外伝2 長谷川喜利から見た高橋直
長谷川喜利から見た高橋直は奇跡だった。私は中学から高校に上がり、いじめられっ子の…そう鈍い陰キャの女の子だった。人とと付き合うのも苦手で、少女漫画の明るい主人公に憧れるそんな女の子だった。ゲームも流行りでやって、ネトゲもやって…人と付き合いがそれでもなかった。そんな根暗な女の子だった。今でもしゃべるのは苦手なんだけど…。その頃あったクラスメイトの高橋直と東雲惠は私と同じ地味な子たちだという印象以外存在していなかった。が、異世界に召喚され私たち4人が召喚された時その子は…実はすごいかわいい男の子だった。
「一緒に…頑張ろうね。」
そう、それは私にとって異世界という、奇跡のロードの始まりだった。ステータスだけで言えばナオは普通の一般人の保護対象、東雲ちゃんがなぜか勇者。そして茂樹が剣士と私が賢者だった。これはゲーム知識とか使ってフォローしろという、神のお告げなのか!私はエリンシアの初めての夜、興奮で寝れなかった。それからの訓練でもナオをずっとかばう東雲ちゃんの姿が気になったが、魔王討伐のお告げがあったそうで…一応魔王のいる地域まで行くために…どうも各国を説得して回らないといけないらしい。が、ナオ君の本気はここから始まっていた。2週間私たちが訓練を終えるころには、地図を作製、それを基に作戦会議をしていた。私は王族含め意味不明という顔になっているのに驚いた。どうも地図という考え方さえこの国にはなくその為地図は手に入ったスキルの”遠視”という能力を使ったらしい…あれ、みた時ナオ君スキル無かったよね?そして行く順番が決まり、そしてそのまま出発した。基本的な作戦は全具ナオ君が立案、こっそり私も意見を言い、茂樹が東雲ちゃんの護衛そして、ナオ君と私が、様々な勇者のサポートを担当していた。が、ナオ君は私から見ると異常なほど…策略家であり後から、後からスキルが沸いて来ていた。後で詳しく鑑定のレベルを上げてみたら…。なんと『スキル獲得確率:大』なるスキルが実はあって、必要なスキルを全部そこから手に入れているという…そしてその話をされた後、私と東雲ちゃんはそのスキルを譲ってもらった。
「僕にはそんなスキルよりみんなと一緒がいい。」
という凄いときめくセリフと共に彼の可能性をもらった。そこから私も…軽く何か思いつくとスキルが貰えるようになっていて。いつの間にか異世界転生物の主人公の最終形態みたいな能力とスキルを得ていた。東雲ちゃんも一緒だった。が私たちはその王国統一の流れの中で作戦を立て、スキルが無くても、ステータスが無くても、そして作戦を成功させ…王族を改心させ、みんなに優しい王様に変えていくナオに私は惚れていき…いつの間にか人と話すのも…そして、ボッチの私はもうその時には無く、勇者の従者”賢者”として立派に育っていった。それを5年賭け実感していた。もう、私をあの頃の陰キャとは決して呼ばせない!そして、ついに最後の目的が判明した時、あることをナオ君が提案した。
「このスキル編成ならもしかしたら、あの魔王大陸とかに攻撃届くかもしれないからやってみる?」
そう、大陸統一の時もマヨネーズ無双した、あの悪いナオ君モードが出たのだ。私も便乗しましたよ。そりゃあ。だって船を開発して漕ぎ出るのも、その後どこまで行くかわからない大陸の旅も面倒、ちょうど角度的に各国家に影響も与えない。そして何より私たち…。
「そうだよね、あまり全力やってこなかったから、お姉ちゃん出番だと思って頑張るよ!」
そう、戦闘がほとんど無いせいで、私たちの攻撃系のスキルの意味が脅し以外使えなかったのだ。なので、ここですべてのスキルを使い…そして最大火力まで貯め込んだ…。
「いっくよー!ハイパー!パニッシュメントレイ!」
その言葉以降の実はこの世界での記憶はなかった、どうも後で聞いた話だと。これが大地をえぐり、星の形を変え魔王を直撃し、そのまま滅ぼしたらしい…。…魔王討伐遠距離すぎるだろ!
