9-秋SP5 勇者を表現する会議
「で結局会議なのね…私たちで。」
そのままリューネさんとコクヨウが呆れる中…会議はスタートした。今回のお祭りの目玉”勇者”をどうするかという事である。
「教授がいれば一発で決まったんだけどね…。」
「あの人結構ふらふらするから…。」
「そうなの?」
「プラークって奴もそうだけど、いなくなると一か月2か月、ふらっといなくなるのよ。」
「プラークは今ザガートンの大陸で旅行してると報告あった。で、特産品情報を送ってもらう話した。場合によっては町の収益上がる。」
「あの人全国旅してるんだって?」
「そう、その為に金を稼いでる、変わった人。」
ネルとかもいるこの会議は僕にとって久しいものだ。そして、これが魔王軍のいつもなんだよな、横道にすぐそれるけど。でもあの人がいるから、僕たちはこうしてるかもしれないと思うと凄い、あの人には尊敬の念を抱いてしまう。僕たちはこの世の中が怖くて、強化してるけど、あの人はそれがなくても、危険地帯に飛び込める。それだけの経験があの人にはある。
「でもさ、勇者見て何するんだ?パレード?」
「ああ、それもやる、勇者を連れて各国首脳の目の前で挨拶させる、民衆にも見せるのでクラウドドラゴン戦の参加勇者を台を載せたゴーレム車に乗せて、街道を練り歩く予定。」
ゴーレム車は現在ぱるみたーく及びエクトネーゼ内ではやっている、土の魔法を鍛えると作れる”ゴーレム”に馬車の荷台を引かせたり、又は、専用改造されたゴーレムに乗るという土の魔導士が作るものだ。但し、このゴーレムには欠点がある。まずHPやMPが死ぬまで回復しない。これを解除するには”ゴーレム改造”という土魔法LV10が欲しい。正確にはHPをアップさせる改造を行うのだ。で、MPやHPはは命令をして働かせないと消費されないが。回復能力が生命にあるのに対してゴーレムにはない。ので、作業するたびに消費され最終的には土くれに戻る。なので常に土魔導士が欲しいのだ。しかも一回製作の重さkg分がそのまま力となる。なので軽くなると弱く、重くなると力も強い。なので、これに使う用に素体として、ブレイブ大陸では鋼鉄とかの”金属素材”が高騰している。また、ゴーレムの頭の良さは”内部にある使用された魔素の量”に応じるので、その観点での改造案として魔石を各所に嵌めた”魔石付きゴーレム”というのも流行っている、頭がいいと、細かく命令しなくても動いてくれたり、自営してくれるのだ。勇者SNSではこのゴーレムに”人格”を吹き込み”メイドロボ”を作る計画もあるとか…。
「でも、それさ、勇者の無駄使いじゃない?」
最近できたミルクから作ったソフトクリームをなめつつリューネさんが企画書を叩く。で、今回はほぼ病み上がりというか、別の大陸でギルド立ち上げを行っているはずの教授もオブサーバーで
呼んだ。
「ふむ…。勇者の実力を示せか…確かにSNSでは勇者を信じない者も多いな、こっちの大陸もそうだった。」
「そうかもしれない、実力は映像だけでしかないし、確かに…強さはみんなに伝わらないもんね。」
そう言えば勇者SNSでしかクラウドドラゴンの討伐は見られないし、攻略法がばれると、懸賞に問題があるって、成功映像は神様に公開差し止めされた。だから証明するものもない。一応、ドロップ品の”クラウドドラゴンの欠片”と”浮遊城の財宝”という売り専用アイテムが配布されている。欠片はナンバリングがあり、そのすべてと、再現材料が集まればクラウドドラゴンを作れる。但し、実は後で、再現法を見せ貰って頭抱えたが…。条件に”直径2m以上の死んだダンジョンコア”という記述がある。サブコアでもダミーコアでもいいが一度ダンジョンが停止している事と、”レベル10のダンマス”の討伐が欲しいという二つが壁となっている、そんな僕とか倒さないとだめらしい。なので、現存する素材ではクラウドドラゴンは作成できない。そして財宝は宝石とかのキラキラした物で、きれいだ。ついでに今回は”武器のコンテスト”としてオークションを、国家主導で行う予定だ。無論これも国家が依頼した作品で”国威発揚”となる。で、それを作ってもらう職人の面接に、現在、各国の役人や王自身も向かっている話だが、そのオークションに”浮遊城の財宝”を出展する話が決まっている。これでお小遣いを勇者に稼いで貰い、こっちに来るときにはせめて装備をよくして、市場に還元して欲しい。
「じゃあ、どうする?秋だから運動会とか?」
「走るの?」
「ふむ…確かに、比べるにはそれがいいかもしれないが、それだと勇者が強いとはならないぞ。」
「どうするのよ?」
「戦うのが一番では?」
「戦い?」
「ああ、確か最近ルールの買い付けで、”寸止め”とか”人間蘇生可能”とか同盟ルールにあっただろ?その辺が使えないか?」
そんなのあるの?
「確かに同盟にはある。亜人同盟になって人が増えた。できた。」
「そんなのあるんだ。魔王軍にはないね…。」
「人数による差があるんじゃないかな。一応僕たち、リューネさんと南さんとネルのダンジョンと提携してるし、同盟みたいな表明したものではないから。独自に数人欲しいんじゃないかな。そうでないと考えられない。」
これ、ちょっとづつでいいから、ダンマスの仲間集めないと同盟ルールとか購入できないぞ。これはまずい。
「ナオもあせるのだな…クックック。」
「大丈夫、ナオ、私が守る。」
ネルがギュッと僕の手を握るが、恥ずかしいよ。
「あー。私も。」
お姉ちゃんもぎゅっと手を握る。恥ずかしいよ。
「私はいいわよ、あとでハグしておくから。」
しなくていいよ!




