11-6 ナギサの道 ハーリスの依頼
「という事は粛清やん、腐っとる…。」
事情を聴いたカラムはイラついた顔になっていた。
「でも…。」
ナギサは元来た道を見つめていた。
「ちっと待っとき・・・ああ。」
ギルドカードを絡むが耳に当てる。
「どうも、複雑やね…わかった。…緊急適応了解した。」
「何を?」
「深淵や。ワイはそう言っとる、むろん慣れているんやが、ワイらの上はえぐいんやど。」
「確かに…。」
木の脇から金髪の幼女が出てくる。
「ひっ。」
ナギサは驚いて、飛びのいた。さっきまで誰もいない空間から現れる少女にびっくりした。
「確かに確認しました。緊急事態…というより、時間が欲しいと判断しました。ダンジョンは閉めましたか?」
「・・・ん?}
「DPポイント確認…。出来ます。まずはあなたを強化して…スキルオーブを駆って、消費後にコアに頼んでレベルを8まで上昇させると、ダンジョンを閉めることができます。今回はこれが必要
と判断します。コアは最適解を開始してください。」
【了解】
ナギサが抱えたあタブレットから声が聞こえてきた。
「なんで?」
コアの越えがタブレットからするのは聞いたことがあるが、自分以外の命令で動くのは初めて見るからだ。
【ハーリス様です。ダンジョンカスタマーです。】
「…ダンジョンカスタマーセンター?」
【ダンジョンの苦情を解決する専門部署です。現在最適化ルーチン確保、アイテムを購入しし、最大DP残す最適購入パターン確認、】
「使用先はマスター本体強化を行ってください。」
【了解しました、購入完了。ダンジョンレベルを8まで上昇後確保完了。ダンジョン閉鎖処理に入ります。設計図を残した後、全部DPに変換し、閉鎖…完了しました。】
力が全部入ってくる感触が彼女の中に残った。
「こんなことができるんだ。」
「これを使い、旅行しているダンマスもいるんですよ。さて、こちらに。」
ハーリスがそう言うと…木の後ろに階段ができていた。
「ここは…あの時の…。」
それは浮遊島の…2階の宿屋だった。一回だけ来た初心者講習で使ったので部屋の構成は覚えていた。
「ダンジョンがない場合、移動、宿泊はそのダンジョンの開設で行います、前のダンジョンは設計は…再起に時間かかりますが、再現可能です。」
「ここはあの部屋?」
「はい、浮遊島のギルドです。ここをこの目的で使うのは緊急事態のみです。」
周囲は8畳間位のほどほどの広さの宿屋であり、そこにカラム、ハーリスと3人がいる。
「じゃ、ワイは探ってくるさかい…。ネル様によろしく頼むで。」
「分かりました。メールはこちらから送っておきます。」
そう言うと、カラムは階段に戻り、ハーリスとナギサの二人だけとなった。
「現在、ランキングから、あなたの兄上の詳細を確認しています。が…個人ランキングから月下の庭園の消滅を確認。…現在…確認完了、緊急事態。あなたに依頼があります。」
ナギサは…泣きそうな顔をハーリスに向けた。
「なに?」
「こちらにおいで下さい。もし嫌だと言った場合、今回は無理やり引きずります。」
はーリズが厳しい目つきで、ナギサを見つめる。
「行くわ!行けばいいんでしょ?」
ハーリスの後をついていくと…ギルドの酒場・・・に今は人がいない…そして、店員たちが見守る中地下室に向かい…。扉を開け…しばらく進むとそこは…城の中だった。、
「ここは…。」
「魔王城の内部です。」
そして、階段を降りると…前はテーブルと食べ物が置いてあったが今は…。そこにはただ絨毯と広場が広がるばかりだった。そこに、その中央に一人の男がいた。
「兄上!」
「ナギサ…待っていた。」
ナギサが買え降りると、月光はナギサに抱きついた。
「私はもう、この世にいない。神様に頼んで…今この時間だけ、この場にいる。」
「兄…上?」
月光の顔は穏やかだった。
「俺は、あの時…限界を感じていた、届くといわれた天の極みも…私には遠いものだった。私はあの時気が付いてしまった、私は門下生といるあの時間こそが楽しいのであって武の極みなぞ私は求めていなかった。」
「兄上。」
ナギサは涙を流し、胸元に顔を押し付ける。
「そして、逃がしたお前の事だけが心残りだった。この世界での三日月流の伝承者はお前ひとりしかいない。だから、最後に…お前に…復讐でもいい、何でもいい。生きて欲しいと願った。」
「兄上がいる世界がいいのです!」
「お前は立派な子だ…。お前にこの先を託し、私が見ることができなかった武の極みを…お前が見てくれ…頼んだ…。」
「兄上!」
徐々に月光の姿が薄くなっていく…。
「兄上1兄…兄上!兄…兄…月光お兄様…あに・・・あに・・・。」
その薄まる姿は満足そうに微笑み…そして、そのまま姿は完全に消えてしまった。
「兄上は卑怯です。私はお兄様といる…その日常がいいのです、こんな武より…私が一緒がいいのです!」
そのまま、ナギサは崩れ落ちた。ハーリスはその場を立ち去った。




