9-秋SP17 秋祭り3日目 ケイVSキラリ
二日目は魔王軍の大方隊長の一人”ヴァンドレイ”が勝ちこれで6人そろった。次の日は大陸を超え世界一の勇者を決める大会なのだが…うち二人は最低でも勇者じゃない。
「ここにクラウドドラゴン戦勝祭、大陸一決定戦を開催する!」
ザガートン国の王が宣言すると、その声に会場から大歓声が上がる。今回は審判として、S級冒険者3名、すなわち”龍姫(代役エレノア)”、”鎧騎士(代役シーア)”、”教授”が下の会場に座り、審判を務める。ついでにルールは説明したし、手加減を超えて相手を殺そうとした場合はその場でS級冒険者によって処刑するとも伝えてある。国の名誉がかかるため、当然相手を殺して戦力を奪う命令も考えられたのだ。それくらい、特にヴァンドレイは警戒されていた。
「皆様、今回の大会は一日をフルに使い、行われます。まずはくじ引きで一対一を行い予選を行います。、そこで同じ色の札だった同士、一対一のバトルを行います。そしてその勝者が午後の大陸総当たり戦となります。そこで勝利数が多い勇者が勝者となります。では各代表、その箱から札を取り、いいと言ったら、天に掲げてください。それで大戦が決定します。」
そう言うと一応バニーコスのリューネさんに化けたエレノアが箱を持って歩き、各代表に札を引いてもらう。一応本物は酒場で飲みながら見ている。で今回はお姉ちゃんが参加しているためそれに期待が集まっているが…。
「それでは決まりました!まず第一回戦は”キラリVSケイ”、2回戦目は”ヴァンドレイVSキー”、そして”3回戦目は…え・・ア・・ハイ。3回戦目の相手のエルシュウッド代表のヴァンダンが棄権いたしました。勇者と戦うのはよくない、勇者を見てもらうべきだと。ネル様!」
「それでいい。私たちはギルドでもある。勇者をサボートするが役目。勇者を支えるためなら、いくらでも涙も飲む。むしろこれを褒め称える。」
ネルが立ち上がり、宣言すると手を叩いた。これは事前協議した結果だった。というよりも実はクジもこっそり弄ってあって、対戦表は実は先に縁者に誰と戦いたいか決めてある。でないと困ること
が多数あるからだ。
「勇者の為に負けるのかよ!」
「勇者であれば、国を導ける。その為に身を挺せと言われれば、する!その心意気。」
その言葉で着席してしまったので…全員が押し黙ってしまった。勇者第一主義を抱えるギルドの態度だが、実際はちょっと違う。元々エルシュウッドは勇者に勝たせる予定で募集したのだがエルシュウッドの入国規制で、誰も来れなかった。で、仕方なくハイエルフで会議して、ヴァンダンが形だけ出る事にしたのだ。ついでに本気のキラリほどではないが、並の勇者は軽くいなせるのでここで勇者の力を蹂躙したら最後、勇者廃絶論になってしまう。なので、水を差したくないエルフたちは元々こうするつもりだった。ついでにこれは祭りの前日にはネルが直々に訪れて説明に回った。
「では第一回戦。”キラリVSケイ”両名は壇上に立ち、所定の位置につけ!」
ザガートンの大臣が声をあげるとケイとキラリは壇上に上がる。
「先輩・・・勝ちますよ。今度こそ。」
「私、簡単には負けないからね。」
キラリが光の加護をこの大会初でまとい、格闘の構えをする。これはキラリがめったに見せない本気の構えだ。光が全身にいきわたると、すべての行為が輝きの効果で5倍になるそれが輝きの能力
だ。
「さて、私も行くかね。」
まるで虚空から出るように系の目の前には黒い大剣が降り立つ。その様子に会場がざわつく。魔法でも、こういう事は見たことが無かったからだ。これは”幻覚+連携ダークボックス”で出る所の
黒いのを隠した出現法で…単純にMPの無駄の見栄だ。が、虚空から急に物が出たように見えるので、かっこいい。その剣を片手で持つ…自身の身長ほどもある剣を片手で持つケイはそのスタイル
だけでも…異様に映った。
「初め!」
その言葉とともにはじけるようにキラリは一気にケイの内側に飛び込む。これは輝きの能力、そして身体強化さえ輝きで強化され。輝きで普通に5倍となったステータスが格闘を押し上げるが
それをケイは手に持った大剣を盾に防ぐ…。でも殺しきれなかった勢いはそのまま会場の端に叩き送られるが…。
「まだ!」
