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はじめてのまおう~《勇者に俺ツエーさせるRPG》   作者: どたぬき(仮)
始まりの魔王 高橋直の章
28/1806

2-10 ダンジョンは叫ぶ

【コアとして!ダンジョンに住まう者たちに伝えなくてはならないことがある!我らがダンジョンのモンスターたちよ!心して聞け!】

 その声にエルフの里にいるエルフたちは天を仰いだ。

【今宵!我らがマスターナオは勇者に殺されかかった!】

 その言葉に全員の驚きの声が広がった。

【勇者たちは我らが主が為そうとしていた平和的な解決を無にし!その街を滅ぼした!】

 その声に村を訪れたエルフが目を見開く。

【愚かにもマスターが恩赦を与えた者たちを虐殺し!その血を流させた!】

 それまで狩りをしていた筈のシースライムたちの動きが止まり、じっと海底を見つめ始めた。

【私たちはその暴威に抗うことができず!無念にも撤退を余儀なくされた!】

 その言葉にトレント達が大きく揺れる。

【今、ナオ様は撤退の路にあり、この地に帰ってくる。】

 その言葉にネルはじっと空を仰ぎ見る。

【なんと悔しい事か!なんと腹立たしい事か!お守りもできない我らの体が恨めしい!】

 その言葉にゴーストの子供たちが涙を流し、歯を食いしばる。

【本来ならそのような悪逆の輩!一命の元切り捨てねばならない!だがぞれが我らには敵わなかった!】

 その言葉にシーアサシンは大きく振るれていた。

【この言葉はダンジョンのモンスターたちにしか聞こえないがよく聞いて欲しい。】

 ナオはエレノアの体が少し震えているのを感じた。

【命令ではない!お願いだ!今後このようなことがある時のために、皆鍛錬に励んでほしい!強くあって欲しい!】

 その言葉にアラクネは新たに決意する。

【我々が二度と!このような無様なさまを見せつけないように!そしてナオ様に危険があれば一刀のもと断ち切れるように!】

 その言葉にレイスは拳を握締、じっとその拳を見つめていた。血が出る体なら、その拳から血があふれ出たであろう、そうでない体を恨んだ。

【我らのために砕身してくださる主も守れぬ愚か者と言われないために!我らのために惜しみない愛情をもたらす主の剣たり得るように!】

 その言葉にエルフたちは怒りでたまらず家の壁を殴る。

【皆よ!鍛錬せよ!次なる戦に勝つために!ただここで水を差すようで悪いが皆には伝えねばならない。我らはナオ様より使命として時折偽りの敗北をしなくてはならない。】 

 その言葉にウッドゴーレム達が地団太を踏む。

【だがそれは主命であり、それを行うは主様の為である!主命を果たせぬは一番の痴れ者と知れ!】

 そこの言葉にたまらずトレント達が膝をつき、ダンジョンのある方向に頭を下げる。

【皆よ!主命無き箇所で負けるは恥と思え!主命に従わぬはもっと恥だ!我らはナオ様の愛情で生かされている!】

 その言葉にネルは涙を流していた。

【悔しいなら修練せよ!己が生に報えぬ自分を嘆くといい!次においては我々が絶対であると思い知らせてやるのだ!】

 その言葉にエルフの里では時の声が建物を震わせていた。


 その中をナオは無言で帰る。自分の家である魔王城に。

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