11-18 ナギサの道 真・緊急事態
それから三日たち、小隊はかなり夜まで馬車を走らせ…土魔法の操者を交代して、三日目になっていた。実際一週間かけて馬車で行く所をここまで削ったのでかなりの時間短縮である。現在は野営警護中で、ここは防砂林がある。野営に適した地域だ。ここを超えるとしばらく荒野なんだよな…。がこの時異変があったのは私たちの…いや金ガードの方だった。
『警告。ザガートン西の国、バルマギア公国にて勇者召喚の儀式発生。儀式は通常の失敗ではなく、アイテム消失の上何も起きなかった模様。現在召喚勇者総数が19につき召喚は成功したと見込まれる。またこれに伴い調査員を派遣中。詳細は後日連絡。各員各地域の警戒を密にしてほしい。』
これがダンマスSNSの特殊欄に流れたのだ。このカードは地下室専用なので通話機能がある、早速ハーリスに連絡した。
「勇者は必ず、19とかの規定数に以下になると”召喚”されます。この時必ず召喚は”成功”するはずです。が、今回は失敗ではなく別の事が起きたらしいのです。またこれに伴いダンマスもどこかに発生します。いずれもあなたの”同胞”です。で、位置は確認しました。こちらで観察を開始します。が、最悪はその商隊抜けてでも確認お願いします。世界の滅亡までありうるので。」
「分かった。」
「主様。」
「勇者召喚が起きた。が、今までにない事例らしい。そこで、月宮。偵察を頼んだ。私はメールでレイジーを呼び出す。」
「では、少し木の上に行ってきます。」
そう言うとギルドカードからレイジーに呼び出しメールを打つ。流石の動きに野営していた…依頼主の…後で名前を聞いたのだが…メル・ジーンがこちらに寄ってきた。
「何があったんです?」
「いや、ギルドから…。」
「主!」
慌てて、月宮が走ってくる。
「怪しい建物を発見しました。そういえばメル殿この辺に建物は?」
「いえ、ここは宿場が欲しいとは思ったけどないはずよ、ここから先も2日は野宿の予定。」
「建物の形状は?」
「学校です。」
「は?」
その言葉に私と、メルは耳を疑った。
「何この建物?」
メルが言うのもわかる。私が抱え…。メイジーを警護として商隊に置き、私がメルを脇に抱え、そこに見たのは…私からすれば最小単位の”小学校”だった。が、この世界の人からすれば巨大な遺跡だ。よく考えれば私も女の人をわきに抱え…よく平然としていられるな…。
「学校です。リンシュメルトで見たのと似た外見から。」
ナイスフォロー。月宮。
「じゃあ、リンシュメルトからこれが来たの?」
「いえ、あれは勇者から来た施設を真似たから、これは召喚されたんだと思う。どうする?」
「商売のチャンスではあるのよね。ただ、これ大方私の手では負えないし、大きすぎる。今は商会員連れてるけど、」
「ギルドの方から来ました…。確認開始します。」
突然の声にメルト私は後ろを見る。ハーリスさんだが…髪の毛の形が違う?
「で、メル様にギルドから依頼伝票を確認しました。なので、追加で依頼を行います。ただ、あなたの要件を終了させ次第こちらの件に、関わって欲しいので、商会員への解説お願いします。」
「依頼ですか?」
「緊急事態なので、報酬はカード経由となります。預金に直接送付します。なので夜明けになったら、まずあなた方は自分の要件を済ませ次第、送付した依頼伝票を確認してください。」
「は、はい!」
「月宮君。まずはメルを送って・・・。」
「は、はい。」
脇に抱えたメルを月宮に渡す。デュラハンなので、腕力はあるし大丈夫。
「彼女の警護は私が代わりにやります。があなたにも依頼があります。」
「はい、現在スキャニングをかけ、データ収集中ですが、精密スキャニングをかけ、文明データをもらうべく…。」
遠目に見る学校…。
「スキャニングに45時間かかります。その間、内部にいる勇者含め全員を建物から出さないでください。また…現在確認中なのですが・・。」
「何?」
「生存者の全48名、全員勇者です。」
「はい?」
何その、勇者祭り。
「私もその気分です。データの精査中です。で、増援を送り、本来はと思ったのですが、リューネとは連絡がつかず。ケイは特殊任務に就き、動けません。なので、私は現在事態のバックアップとスキャニングで忙しいです。エレノアは現在非常事態待機中となってます。後南は現在支度が終わり次第ドワーフの飛龍部隊と一緒にこちらに向かうそうです。向こうが言うにはパルマギアを一週間でギルド下に置く。だそうで、勇者の数が多すぎて、政変をかけ、国を裏から支配下に置くようです。あそこはまだギルドの範囲ではないので。」
なんか凄い事になってる。
「教授、ネルは連絡がつかず、リーメは現在パンダ同好会の抑えに教授の代わりに入ってます。なので、動ける人間があなたしかいません。 運がいいのか悪いのか…。」
確かに…。
「で、ナオの命令により、私も意味が半分つかみかけるのですが、本当に起こると思います?南は起こるといってました。私は救援待つと思いましたが。」
ハーリスも理解できないらしい。
「最終的には学生のみで、この学校を脱出。近くの村まで彼らだけで到着させよと。」
これはラノベで言う教室遭難ルートだ。脱出させ、後は個別となり主人公だけの冒険となるのだが、勇者の数が異様すぎる。
「また、これに伴い、手の空いているエルフたちを周囲に展開させ、各ダンマスの監視を行っています。」
あ!そうか!これだけ大量に勇者があれば、生贄、DP,魔王バトル、いくらでもできる。これが見つかればダンマスはこの建物だけでも奪いにくる。
「が、主体的にはこの件はあなたにお任せします。またこれに伴い追加依頼として、勇者たちを”自分から接触をさけ”近くの村まで護送するように。相手に鑑定持ちがいる場合があるので貴方の称号はかなり危ないです。」
「…傭兵経験あるけど厳しい依頼ね。了解した。」
「では、私はこのままスキャニングデータの回収を急ぐので後はお任せします。経費は後で回してもらえれば払います。メルの護衛の引継ぎに行きますので。では。後メールで、状況確認の送付を行います。情報の出し惜しみはしません。時々確認してください。特に上司に今、問い詰めてますので…。」
そう言うとハーリスは、木の陰に隠れて、消え去ってしまった。
「そういえば、上司って誰?」