「うーん。一応魔王討伐やってみてどうだった?」
神様が微妙な顔をしていた。当然である、最後が窓際からのテストショットの魔王討伐なんて盛り上がるわけがない。が私は結構満足した。そしてここは白い…大方神様の間だろうな。
「俺は不満が残るぜ、活躍してない。」
「わたしは、勇者ががらに会わなかったかな。」
「僕は…あまり気にしてないね…。」
「私は気持ちよかったよ。」
だが茂樹の怒りは収まらず、仕方なくもう一回やる事になった。どうもあのままあの惑星が崩壊してしまい、その前までどうせリセットする必要があったのだ。
「ただし、私も結構痛い目見たから、少しだけ悪戯させてもらうからね。」
神様の言葉はちょっと怒っていた。そして決まった次のルールがこれだった。
一つ。緊急事態を除き、今度は神様が干渉しないこと。
一つ、4人の職業をシャッフルすること。これは4人にくじを引いてもらった。
一つ 4人のうち一人だけ、追加で、一週目の記憶をと経験を持っている、
一つ、全員に見せ場を作ること。そしてエンディングまで行かせること。
うん、今度は均等のはず、私の出番が多いといいな…。そして私たちはまた…。
私はいつの間にか召喚された時に戻っていた。ステータスは…あれ?レベルは1に戻ってるけど…ステータスが一部残ってる、しかもこれ…スキル全部入ったままだ!ちょっと待て、まずい!
確か偽装が合ってステータス調整可能だから、急いで!
「おおー、召喚成功したぞ!実験成功だ!」
よし、ギリギリ間に合った、今まで見た普通人程度に収めたぞ、私、突貫工事だが…あれ、私が剣士になってる。という事は今度は私、アタッカーなんだ…。えっと茂樹が勇者で東雲ちゃんが
賢者、順当と言えば…と言いたいけど…またナオ君がスキルなしなの?そこだけ不動なの避けたくてきっと茂樹君もシャッフルさせたんだと思うけど…ってちょっと待て!
「「「「ステータス。」」」」
なんでナオ君がそれより低いの?
「「「開示!」」」
やっぱりおかしい、これはやばい。赤子でさえ2から3あるステータスが1か0であり、しかもスキル0。その言葉に全員が案内され、去っていく中私だけが最後に残った。
「王様。」
「なんだね?」
「一つ警告を。」
今でもしゃべるのは苦手だが人の命がかかってる。
「あの無能の少年、もし追い出した場合は強大な敵となって舞い戻ることも考えられます。なので、手厚く保護してください。そうすればきっとこの国にとって良い事が。」
「それは本当かね?」
流石に王様も疑問があったようだ。
「はい。私たちの世界の物語には多くそれが書かれています。」
そうこれはまた一緒の”無能者がツエー”するパターンのはずだ。これできっとナオ君は保護される。私やったよ。
そしてまたも始まる2週間の訓練。但しちょっと様子がおかしかったのは勇者”茂樹”だった。茂樹がなぜか王様と密談していたのが引っかかる。そして
「あんな無能が脅威になるわけがない、それなら…。」
そんな会話を耳にしていた。そして2週間後悲劇が起こる。
「直が!いなくなったの!}
それはナオの様子を見に行った東雲ちゃんの一言だった。
「何が起きた!」
そこにあったのはナオの姿がない…いつものナオの部屋だった。
「地下室に血の塊があるぞ!」
その時、茂樹の口の端がゆがんだのを…私は見逃さなかった。そして地下牢いっぱいに広がる血に…。東雲ちゃんは倒れ…。私は吐いた。
「これは…魔王だ1魔王がやったんだ。ナオの奴…。」
こうして王国記録上はナオが死んだ事なった。大方無能者だった彼を殺せば憂いがないと。判断したのだろう…だが私には信じられなかった。あのナオ君だよ?もしかしたら魔王がいてそいつが攫ったかもしれない、今度の役割はプリンセスか…ショタだけどね。ならば、頼りにならない勇者に変わり、絶対にナオ君を救い出してみせる!
次回から、第3章となります。




