11-37 東雲恵の魔界探訪 災い転じて福に強引にしてしまえ
映像を確認すると、後宮が光った直後森の一部も光っていた。そして飛び立つ鳥、大方宮永が放った夜行性の鳥の偵察隊だろう。その映像が映った。
『ナギサから報告がありました。どうも小学校が召喚された模様。学生が転移した可能性あり。建物も存在している模様。』
このハーリスの報告にさらに度肝が抜かれた。
「優ちゃん。」
「連絡しておいたけど…。」
「私たちはゆっくり戻るよ。」
「うん。」
そこから戻るまでに当然地下室は大混乱だった。小学校の召喚というのが問題である。この世界において召喚される際に建物は一緒に召喚されてこなかった。しかもほぼ同時で2か所で召喚が行われ、しかも事故が発生した。さらに間が悪かったのが…。
「おい、なんか変な建物がどうもこの森内部にできたらしい。」
戻ってきた私たちと同時に興奮冷めやらぬ顔で話すのは宮永と勇者たちだった。一応普通の夜景が終わった形で帰ってきたが。一番知られちゃまずい連中に知られたらしい。
「ああ、どうも小学校っぽい。報告に戻るぞ。」
「…分かった。」
その報告の直後、ばれるのを覚悟でヨシカゲも偵察の鳥を向かわせ、映像を確認。ザガートン西部に小学校ができていることが確認できた。
「小学校か…ガキしかいねえ…。」
勇者たちの落胆の裏でヨシカゲは興奮していた。
「お手柄だぞ!お前ら!まずはここを制圧する。宮永に伝えろ!裏切っていい。まずはあそこを奪う!」
私は顔をしかめていたと思う、気が付いたか。
「どういう事だ?」
「ああ、小学校だろ?ガラス、この世界に無いんだぞ?転移してきても身の回りが限界だ。そこに水道は?蛇口は?そいつをダンマスに売ればどれだけの大金が手に入る?」
その時全ダンマスが止まった…。勇者もだ。
「理科室があるか?模型は?本は?売れるだろ?この系統が欲しいダンマスは死ぬほどいる。いや全員欲しがる、当然スキュラもな。亜人もだろう。ここを握ることで俺達はトップにのし上がる!」
「「おおー!」」
会場は興奮のるつぼとなった。が当然ここは亜人同盟の領域内。正確には隣接の為の空白地だが…。
「最悪戦争になる出陣準備しろ。向こうに到着後、本陣を向こうに移す!」
「了解だ!」
「私たちは?」
「…お前たちは疲れただろうから留守番だ。」
義景は興味なさそうに…
「あと…。」
「私たちは念のため警備を、」
大木戸含む4名のダンマスが手を上げる。
「軍は出せよ。今回は最悪亜人と戦争になる。」
そうして彼らはレイドを発動、私が見ても大軍だと思うほぼ全軍を出陣させていた。ついでにレベル10ではないので、ここから砂漠を横切り昼夜を問わず走ることになる。
「いいんですか?」
「うん、指示が来た。」




