9-番外編12 スタンピード稼ぎ
「話がずいぶん脱線しましたけど、ケイさんは今でも?」
「一応、ギルド召集はされることになってる。でも最近はほぼないし、ザガートンのある大陸の方は学校出た勇者が対応してるから、基本…私たちは干渉しないことにしてる。」
「最近あっちに売込中でしたっけ?」
「そう、ナオ君捜索であっちに行ったけど、こっちでのダンマス平均よりよっぽど低いから。後インスタンスも小さいのが多い。だから捜索していて、その辺は必要ないという結論になってる。
当然ハイエルフが捜索してあるけど、基本的には勇者たちに育ってもらって満足してもらう方が速い。もう、モートリアもないしね。」
実際勇者の50レベルほどでないにしろ、従者としても強化されているハイエルフ達ははっきり言って戦闘部隊と言っていいそこまでの力がある。なのでよっぽど大型のスタンピードでないとケイとかリューネの”S級”クラスは呼ばれないのだ。ハイエルフに匹敵する。王級がでてこれば、対処は基本そっち側になる。で、そう言う意味で最近ザガートン経由でこっちで暇していた冒険者慕い勇者たちがこぞって稼げるとザガートンのギルドで仕事を開始していた。
「思いっきり田舎に叩き送りました。あれは…自分が会った瞬間に寒気がするぐらいのゲスでしたから。」
南は一応、モートリアのエリアもリンシュメルトの領地も治めている。エリアだけで言えば相当大きい。それを発展した都市で支えるのがここのスタイルだ。作ったの僕だけど。
「でもあの頃はひどかったんだよね、モートリアの国もおかしければ、相手のダンマスも基本、話が通じないくらい人間嫌いばっかりであと誰かが書いた”スタンピード稼ぎ”が一番きつかった。」
実はダンマスSNSの諸悪の根源の一つ。”スタンピード稼ぎ”と言うものだ。ダンマスの領域に街の傍まで戦場予定地を買収。そしてそこにモンスターを大軍で送り込みスタンピードを起こし
戦闘する。大軍であれば大魔法とかの魔法を使ってもらえるので、DP収益となり、指揮とか簡単に強化しただけのモンスターを突っ込ませる、運がいいならその領地が手に入り、入らなくても
そのDP収益だけで大体3倍ぐらい稼げる。で稼いだ分は許可可能だし、ダンジョンへの誘い水にも使える。その為一時期スタンピードが流行っていた。これは実は徐々に衰退しつつある。それが”教授”発案のバリスタとクロスボウ、トレビシェット(投石器)だ。これを設置してこっちの被害なし、MP消費最小で倒していくのだ。当然、足りない場合は小火器改め、魔法で撃退すれば、大抵赤字に持ち込める。が、これは現在エクトネーゼ位でしか装備がない。ドワーフたちもこの武器の事を知り、現在は改良を急いでいる。スタンピードを止める発明として、そして銃器の代わりとして使えないかって事で研究が進んでいる。があの書き込みがだれなのか…それは実は不明だった。
「で、あれで、ギルドの方とネルが怒ってたのよ。和平するくらいならこれで稼げるだろ?って事言われたらしいのよ。それで頓挫した和平交渉も多い。そんな生産系マスターとかいると思わなかった。今だとそれが嘘だとわかってつらいけどね。みんな闘いたいわけじゃないよね。」
なんとなく意図が伝わってきた。
「けどしかたないよ。生産するにしても誰も来ないダンジョンだと稼ぐにすごいストレスがかかる。」
実は魔王軍というか、再会合した結果、実は”草稼ぎ””MP稼ぎ”についての欠点もわかってきた。草は実は経験値にはなるが、それを魔石にしてDPにする際にかなりロスが大きく、むしろ経験値以外だと利点がなく増えない。で、MPをモンスターに払ってもらうのは、モンスターにとってストレスになるらしく、凄いけだるいからMP回復しても精神的な部分ではロスの回復が遅く、ストレスとなるで、これが意外とモンスターにきついらしく、離反を呼びやすくなるのだ。これはリューネさんがウォーキングプラントと交渉して分かったらしい。その為、最近は頻度を下げたそうで稼ぎの低下となっている。本人のMPをDPにするのは実は結構面倒くさがり屋のリューネさんとあってやれるらしいので、そっちで活躍してる。なのでできない事はないが、きついというのが、この誰も襲わない稼ぎ方となっている。生産系はこれを誰かに売って生計を建てるのだ。
「でもあの頃は本当にひどかった。」




