9-冬SP12 12/31 教授と中央山脈
「すまないな、送迎してもらって。」
「家。この人使いの荒さ。懐かしいです。」
「帰りは連絡する。頼んだ。」
教授がハーリスに送ってもらった先は”山間の村”であり、名前もないただの村だ。ここは間の森の西に広がる、ブレイブ大陸唯一の”空白地”であり、各国家があまりに周りの山が険しく、”中立地”扱いにしている中央山地である。その内部山の上の高原地帯には三つの村と、三のダンマスがいる、
「お、久しぶりです。」
農作業しているエルフが歩いてくるこっちに気が付いたようだ。
「こっちは寒かろう?」
「はい、干し草をまとめて、後で、編むつもりです。」
「爺さんはいるか?」
手には今年完成した”純米酒”が手に握られていた。このために楽園で買い付けた物だ。
「マスターですか?いますよ。」
「久々に休みでね。謝礼もかね。今日は飲みに来た。」
ここには、教授にとっても懐かしい人物がいた
「久しいの。最近はめっきり勇者も来んくなった。」
「そうか…飲むか?」
「最近シロウが来ての。で、これを。」
「ほう?日本酒?」
「濁り酒じゃ、でもの、あいつが生きてではないな、復活したと聞いての。」
「すまないな。」
「いい。あいつは今なんか、変なチームにいるらしくてのぉ。」
「じゃあ、あれは見間違いではないのか・・・。」
討伐された自暴自棄になった”獣のダンジョンマスター”の事はブラックを通じ、記憶に入っていた。初めてのダンジョン討伐の相手でもある。獣のダンジョンマスター。
「あったのか?あいつは逸るからのぉ。」
「いや、私は向こうの支援者に会いに行った際に、たまたま見かけたという程度だ。で勇者はもうこっちに来るかね?」
「もう、半年はとんと来ないな。」
「だろうな、よかった。リンシュメルトで勇者保護令を出した。そして、勇者懐柔策を取り入れた。もう、こっちに来る勇者はいないだろうよ。ヤマシロ君を除いて。」
「それは、安心半分、寂しさ半分じゃのぉ。」
おじいさんは濁り酒の器を教授に差し出す。
中央山地には3人のダンジョンマスターがいる。そして、中央山地に最初からいたのはこの”スライムのダンジョンマスター、大神俊三”只一人だ。教授が知る限り、最古のダンマスの一人だ。では何で放置され、生きていたか、単純にリューネの調査儲けたうえで、中立を保持しつつ、協力を願い出た。”黒髪の少年の保護”を。それがたまたまモートリアから逃げてきた山の勇者ヤマシロになってしまったが。それを知った教授は中央山地の捜索を行い、わざと、モートリアー中央山地間を整備した。モートリアに直接干渉はできないが、当然通常の国境はモートリア兵士が固めている、ので逃げ出しにくい、逃亡ルートを作成する為、その兵士がいない”険しい山々”が連なる隔絶された地域である”中央山地”に逃亡ルートを作成していた。その門番として立っていたのが”俊三”だった。お互いが最初に会った時に勇者の保護一人につき教授がポケットマネーと称して、保護費用を供出。こうすることで、表向きは”同盟”として手を出せないモートリアの弱体化を狙ったのだ。それは30名を越え、この近くの村には”5名”の異世界人が住むようになっていた。山間部の村ではあるが。その一部の資材は”スライムのダンジョンマスター”である俊三が出していた。
「ふむ、もう、ないのか?」
「やっと、あんたに頼る生活が終わりそうだ。私も尽力はしていたからな。」
畳の上に置かれた座布団の上に座る、形上は”一軒”の普通の家。その外見は”昭和の一軒家”だ。
「最近ここに千鳥万花の連中が来ての、あの子、連れて行ったぞ。」
「…あの自閉症の子か。」
「ああ、での、儂もと考えておる。」
「…構わないぞ。私はな。」
「ギルドとしては?」
「好きにしろ、反逆には問わん。あったとして、抑える。あんたの事だ。熟慮して…だろ?」
「まあな。」
「マスター。あまり飲み過ぎると、」
作業から帰ってきたらしい、エルフの青年がこっちに来る。俊三の一番の僕であり、それ以外の配下は召喚されていない。正確には地下で育てているそうだが表に出す気はない。だそうだ。
「途中から、これに変えた。」
教授が差し出したのはアップルジュースだった。
「…酒ではないんですか?」
「飲み物だ。確か千鳥万かではこれも酒にしていてね。それで、ネルがそれを作っている、トレントライクウッドシードルだそうだが…。銘が別につきそうだ。」
「なら、後で、もう一本発注しておく、こいつは特製品でね。手間がかかるんだ。」
「ほう?」
「思い出でもあるらしくてな。そっちの奴だ。」
「ほう、飲兵衛がいるのか?」
「まあな、探してくるに疲れた。後、今度でいいなら、いい小料理屋が見つかった。行けるか?」
教授はちゃぶ台の上にいくつものパーティ料理を置いていく。リンシュメルトの店に頼んで作ってもらったものだ。
「…あんた。」
「数少ない、話が合う人間だ、私も郷愁に焦がれる日もあるさ。」
「いい店か?」
「ああ。」
「どんなだ?」
「そうだな、小料理屋だ。そこでは干物だったな。だから日本酒を渡した。で、私の名前を出せば出す用に指示した。」




