9-番外編6 勇者ヤマシロと僕
「ナオが非常識なのは知っていましたが、それって畜産、思いっきり根底から覆してません?」
聞いていた南が呆れていた。
「これで、結構餌の配合とか数十体作って確認していたんだよ。餌も様々用意して、ハーリスが錬金術使ってポーションとか作ってそれを飲ませたり、その状態をその都度ゴーストから聞いて状態を確認しながらやってた。」
「こういうところが、実はナオが凄いんだよね、地味に何でもできる。スキルがなくても。」
お姉ちゃんも胸を張っている感じだ。
「ついでにこの時は、このカウにさらに指向性成長とか、様々かけて実験してた。」
「はい?」
「まあ、カウに関して先に餌が―って話があって、で、手持ちの草系とか全部試してみたんだよ。そしたら味が全然違う、ついでにハーリス3に頼んで変身してもらい、肉食した後のも検証して見たけど、味がかなりまどろっこしい上に、水で薄めると変な味になってだめで。草とかの成分がよっぽどきつかった。」
牛乳の多くは市場に出す際に希釈されており、飲めるように成分調整されているのだ。
「味ががまどろっこしいって何よ?」
「んーっと。濃すぎる上に味を感じない状態。だから凄い悩んだ。」
「この料理専用牛乳とかも?」
現在ギルドのDPショップ限定で牛乳、料理用牛乳が売られている、で、魔王軍専用として神の牛乳、乙女の夢牛乳。市場に出していないポーション牛乳、トリップ牛乳と牛化牛乳がある。がこの辺はもはや取扱注意という範囲なので、市場には出さないつもりだ。、
「それは草もいくつかわらとか、小麦の後の奴を乾燥させたり、草を調達して、成長とかで育てた物を使っている。後幾つか魔界で取れた草とかを乾燥させたものを使って魔力の回復も行ってる。」
「凄いね。」
お姉ちゃんはうれしがってるが、南は苦い顔していた。
「で、どうやって広めたんです?」
「単純にまず、スポナーでモンスターの自生区域を設定して放出したんだ。それで数か月放置。元々データとってあるから、最適の頭数を判明させてあったからね、で、それがいることをギルドに報告
で、調査依頼を出してきた。」
「そう言えば、生態調査で、5mの牛とかと戦ったけど、あれってもしかして…。」
「そうだと思う。食肉用の牛も同時期にはなった。」
「あんな動物いるんだと、感動してたのに・・。」
「でも、それでまずは認知度を獲得した。こうでもしないと僕がモンスター連れて歩けない。」
「え?」
そこはやっぱり二人とも意外な顔だった。
「これで、モンスターというか珍獣がいたよ、って話に証明が付くんだよ、そこからがトークだった。」
僕たちは餌の草がたまたまというか、その餌で味がマイルドになるブランブルカウを2頭連れ、
「でも、こののマジックアイテムがないとダメな畜産とか…。」
ハーリスも不安そうだった。当然と言えば当然だ、2頭には隷属の首輪の改良品である”畜産の首輪”がかかっていて、ギルドカードと連動した主にしか言う事を聞かなくなっており、また、規定の
行動以外は命令を聞かないペットとなっている。
「大丈夫。管理はできるはず。」
畜産の首輪の能力は”ギルドカードに所有物と記載された対象”しか操作できない首輪で、奴隷契約の一種であるが、ソウルレベル2までの対象にしか使えない。動物が限界で、薬品等で下げた場合は呪いが反対に発動する。でやれる行為も”○○大人しくしろ、””○○こっちに来い””○○、興奮しろ”ぐらいの単純命令のみ聞き分ける。それ以外はむしろ本人だろうが攻撃可能である。但し、主従契約の段階で餌とかちゃんと与えたりしていれば大丈夫で、カード側から移動範囲設定も可能なので、檻も大きく必要ないようにしてある。で、前もってギルドに相談して、新規農業がやりたい人間を募集してもらい、今こうして歩いているわけだ。ついでに元は小作人の家庭でその大家である、地主の家族が全員疫病で死滅。その為独立したのだがと報告書に書いていある。
「これでうまくいけば畜産の首輪、あといくつかこの系の開発ができますね。」
今回の計画としてはエルフが本来一段落ついたら、衣食住の拡張を図る予定の計画を立てていた、その為に本来ギルドに必要のない、転送サービスやDPショップ販売機能を付けてあったが神様の警告である”これは味に変動がないのでいずれは…。”というものだ、材料として全部魔素製だとすぐに味に飽きてしまうのだ。当然それ以外の生産をしないといけない。まあ、ここまで世界は様々な物で成り立ってるとは思わなかった。がこれがあれば楽なる、
「だね。」
でも予定の小屋のとなりに見慣れない馬車があるな…。しかもあれは、ゴーレム馬車だ。ゴーレム馬車は土のレベル3で作るゴーレムに馬車を引かせるもので、定義上ゴーレム馬車というが実際は
ゴーレム車というらしい。ただ、人間も引ける人力車の改良版みたいな外見だ。が、この辺にはなかったはずなんだけどな…。この辺はまだ、大八車とかの技術や車輪も存在しない。車軸も存在していないやろうと思えば魔法で作れるが、それには知識が欲しい…知識?
「あ、ナオさん。」
外に出てきたのはギルドで会った今回の被験者ゴルドさんだ、否定しないぞ。これで成功すれば、畜産の首輪の一般販売を行う予定だからだ。
「久しぶりだね…で…隣は?」
その隣には剣を下げた青年とその隣には3人の女性がいた。
「ああ、彼らは村を疫病から救ってくれた勇者たちで、ヤマシロさんという方です。」
「彼が、商人さん?」
彼と3人の従者はこっちを疑わしいかで見ている、当然カウはブランブルカウ。最近調査依頼が来たばかりだ。それがこうして鹵獲されて来るとは思わなかったんだろう。
「はい、村で産業の話をしたら、この話を。僕達だけだと訳が分からないので、連絡したんです。」
というかちょっと待て、まだモンスターであるカウを見たら、襲うかもしれんぞ。
「その話は僕は初めて聞きましたよ。」
「ふむ…鑑定させてもらえる?」
山城青年はやっぱり僕が疑わしいようだ。
「どちらを?」
「君を。」
これの意味は単純に偽装を解いて見せろって意味だ。
「何で?でしょうか?」
「そのモンスターだと思うんだ、それがこうして素直に連れられてくるのが分からない。」
「それはこの首輪ですよ。中に入っていいですか?今回の依頼について、説明します。」
「…いいだろ、ミコト。みんな、入るよ。」
「「「はーい。」」」