キラリが突然、自分の背後に裏権を放つ。が、なぜかそれも防いだケイの体が弾き飛ばされる。…この攻防を見た全員の頭が本気で混乱してきた。吹き飛ばされた時影移動を行い、キラリの背後の
体に潜り込む一瞬で戻ったのを読まれ、もう一度弾かれたのだ。が見た人間からは虚空を振ったらそこにいないはずの人間が吹き飛ぶのだ。、どう聞いてもおかしい展開だった。
「いいねぇ…。」
ケイの方も余裕だった。ステータスもあるがスキルに余裕のあるケイがその大剣で勢いを殺して防御していたのだ。そして次の瞬間、ケイの姿は又なくなっていた。それに慌ててキラリが防御の姿勢を取るが…。・・・今度は何もなかった。流石に会場が・・。
「が!」
構えたままの腕をケイが大剣で腕を縦薙ぎにする。
「まだまだフェイクに弱いね。危ないと思ったら、次の手を入れておく、って事よ。」
これでもステータス15倍の差か、剣で体が切れる事もないが…。その腕は弾かれ無理矢理ガードを弾かれる。
「まだ!」
今度はキラリが体をひねり、バリアを展開する。そしてそれを無理やり返す刀でケイがぶっ叩く。そこでお互いが止まると、ケイが突然飛びのく゚…。
「流石、勇者様…。」
「あなたに言われたくない…。」
今一度、ケイもキラリも構えなおす。流石の攻防に歓声が上がる。そして…みていた各王も唖然としていた…ネルと南以外は。ネルはこれがまだケイの本気どころか手加減してるようにしか見えてないし南からすれば魔法を使っていないキラリは手加減であるのは理解しているからだが。、有利か不利かと言えば、これでさえキラリは勝てる見込みがない。溜め攻撃でキラリの特徴である”一撃必殺”が消えるためだ。むしろ逆に餌だ。なので、相性上は決して勝てない。そんなタンク型の勇者がケイだ。
「まだまだ行くよ!」
今度はケイが走りを下段に構える。そのまま突きを構えるが今度はキラリのシールドを抜けない。流石にこのの能力値差を抜けるほど、彼女のステータスは高くない。身体強化のLV10はステータス+MAG×3だがそれは1500でしかない。キラリの500×2倍(身体強化常時)×5倍(輝き効果)=5000ほどではない。が、それでさえ、キラリは油断できなかった。魔王軍と付き合う
3年間で幾度もケイに訓練を挑み。そして、負けてきたからだ。それは戦闘経験の差でもあるし、実戦の差でもある。
「まだ!」
今度はそのまま弾かれた…ふりをしてもう一度、今度は足を薙ぎ払う。
「何!」
「隙間!」
声を上げるが、人間いきなり反応することは難しい、そのまま足の裏を剣で叩き連れられ…これでもステータス差の為か転ぶまでの怪我でしかない。が転ぶという事はと思った時…転んだはずの
体が、キラリの影に体が沈んでしまった。これに流石に全員が唖然とする。
「はあ!」
その掛け声でケイの後頭部にはキラリの全力の蹴りが刺さっている…はずだった。いや刺さっているが、今度はケイが微動だにしなかった。
「一発は一発かな。」
「どうです?」
「やっぱり馬力過ぎるよね。」
その蹴った足のままキラリが、弾き飛ばされてしまう。…これには流石に誰も理解できなかった。これも”溜め攻撃”の力だ。キラリの蹴りを”溜め”、そして、蹴っていた足に”放った”のだ。
但し近接攻撃は遠距離に放つには工夫がいる。ので普通は蹴ったところとか近接に来た所に放つのだ。
「長谷川ちゃんが泣いてたよ、馬力で攻め過ぎだって。もう少し丁寧に行こ?」
「やっぱり強い・・。」
流石にこの攻防は…。全員が唖然としていた。今までの常識は何だったのかという戦いだったからだ。あの伝説のレーザー勇者が実は格闘の方も強くかつ相手の冒険者は、それを軽くいなしている。
しかも直撃を受けて吹き飛んていたはずの攻撃が今度は微動だにしない。
「が、行きます!」
キラリが構えると手を突き出す。
「必殺!スターバースト、パニッシュメントレイ!!」
叫ぶとキラリの手の平から巨大な…それこそ会場の天井よりも大きな幅のレーザーがケイの体を覆い…。
「そこまで!」
3人のS級冒険者が声を上げる・・。光が収まるとそこにあったのは…ボロボロの服のケイの姿だった。
「勝者!キラリ!」
このレーザーには大歓声が上がった。このクラスのパニッシュメントレイは実際キラリしかできない必殺技だった。会場は大盛り上がりを見せていた。
「このあと30分後に次の試合、ヴァンドレイとキーの試合を行う。」




