11-28 東雲恵の魔界探訪 ダンジョンと会議するよ
「ここが…。」
大木戸といわれた、青年は洞窟を歩いてしばらく行ったところで少し大きめの部屋にベットが4つ、
「ああ、僕のダンジョンでもあるけど部屋は作っておいたよ。僕はお前たちを信用してない。おかしい、ハイエルフってあれだろ?モンスターだろ?」
「うちらは、モンスターあらへん、所属とか亜人の連中に聞いたけど、あらへんやろ?」
『その通りです、彼らの所属を示す称号はありません。』
「だから、おかしい。こんな重要人物が何で僕たちの所に来た?」
「…何が言いたいんや?」
「お前たちの正体は何だ?ここは僕のダンジョンであり、外は庭園のダンジョンだ、逃げられない。ここで僕が処分してもいいんだぞ?」
「協力者欲しいし、やっちゃう?ちょうどよくダンマスさんいるし、」
「いいね、お姉ちゃん。」
「な?」
大木戸が離れようとするが、それを何かが防ぐ。
「コアは…ちょっと待ってね。」
優は平然とした顔をしているが…体から緑色の霧が噴出していた。
「あ…な…。」
「ケイはん。手加減したってな。この類は本来ヨミはんの方が得意なんやから。」
「分かってるよ、ね、優ちゃん。」
「うん、部分憑依で記憶読み取って説得中。でコアは…。」
『何を企むんですか!』
「一応私もコアと同じらしいんだよね。で、私のダンジョン入口があなたの表面を覆っちゃってるから、私の許可なしで、DPの回収ができなくなってるよ。」
『え?』
空間中に間抜けな声が響く。
「舐めたらあかん。あんさんは聞いたことあるやろ?」
「んー、リーに聞いたんだけど、情報は規制してあるみたい。だから私の事は知らなくて当然だよ。必要な情報だけをハーリスが認可で流しててるから。私のことは知らなくて当然だよ、ダンジョンウマウマ。」
『な!ダンジョンが食われている!』
ダンジョンにおいてそのすべては魔力で出来ている。濃厚な魔力が固まりそれが壁になる。という事は魔力を吸収できさえすれば壁もすべて吸収可能だ。ダンジョンや世界樹の根は魔力であっても餌にできる。当然お互いを張り付ければより力の強い方向に吸収される、その為基本ダンジョン内にダンジョンはできない。お互い反発しない場合どちらかが急襲してしまうからだ。そしてダンジョンはダンジョンの壁及び外側から吸収する。のでその表面をより強い吸引力を持つ何かで覆ってしまえばDPの回収ができなくなってしまう。更に。その吸収を強めればダンジョンであっても吸収可能だ。現在その世界樹の根を変幻ノ王の力で霧に変え、ダンジョン全体の地鳥数ミリを覆っていた。
「どうする?降参する?このままあなたを餌にしていいんだけど…。」
『…マスターを保護してもらえるなら…。』
「そこは容認するよ。ね、お姉ちゃん。」
「やっぱりハイスペック妹だわ。」
その頃には大木戸も解放されていた。
「お前たちは一体。」
大木戸は息を荒げていた。憑依され、体の自由を奪われ…内心恐怖していた。
「あんたらの懸念はあってるねん。モンスターはモンスターでも、うちらは特別や。特にこのお方は。で、補填はどうするねん。」
「いましばらくこのダンジョンから組織のデータとスキルを引っこ抜く。で、黒か白か判別したい。君は協力してくれるなら見逃してもいい。犯罪歴はなさそうだから。むしろ被害者?」
「だね。搾取される側。庇護を求めてこっちに来て、当てが外れた感じ。」
「お前たちは?」
「みんなの前で言ったやろ?対勇者戦力の”S級冒険者”や。」
『「な!」』
ダンジョンコアも含み驚愕だった。
「えばり過ぎはよくないよー。」
「カラムの悪い癖だ。」
