10-15 コクヨウさんは魔王軍で中位扱いです。
「あそこまで強いのかよ…。あの人。」
イツキの言葉がすべてを物語っていた。
「んニャ、あれでも相当手加減してるニャ。」
「そうよね、繊細に相手をずっと見て、いちいち全部急所とか狙ってた。でその上のでタイミングを見計らってた。」
ミリーたちバトルマニアの解説が鋭い。
「僕たちも実際エレノアさんのバトルは見たことなくて、あれでも手加減ですか?」
「旧魔王軍上層部はあれくらい基本全員強いって思ってる。コクヨウの母、リューネさんも、実際コクヨウより強い。」
そう言う間にエレノアが歩いて、こっちに戻ってきた。
「終わりましたマスター。流石にコクヨウのあの姿での戦闘の中継はまずいので処分させてもらいました。」
「いい感じだよ、エレノア。」
「はい!マスター。」
思いっきり満面の笑みで答えるエレノアに数人の男のダンマスが。頬を赤く染めていた。
「でもエレノアさん。あれってどれくらい本気だったの?」
ミリーも不思議そうな顔だった。
「まだ余裕があるって感じでしたが、実際彼女の攻撃全部魔法攻撃で火力高かったからですから、攻撃は全部ヒットして、食らっていたのですよ。」
「えぇ!」
「こっちが平然な顔をして耐えて、回復してただけです。」
ただ、その耐える分量がほぼ自分の全HPを9割損なっても復活する程度とは決して言えない。が、さすがコクヨウさん。貫通させていたか。
「意外と接戦だったのか…。」
「私は罠とか、そっちの方が得意ですので、本来は普通にお引き取り願う方が好きなのです。」
「エレノアちゃんいる?」
案の定リューネ達がやってきていた。後ろにはコクヨウ、リア、キラリ達がいた。
「ここ、こんなところあるんですか?」
「お母様に連れられてきたのは久々です。」
「あ、エレノア様、先ほどは失態、すいませんでした。」
その様子に全員が呆れたようだった。思ったより全員明るいのな…。
「あれくらい…戦闘訓練でやりますよ。ただ、本気の殺し合いの殺気は出してやっていたのと、とどめを刺したので、あれで、彼女に本当の戦闘を味わっていただければと。」
「やっぱり、あなたにかなう事はないわね、」
リューネが近くの椅子に座る。
「戦った当事者がこんなあっさりなのかよ。」
「私から言わせれば、あれだけ真面目に戦っていただければ、満足ですよ。単にベアハッグで終わるとか…。」
実際見た事あるコクヨウは震えていた。
「鬼ちゃんの時も、足元を見てなかったから、そっちからの教訓で済ませました。」
にっこり微笑むエレノアに全員が震えた。
「一応こう見えて、魔王軍最強だからね、エレノアは。」
「ネル様より上なんですか?」
亜人同盟の子から声がかかる。
「あの子もすごいけど、基本ヨミ含めた上位よりはってなる。うちの子で中位、私でぎりぎり上位踏み込むぐらい。」
リューネが近くに座り店員に料理を頼んでいる。
「あのコクヨウで中位…。」
ドルカスの声も暗い。SNSではあれで、最強決戦との話があったのに、その上がうようよいる計算になる。
「だから言ったでしょ?魔王軍は別格なんだって。鬼ちゃんも相当強いし、本来は私たち安泰政権のはずなんだけど。」
同席している南さんがケーキセットをつまむ。
「まだ上は遠いです。」
リーメ君の顔は明るい。
「けど最近はリーメ君も結構したたかなのよね…。」
「慣れました。先生含め、全員凄い人たちばっかりです、今でも学ばせてもらってます。」
「いい子じゃねえか!」
「相棒。」
鬼ちゃんと、リーメ君が抱き合う…。その姿に女性陣が熱い視線を向けているが、気が付いていないようだ。
「という事はリーメ君も算段あってあのスタイルなんだ。」
「はい。」
南さんもじっと考えていた。
「明日くらいから動くわ。忙しくなるわね…。」




