3-5 エクトネーゼで伝説の塩を売る。
伝説の冒険者、プラークさん視点です。
「付いたぞ。ここがエクトネーゼだ。」
「おっきい。」
このネルという子を連れてついに大都市に来た。この塩が重い事重い事…ただこれが黄金に代わるなら安いものだ。早速中央広場まで来ると着ていたマントを地面にひいてその上に塩の袋を置いた。
「どうするの?」
「売る。」
ネルが古典と首をかしげる暇もなく。プラークは大声をあげた。
「皆様!珍しい、珍しい遠い国の名物をお持ちしました!」
その声に周囲の人々がプラークを見つめ、集まってくる。
「悲劇の亡都市エアヴァンゲルの領主が 亡くなる直前に求めたという伝説の一品!それがこの塩なのです!」
「塩?」
観衆から声が上がる。
「そのうまさは天下一品!あまりの旨さに町は狂乱し、人々はこぞってこれを求めました。その伝説の塩を私プラークがエルフの里より手に入れてきました!」
「おおー。」
「皆さん、味わいたくありませんか?」
「おう!」
「本来ならこの一粒でも千金になりましょう。それがこの量!一杯銀貨一枚でお譲りしましょう。」
その言葉の後に何人かが手をあげようとすると
「よう兄ちゃん。嘘はいけねえなあ。」
人ごみの中から、ガラの悪い男たちが数人…愚かな…。
「じゃあ食べてみるかい。ほら。」
と言うとプラークは袋から塩を取り出しさっと渡す。男もいぶかしげにしばらく塩を見つめた後に舐める。
「なんだあこれ!」
「これがかの領主さえも狂乱した伝説なのです。」
男の声はかすれ、唖然としていた。
「どうです?おいしいでしょ?これでスープなんか作るとおいしいですよ。」
「ならあたしにちょうだいよ。」
その言葉にネルが、木の器を持って来て袋の塩を掬う。
「この量?」
「もう少し少なくていい。」
ネルが袋の中で調整して少し少なめに塩を取り出す。
「秘境の地からお持ちした伝説の塩ですどうぞ、堪能してください。」
そう言うと手短にいた女に木椀から手に塩を注ぐ。銀貨一枚である。女は恐る恐る塩をなめた。あまりの旨さなのか女は急激に頭を震わせ…あまりの旨さに言葉さえ出なかった。それを見た広場の人間は全員全速力で広場を抜け出した。あの塩は凄い。直感がそう唸る。器を持って来て、この塩を買わなくては。それはもう狂乱だった。
「これでいいの?」
「ああ、俺はこうやって路銀を稼いで旅をして来たんだぜ。ほら。」
「これに塩、二杯くれ。」
年老いたおじいさんが目をキラキラさせ、器を差し出す。
「やってやりな。」
「はい。」
しばらくすると観衆たちが器を持って並び始め…しばらくすると二袋あった塩はすべてなくな利、あっという間に銀貨の山が出来上がった。それをいそいそ自分の袋にしまう。
「さて、ネルちゃんはどうするよ。」
「こんな大きな所初めて。ちょっと見学したい。」
「なら、先に宿に行こうか…。ここだろ、盃の金貨亭行くか…。そこの宿泊費ぐらいは出してやるよ。後、取り分もな。」
「うん。」
宿屋につくと手慣れた感じで交渉し、部屋を二部屋押さえた。かなりこの辺は手慣れた感じだ。そして…。
「お嬢ちゃん、これが取り分だ。これで、村に良いもの買って…できれば俺としてはあの塩取りに行きたい。」
「確かに…家族がいいなら、もう少し商売したい。なんか人いっぱい来た。」
そう言うとネルは手慣れた感じで銀貨を受け取る、まあ、9:1の割合なんだけどな…。今日は金貨50枚分は稼げたのでこれなら10年は遊んで暮らせる。
「そうなるが、あまり目立ちすぎると変なやつ来るんだよな。だからあまり留まらないのも旅をするコツだぜ。」
「うん。」
「ふと思った。これ、どんなもの。」
「分からないのかよ。」
「里にはなかった。」
「貨幣って言ってな、王様のところ行くと、食べ物と交換してくれるんだ。まあ、その為、人に行ってこれ出して交換すれば、程度によるが交換してもらえる。」
大体のレートを聞いた。どうも銅貨100枚で銀貨一枚。銀貨100枚で金貨一枚だそうだ。ついでに屋台の串焼きが銀貨一枚。パンが銅貨5枚。と言ったところだ。ただこのレートは国家間で違う。だから商売はより交換レートがいいところでないとだめだ。
「これが、交換…。後でやってみる。」
このネルという子供は何かこう…大人びてる。子供っぽくない。
「でも里で交易するなら…。大きく売り出したい。こんな大きな町ならみんな幸せになる。」
「確かに…幸せになるな…。」
主に俺が。
「なら宿じゃなくて、どっか借りるか?」
「借りる?」
「ああ、どっかを金貨で買うかすればいいんだがここは高いんだよな…。」
この町は石作りの建物が多く、また兵士がうるさい。顔役通しておかないと土地も買えない。役人への賄賂も欲しい。まあ、金があればなんとかなるだろ。
タイトルを一部変更しました。内容に影響はありません




