」
「エルフの里?」
「ああ、一応この世界で一番安全な都市。」
「エルフ…。」
エルフか―。みんなネルちゃんみたいにかわいいんだろうなー。
「とりあえず、ハーリスがうちら、監視してるはずだから、送ってよ。」
【了解。エルフの森の手前地点に転送します。】
その言葉ともに…私たちは転送されるのであった。