11-15 教授の章 依頼交渉
「ちみが、ちみが伝説の”教授”だがね?」
目の前の太った男…いや変身だと好きな姿に変われるから、美男子が多いはず、となると、これは人化の低いレベルか?太った体に脂ぎった肌。少し趣味の悪さを感じるな。
「そう人から言われている。」
「そうか、私はカンパニーのトップ、オーダインちゅう。まあ、金持ちだがね。」
転移者か。海川という名前が見える。ステータスに特筆すべきステータスがないので、表示は割愛するが、こいつがスキュラカンパニーのトップ海川だ。という事は、ダンマスか。ついでにダンジョンレベルは10だ。ファクターも蛸である。
「で、依頼は何だね?」
「ちみが伝説の勇者なら、きっと魔王を倒せるはずだがね。だから倒して欲しいんだがね。」
「倒したことあるが?2回ぐらい。」
「え?」
その言葉に若い青年も、海川も固まった。
「よく、聞こえなかったのかね?倒したことがあるから有名勇者なのだがね…クックック。」
「そ、それは頼もしいのだがね。なら…。」
「だから、今更、魔王を倒したところで、有名にもなれんぞ。」
牽制を入れておく。
「いや、そんなつもりはないんだがね…。ある大会に出て欲しいんだがね?」
「大会?そんな勇者の無駄遣い。何をやるんだ?」
「魔王バトルというのだがね。」
「魔王?クックック。魔王がいるのかね?」
つい口を押えてしまう。分かっているんだよ。大体の思惑は。だが頷くわけにいかないのだよ。
「あ、ああ、いや少し待つのだがね?魔王というか…なんというか…。魔王は…。」
「社長。これはほかの方に合わせて、その方に。」
「わ、分かっただがね。君にはまずこの船を警護して欲しいだがね。それを見て決めるんだがね。」
そう言う事か、これはスキュラカンパニーが勇者を…試験して殺したって事か…。という事は、今回勇者はほぼこのスキュラに独占されたことになるな…。残すは学校と、あと二人だけか。
「で、では、こちらに…。」
そう言うと、扉が開き、
「報酬は?そして何で護衛が必要なのだ?魔王が海にいるのか?」
「その可能性があるんだがね。報酬は…ウーム、。」
実は受ける際に報酬は事後交渉と書かれていたのだ。ここで聞かないと報酬が受け取れない。
「金貨5でどうです?」
その言葉に私はダークボックスから金の代わりに使えると保存しておいた。スキルオーブを取り出す。
「この光魔法のオーブで金貨が70だ。それより安いのかね?」
「光魔法のスキルオーブ…。」
二人はその光に目を奪われる、そしてそれを懐に隠す。
「君たちは世界最強と呼ばれる勇者を呼んで、この大陸でここまで来る飛龍便の行きの値段の半分で済ませようというのかね?せめて、さっきのよりは報酬をいただかいと。受ける気さえもない。」
流石にこの値段で受けると、囮だとばれる。それ位安すぎるのだよ。ついでに光魔法のスキルオーブは勇者大陸だと、70ではなく金貨200で取引される。というのも勇者に憧れる商人の多くが
欲しがるので、この値段でも品薄になるのだ。70はこっちの大陸の最安値のさらに0.7掛けの捨て値同然の価格だ。ついでに魔王軍では闇のダークボックスのほうが使い勝手がよく、光はお金
である。ナオの許可で、スキルオーブの重複使用の話が勇者に広まって以来さらに値段が上がっているのだ。
「実は数人勇者を雇っていまして…その方と一緒なのです。」
「なら、逆に要求する。その子たちに伝説の勇者が、この程度の値段しか払われないとばれたら。ギルドと私の信頼が落ちる、今後の世界情勢さえ視野に入るほど…それは薄給なのだよ。」
「う・・・。」
変に安い金額で受けたのが広まると、実は後輩の勇者が困るのだ。安く叩かれる原因となる。だから下がるわけにいかなかった。
「それでは成功報酬で…200でよろしいでしょうか?」
それでも平均値段より安いが…囮だから仕方ない、受けよう。
「ふむ、構わない。後、街の外に待機している。従者も呼んでいいかね?従者がいる話はきっと…。」
「いやいや、だめです。」
二人が慌てて首を振る。
「何でだね?」
「いやいや、あなたに依頼なのです。だから…。」
慌てて青年が全力で手を振る。
「ふむ…。なら仕方がない、後で従者には…帰ったら合流する話をしておく。でどこに行くのだね?船は?」
「大体一か月ほどかかる…島ですね、そこまで。そこで交易後、戻ります。」
「ふむ。分かった、」
そこで試験か…。




