11-35 東雲恵の魔界探訪 こそこそ
「これはチャンスですね…。勇者を確保すれば…。」
その日の夜、月下の庭園の重要幹部だけを集めた会議が行われた。この情報で勇者が確定的に成功するとわかっているのは魔王軍だけである。がそれ以外において勇者の召喚儀式というのに興味があるの全員である。
「エースを送り込み、勇者を亜人から奪い、俺達がトップに立つ!」
ヨシカゲの宣言に全員が勢いよく歓声を上げる。
「…できるならね。」
ただ一人、ケイはこの様子を呆れてみていた。優は体内に籠り、シーアは周りの鑑定をするべく、錐の状態でこの場にいる。
「そうなんですか?」
小声で、大木戸が聞く。
「当然こういう時には教授と、ネルが来るんだよ。もっと警備を厚くして…。」
ケイが目を上げると…目の前にはアップになった。ヨシカゲがいた。
「大丈夫だ。そこは考えてある、旧魔王軍トップのネルも今では傭兵らしい。そこでだ。私は亜人同盟のスパイに頼んで、警備員の枠を開けてもらった。」
「おおー!」
「…大丈夫?」
「でだ!」
その先の内容を聞いて頭が痛くなってしまった。
「では、枠用意しますね、」
ケイがマジックフォン越しにハーリスに相談した次の言葉がこれだった。
「いくつ?」
「全部差し替えで。」
「・・・え?」
「出せますよね、それにそっちの方が安全ですし、ネルの代理出してくれれば、後は、外側からの追加警備に配置します。」
できない事はない。自分と自分の首、およびサブマスターの魔人たちで固めればいいし、シーアの能力でだれの代理も可能だ。が、警備全部差し替えは規模が違う。
「第一、さっきの話だと千鳥万花も来る可能性があります、なら安全第一で行くべきかと、勇者を攫うなんてされたら困りますし、この情報が拡散されるのも困ります、」
ハーリスの懸念もそうだ。実際注視してる理由がある、先の勇者召喚から一年くらいは経っていて、成功したという実績方に広がり、勇者召喚が拡散して欲しくない。その為には情報を絞る必要がある。先ほどのスパイの話もあるとおり、亜人同盟のマスター内は一枚岩ではない、その中で”勇者召喚”情報は貴重ともいえる、特に今までは小さい国家で行われていたが、今は勇者を囲い込む運動がダンマス間で起きている。その中で増やせるということ自体が知られてはいけないのだ。が実際には月下の庭園は勇者を使い、千鳥万花も勇者を持っている、方のダンマスはまだ勇者を持っていないため、勇者を自分たちの部下として各地で争奪戦が始まっている、
「ナオは?」
「不測の事態に備えるべきだと。最悪は…。」
「分かった。で、今回は私だけ?」
「一応ネルが。後、楽園には食事の準備を手配しておきました。警備の人向けですけど…。」
「…おまけでちょうだい。世話になってるダンマスの所にお土産でもっていく。」
「…一人分でいいですか?」:
「10でお願い。」




