9-番外編4 格闘スキルと、モートリアの話
「ひでえ…。」
僕もうわさにはモートリアがひどい国だと聞いていたが、ここまでとは思わなかった。
「で、一応次の日、王宮に行ったんだけど。その日はもう仕事にならなくて…で、一応依頼はなかった事になって、帰ってきたのよ。」
まあ、大方この辺から、鎧騎士の伝説とかできてそう。実際6ケタクラスとか、今でこそそれほどだが、当時だと、極みチートクラスだ。それを目の前で見せられて。何も感じないほどではない。
「そう言えば、聞いてみたかったんですけど?この世界の武器系スキルって少なくありません?」
南がダークマターで武器を作って見せる。
「うん、シーアとかみんなで検証していたんだよ。で、分かったのは三つしかない。」
そう言うとお姉ちゃんがダークボックスから剣、大剣、ナイフの三つをテーブルの上に置く。
「基本、この世界の格闘系スキルは、全部、格闘、剣、槍の三つしかない。で、あとは派生スキル扱い。」
「派生?」
「うん、実は格闘があれば、ナイフとか、後、ナックル、2刀流の逆手持ちナイフでさえ、格闘スキルが全部起動する。剣なら、棍棒、ロッド、あとクックリ刀とか手斧でも剣技が発動する。で、槍は大剣や両手斧、杖で全部発動する。で、専門武器は全部一段階上として扱われる。だから斧技ってある時は、中級っぽく聞こえるけど斧術の上で上級スキルってなる。但しスキルは三つのうちどれかが起動するので、この三つのどれかがあれば大抵何とかなる。後飛び道具として、弓技があるけど、これは弓専用。投射という投げる専用のスキルあるけど、あっちは派生と昇格がない。」
って事はコクヨウの持つ”拳技”は上位って事になる。意外と奥が深いな。ついでに戦闘系スキルは術―技ー王技の順に昇華する。攻撃力と、命中、回避とかが、その都度上昇しこのレベルが高い方が普通に強いが、ステータスとかでカバー可能だったりする、ただし9から10の差は2倍(+100%)あるが、10から技の1の差は10%しかない。という感じで、結構まちまちだ。それもあって安全地帯はかなり存在する。
「だから、冒険者学校だとその三つのどれかしか教えないし、ランクが上がると同じように使えても。スキル構成が変化する。近接矢とかその辺って。このスキルを魔法で振るうための奴だと思う。
但し10秒MP4+加工費ってなるから、消費が激しいって欠点がある。ダークマターが大体10分15MP位だから燃費は悪いんだけど、破壊されないっていう点においては無茶苦茶有能。」
確かに。が、攻撃魔法こうやって聞いてみると、便利そうだな。腕力が機能しないって欠点があるけど。
「ゲーム系である装備できないが、意外と回避されてるね、この辺。」
「覚える際のスキルオーブ負担も楽なんだよね、ただし、武器の特性全部使うってなると、専用スキルのほうが強い。」
結構この辺考察も強い。
「でも、勇者がそれだと問題がありません?国が勇者に迎合して、勇者がクズだと、さすがにそれを許すって事は…。」
南もさすがに苦い顔だよね。
「だから、依頼が破棄になったんだよ、予算が王様がごねて、出なかったんだって。で、あの時はギルドも怒り狂って、魔石の販売とギルド供出金を停止した。流石にギルドの依頼受けに来たやつを
王国軍が殺しに来るのは違うでしょ?」
確かに、勇者に勝っても騎士団に殺されるのでは、これはもう依頼という体のおびき出しとギルド員殺人でしかない。こんなことしてさえ残るモートリア、逆に恐ろしい。
「で、これ以来、ギルドとかにはギルマス直属精霊ができるようになって、調査をするようになったのよ。怪しい依頼は憑依とかして、調査と違反するならって事。で、そのお仕置き部隊に私が登録することになったわけ。」
聞けば聞くだけ腐ってるな…。
「ついでにパルミダークだとネルちゃんと教授が、あとエクトネーゼだとリューネとゴブリン村のガルージさんが行っていたんだけど、パルミダークにはほら、キラリいたでしょ?その為、自治が
効いていたらしいんだよね。」
ああ見えて、格闘が強い正統派勇者だからね。
「そうやってみると、意外とみんな苦労してたんだね。確か一年目だと、牧畜教えるためにブランブルカウ引いて農家に売り込みに行ってた頃だね。」
「何かそっち聞いてみたい。」
南も、お姉ちゃんも全員こっちを見ていた。
「あまり派手じゃないよ、ハーリスと二人で乗合馬車に乗って現地行って、隠れてダンジョンの入り口作って、中立化させたブランブルカウを畜産のの首輪で大人しくさせて。村まで行って、頭を下げたんだよ。」
「そっちの方が興味あるんですけど?」
南さんの食いつきが激しい。
「というか、確かバトルホースとか、ホース系もモンスターで、しかも、カウ系もモンスターだったはずよね?」
「後シープ(羊)、ゴート(山羊)とか、個別系もいくつか野外に持ち込んで話して、繁殖させてある、モンスターの出ない地域でね。」
「相変わらず、ナオは恐ろしいですね、生態系まで任意にいじってるんですか?」
「益獣は多い方がいい。まだ少ないからね、」
「聞かせてよ、ナオ君がその売込みしてる頃の話。」




