9-秋SP10 東雲恵の魔界探訪 秋祭りバトル篇 定番ボスと戦ったよ。
「来い。」
「じゃ、一発。」
と言った瞬間に姿を消し聞き手と反対側だと思われる、素手の方のサイドを取り、剣を薙ぎ払う。
「がぁ!」
強引にハイラルンは棍棒の先をケイの剣に向けるがそれを受け止めたハイラルンの腕が弾かれる。が、剣も弾かれた。が、そこのまま弾かれた勢いを利用して相手の脇腹を蹴りつける。そのまま足を
ハイラルンに貼り付けもう一方を蹴りだすと、その足をハイラルンの脇に叩きつける。そこまであり得ないほどにすいついた足は顔からさらに勢いをつけて、反動を発生させるとケイはとび上がる。
それは相手が高すぎて、顔に届かないものの、その空中で切り返すと手に持った剣はその腕を凶悪に打ち据え…その目の前に棍棒を持っていない腕を切り裂いた。
「は?」
全員がその奇異なる体術と剣の腕に目を見開いた。
「制限だとこんなものか…。だとすると…。」
あっさりと血しぶきが立ち、それでも切れていないだけすさまじいのか…そのままケイはハイラルンの背後を取ったまま着地した。流石に視界外から切られた手に驚くが、その顔は
唖然としていた。
「さて、もう一発だけ、テストさせてね。」
そう言うと、ケイが大きく構えると、拳を背後からわき腹に叩き込むが…その勢いは強く、そのまま体が浮いたように吹き飛ばされ、壁にたたきつけられた。
「うん、大体のテストが終わった。ありがとうね。後、威張り過ぎはよくないよ、こうなるから。」
さらっとした顔で経っているが、この体術と剣の腕は違いを感じさせた。いや、桁とかそう言うものを通り越した何かだった。
「が、が・・・。」
「ちょっと待ってね。」
ケイが近寄るが、もはや、ハイラルンに戦闘意欲はなかった。無い造語と頭を揺さぶられ、巨体が軽いおもちゃでも見てるように吹き飛ばす相手なんて、前に戦った勇者たちでさえ
存在していなかった。
「ヒール。」
ケイから光が漏れると、傷が…いや体の状態が元に戻っていく。
「ごめんね。会場のテストにつかっちゃって。でも指導はちゃんと、締め付けるだけじゃダメ。それだと、育たないよ。」
「大丈夫か?」
慌てて、駆け寄ってくる少年・・・。
「大丈夫だよ、直しておいたから。怖いのも軽減しておいた。」
この世界の回復魔法は傷を治すヒールと病気を治すキュアしかない。但し、レベルが上がるにつれ、どんどん直せる範囲が上がっていき最終的には48時間以内なら蘇生も可能となる。
それが回復魔法だった。
「主…。危険です。」
「でも!}
「うーん。悪者に見えちゃうかもしれないけど、さすがに一言。育成はちゃんと育成の知識がないと育たないよ。ちゃんと相手の体を考えて。そして相手の合わせたアドバイスが欲しいんだよ。」
「でも!なんで。」
「いえ、主、喧嘩を売ったのは私です。すいませんでした。」
その様子は…。流石に冒険者たちと言えど…。ありえない物を見ているとしか思えなかった。治癒水と、ヒールライトは存在するがヒールは見たことがある物はいなかった。賢者系と
聖女系の専用魔法だからだ。
「あんた!」
「悪いと思ってるのよ。ごめん。そして、きっと私はあなたに、この”寸止め”ルールの確認用にあなたに挑んでた。って事で。」
「…じゃあ、あれは…。」
「受けてもらうためにあおった。ごめんね。」
軽い感じではあるが、治った以上は謝られたら、これ以上はない…。
「今度から、こういう事は心臓に悪い。できれば事前通達が欲しいな。」
「突発的な件かとかに許可はないと思うけど…。過保護すぎるのもよくないよ。」
「自分の大切な部下だ。それは…。」
「分かってるからこそだよ。そのままだと、過保護すぎちゃって、鍛えられないから…。あえて心を鬼にして送る覚悟が欲しい時もあるんだよ。さて、要件終わったし、検証ありがとうね。:」
「あ、いえ。」
「ペルー。後は任せた、当日来るからね。」
そう言って軽い足取りで帰っていくケイを…恐怖の目で見つめていた。当日の大会では当然のごとくケイが勝利して、優勝していったのだった。




