3-17 やっと僕は仲間と一緒
「お疲れさまでした。」
私が気が付くとそこは、会社の応接室?会社だろうか、一人の女性が忙しくパソコンを打つと一人の女性が青く俯いていた。
「私のオフィスよ。」
その声の先を見ると椅子には東雲ちゃん。そして、大きな机の向こうには女神がいた。
「死んだんだ。」
「そゆこと。」
「最後はどうなったの?」
「先に一言だけ言わせてね。…うん、もしさ、気が付いているんなら即座に最初の初手で攫えばよかった。」
「召喚の時?」
「だっておかしいって思ったんでしょ。」
「うん。」
確かに、一回目の召喚の時はステータスは実は1ではなく10だった、それで急いでステータスを普通人平均に偽装したんだ。が、見たステータスはそれより低い1だった。赤ちゃんでも2とかあるのに。
「そこで気が付くべきだった。何かある。何か起きるって。」
「でも、ほらすぐに何か起こるとか。」
「起きたでしょ、まあ、私から言わせるとこれだけ徹底的にナオ君弱体化させたんだけどそれでもまあ、勝てなかったね。」
「え?」
「最後のあれさ、ネルちゃんじゃないんだわ。」
「何?」
「話続けるわよ。実は約束だと誰が記憶保持者かわからないってなってるんだけど、そうなってない人は見ていいんだよね、そこでもうわかってたのよ…。そうでない人間を鑑定してはいけないってなってなかった。」
そういえばそうだった。
「で、あえて、あれだけわざと許可したの。で、ナオ君はスキルも、ステータスレベルもスキルも全部なしにしてそのうえダンジョン以外、武器防具もダメにした。でも勝率は変動しなかったのよ。」
「え?」
「何やってもあなたが見せ場なく死亡するって出てた。あまりに差がひどかった。」
なんだ、結局に何やっても無駄だったんだ。まだナオ君のお姉ちゃんは遠いや…。
「で、あなたたちのためにさらにいろいろやってみたけど、あれが限界だった、すまないわね。」
「何で謝るの?」
「見せ場はあれくらいしか作れなかった。」
「結局ナオ君はどうなったの?」
「まあ、それはそこみればわかる。そしてあなたには住民を痛めつけた分として、働いて欲しいのよ。ついでに東雲ちゃん。」
「はひ!?」
「あなたはさ、ちょっとお仕事あるから頼んでいい?褒美は…記憶保持でいいかなちょっと待ってね。」
そう言うと女神はどこからともなくスマホを取り出し、耳に当てる。
「うん、だから、東雲ちゃんはソウルレベル4になるから、コスト払ってもらうのよ全部。ここまで大きいと私が払うにきついんだから。分かった?」
「何なの?」
流石の長谷川も呆然だった。
「うん、あの子さ、蘇生できるんだわ。」
「え?」
「で、記憶あげるから、ナオ君しばらく補佐してあげて。後長谷川ちゃんは、罰ね。」
「茂樹は?」
「勇者の称号はく奪以降の虐殺主導の罪でちょっとガチの贖罪してもらう。私一応世界の管理とかしてるから、ああいうの嫌いなんだ。だけど、純愛も理解してる、あなたにも罰は受けてもらう。
いいね。」
「はい。」
「後で処理するとして、さっきの回答ね。死因は圧迫死。」
「何が起きたの?」
「まずダンジョンを足元に入り口作ってで、ダンジョンの海底にそのままドボンで、入った瞬間海底の圧力にかかりそしてその圧力で脳が締め付けられ、死亡。攻撃でないので”耐性”も効果な
かった。」
「何それ?そんなのだれが想定するの?」
「しないよねえ。だってエレノアちゃんと、ネルにダンジョンって入ってたし、ヒントで、魔塩も見せたじゃん。でもそこにたどり着くのは無理だよね。」
「さすがにだと思います。」
「さて、東雲ちゃん行ってらっしゃーい。」
そう言うと東雲さんの姿は薄くなっていった。最後にあいさつ位したかった。
「さて、見てみる?私たちしばらく出番ないから、一緒に見るの楽しいよ。」
ナオは残った戦場で一人泣いていた。戦闘が終わり、回収がここまで出なかったのだ。向こうではきっと宴会をしているのだろう。ネルは向こうに参加してもらっている。僕の足元には姉ちゃんの死体があった。
「さっきからゴーストの製作しても反応がない。」
「さっき神様から伝言をいただきました。勇者の従者扱いなので、ソウルレベル4が欲しいと。」
「コストは?」
「一億DP+魂10万人分。」
「ある?」
「あります、ぎりぎりですが。これを行うとしばらく、いや数十年はソウルレベル3の新規部下の作成が困難となります。」
「お願い。」
そう言うと渦巻くように光が集まり…。一つのゴーストが出来上がっていた。
「ナオ君?」
立ち上がった女性はその死体と一緒の姿、軽くまとめた髪になじみある顔だった。
「姉ちゃん。」
「ナオ君!」
東雲は抱き着こうと…体をすり抜けた。
「ゴーストだからね…今は…。」
「そっか。でもよかった。生きてた。」
うれしいのか泣いていた。
「良かったですわ。」
「あなたは魔王?」
エレノアの声に驚いていた。
「いえ、正確には魔王はナオのほうですよ。」
「え?」
「魔王城のダンジョンマスターであり、魔王城主はナオですよ。」
その言葉にナオを見る目が輝く。
「あなたは?」
「代理?」
「あの強さで?」
「私なんてナオ様には遠く。」
「まあまあ、いいじゃねえか。」
体の薄い女性が来た。この人もゴーストだろうか
「新入り、よろしくな。」
この彼女は私の背中をドンと叩く。
「よ、よ、よろしく。」
「あたしはヨミ、さっさと帰って飯でもしようぜ。やっと本当に終わったんだ。これからは楽しくなるさ。」
東雲の目に映ったのは魔王という印象とは程遠い暖かい家族のようなものだった。
これで3章終了です、次は外伝が数話続きます、