早音も呆れた顔で壁に寄り掛かっていた。
「もういいやろ、もう猫被らんでええねん。最近ねーちゃん、受付業務でイラついてうちの所に襲撃してくるねん。やっぱり適材適所って嘘やろ?」
「あの子は…やれることが無いの。ある程度地位が無いと、もみ消し効かないし、戦力では上だから。敵地に近い箇所に置いておくにはちょうどいいの。」
「…ほなそれでいいわ。」
「で、コアさん。」
優が魔法で椅子を作るとそこに座っていた。
『私には、エミという名前が…。』
「じゃあ、エミさん。まずは私と秘密協定を結びましょ。情報交換、報酬はDPでいい?」
『え?あ?なんで?あなたがコア?え、ダンジョンマスター?独立?会談が成立しています。』
「ああ、言うてなかったんやね。この方は”生体ダンジョン”でもあるんや。そして内部の首共々独立可能や。」
「は?」
「第一、あんたら魔王バトル見たやろ。あのクラスやで。そんな甘えた能力持ってへん。」
「カラム!」
「すんまへん、さすがにケイはんを馬鹿にされるのはネル様馬鹿にされるようで嫌いなんや。」
「…俺達は殺されるのか?」
「特にあの薔薇のヨシカゲは討伐依頼が来てる。が、私としては被害者がいるかとか、後状況を見たい。場合によってはって事よ。」
「…ここはそれなりに大きい…月下の庭園だぞ?そこに査定か?」
「…ま、そういう事。但し、よっぽどひどいころをしない限り…正確には堕ちた勇者が出ない限りは手を出さないよ。」
大木戸たちの疑問の顔になっていた。
「そんな重要なのか?堕ちた勇者って奴は、勇者の連中はあんたらの戦力と聞いてるぜ?」
「うちらから言わせれば、勇者はお客様や。但し堕ちた勇者は国を一度…人類を滅ぼしかかってるねん。文字通りの全員死亡エンドや。で、そうならんように協定で堕ちた勇者になった存在だけはどんなそれまでが凄くても即時討伐が決められてるねん。そこを抱えるダンマスも一緒や。これはギルドが存続する理由や。勇者を落ちないようにしつつ、出来ればダンマスと共存できるようにして…堕ちた勇者が生まれんようにする。」
「堕ちた勇者…勇者が化けるのか…。」
「ついでに正義に怒るなら、殺人も、生きるに最低限度なら窃盗しても勇者は堕ちた事にならへん。が身勝手な悪意で人を殺したりすることは許されてへん。」
「ダークヒーローは許可されてる。が、泥棒は許可されてない、スーパーパワーの代償と言ってもいい。」
「じゃあ、谷口達や、あの勇者たちは…。」
「あ、座っていいよ、後会談が機能してるときは外に会話が漏れないから大丈夫。秘密協定はアナウンスも泣かれないし、」
大木戸は椅子を召喚すると座り、お互い話す体制になった。」
「…とんでもない所に来ちまった。僕みたいな弱小ダンマスの寄り合いだからな…ここは。一人がダメならみんなでカバーすればいいって、あのケイブみたいなものが作れるってここに集められたんだ。が、これだと泥船だぞ…ギルドの総力戦なんて、あの亜人…。」
カラムが何か話そうとするのを、ケイが手で止める。
「あまりぺらぺら話すと、彼も被害者になっちゃうよ。だから必要な事だけ話す。とりあえずあなたは私達を信用して、かくまってくれればいいよ。」
「え?」
『それがよさそうです。どうも彼女たち、いや彼女は我々の考える規模を通り越す規模のダンジョンの模様です。庇護に入るなら彼女に頼り力をつけるべきかと。』
「そんな大きいの?」
『私たちの年収を数秒で通り越すレベルの巨大さです。むしろ乗り換えてでもすり寄るべきかと、』
大木戸もまさか笑みに前言を翻させられつい3人の女性を見つめてしまった。この外見のどこにそれがあるのか…一切不明だったからだ。




