9-5 パンダ同好会伝 柳田の提案
ちょっと区切りの関係で短いです。
それは現在のパンダ同盟の白側のトップであり、元はこの大陸北部での2大勢力の一つ、白き旅団のトップ白狐の徳永笹美がダンジョンの領域を広げ、外に出た時の事であった。
たまたま王は食料調達のため、自ら兵を駆り、近くの野山に来ていた。その美しく気品ある鎧姿に憧れ…いつも遠目に見ていた。基本白の旅団は4名の同期ダンマスが手を組む
広域型のダンマスで、広い領地と領域のDPによる稼ぎだった。そして黒となる獣人とダークエルフたちによる6名の小規模ダンマスが集まる、それなりに大きい”黒き獣”
のチームが最近参入し、名前を白と黒が混ざるので”パンダ同好会”とした所だ獣の部分は向こうに譲ることで、一定の交渉の有利を与えた形だ。
「どうにかできないかな?」
笹美が全員を集めての会議はいつもこれだった。
「でもさ…まだ、等言うって事にはなってないわけだし、それに人間だろ?相手?」
それが黒のトップ”黒のトップ、ダークエルフの新井鈴見のいつもの返しだった。
「でも人間のエリアを取れれば大きいのですが、人数がそろわないのです。」
確かにダンマスは外に出ることができ1000DPで人化の能力を持つモンスターのデータさえ得れれば外への派兵も可能だった。但しそれには”人間の生活”ができるある程度高コストのモンスターに取り付けたうえで、やるしかなかった。その為に黒き獣では、領地で稼げない分を”スタンピード”を起こすことで稼いでいた。弱いモンスターを大量に送り込み、人間に討伐させ、戦闘のどさくさに自分たちは死体を回収し、DP利益を得るという稼ぎ方である。が、これは徐々に効果がなくなっており、相手の兵力が上回りつつあった。いつかジリ貧になる。それが結局”黒き獣”を同盟に駆り立てたのだ。おかげで広域のエリアとお互いのモンスターデータの共有で幅が広がり戦力は補充できた。がこれ以上の戦争はDPの無駄。それがお互いの意見だった。が、その中の置いて、…恋する瞳となった。徳永を止めれるものはいなかった。
「どうやって近づくんだよ?」
それこそが課題だった。徳永は白い狐耳の獣人であり、隠すにしては耳が大きすぎたのだ。ついでに尻尾もかなりのふさふさで、大きくこれも隠すには難しい。これで実は”人化LV1”を使った状態なのだ。だから、潜入は難しい。それが総意だった。ダークエルフにしても、肌が黒く、又配下のオークたちやまたは同盟軍のオーガ、は人語はしゃべれるが元がモンスターのため、単純な事しかできなかった。ので、外に出すわけにいかなかった。そこで人化できる人数をそろえる話となったのだが、そこで出てきたのが”エルフ”ダークエルフ”の仲の悪さだった。最初自分たちが選ぶときは弱いエルフは眼中になく、ハイエルフも戦闘向きでないと全員が見向きもしなかったが、実際では
人間と遜色ない外見と安いコストは人間を取り込むうえでは、妖精より楽でハードルが低かったのだ。その中でダークエルフである黒の者たちは当然”エルフ”の生産に反対した。生理的に受け付けないのだ。それが、人間を取り込むという事を難しくしたのだ。10人が数を多数揃えてもできないものはできない。かといって現在の潮流は”ダンマスは人類の敵”である。
「エルフ…はだめだよね…。」
トップの魔王軍はそれこそ綺羅星のごとく。収益において常にトップを独占していた。だからこそと思った。そして流れてきたのは”ギルド=エルフ=ダンマスの敵”という話である。がよくよく解説聞いてみれば”感情に起伏”があればいいので、何も”人類と敵対しなくていい”という考え方である。中長期的に考えれば人間を殺すより、その場で生かした方が利益が出るのだ。そして聞こえてくる恐怖の勇者軍団の話…。これは実はパンダ同好会にとって人間を取り込むことにかじを切らせる結果となった。単純に”勇者怖い”である。
「こうなったら最終手段ですな…。」
「何?柳田?」
「単純にそのまま…恩を売ってそのまま近づき、そのまま王国に取り入って見ては?」
「このまま?」
「それはいいかもしれねえな。」
「だってこんな外見だよ?」
「いやあ、モフモフは正義です。」
真面目にいう、レイスの柳田は…お前骨だろって全員が思った。ついでに外見で存在する”獣耳”は周りに合わせて変身しているだけだ。
「ただ、お美しいので皆様は。それを利用し、モフモフ教に染めるほうがいいと思われます。なので、あえてこのまま…。そして、私に作戦があります。皆様お願いします。」
「分かった。」




