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はじめてのまおう~《勇者に俺ツエーさせるRPG》   作者: どたぬき(仮)
第7章 白と黒と龍
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9-4 教授の章 始祖”ネル”

 入ってきたと事は…ファンタジー風のシャツとズボンというラフな格好ながら…獣耳が付いており、狐目という印象が合う、細めの男だった。流石に白というだけあって、服装も髪の毛も白い。

「あなたは、ネル様?」

「様はいらない。今は一ダンマス。」

 ネルは流石に不機嫌のようだ、ヨミはこっちの体に憑依して隠れているようだな…。

「これはビックネームですな…確かにこのお方相手なら、あのマキでは相手にならないでしょう。元魔王軍トップ流石です。」

「で、どんな用だね?」

「本来なら、植物公園の関係者なら従属するか又はと思いましたが、そこまでの大物なら…同盟…も視野に入れたほうがいいでしょう。今は亜人同盟とは距離を持っているはずです。」

「確かに…あの時は雇われてきた。」

 ただ、その言葉は嘘に近い。立場が逆なのを知らない。ネルも師と仰ぐ南君が、向こうから距離を離すのは難しい。

「ならば我らに付いて、人間を滅ぼす算段を…」

「どうしてだね?」

「え?」

「いや、君たちにとって人間はDP生産装置のはずだ。それを放置して収益源を無くせとはどういうことだ?」

 その言葉にネルがうなづく。

「そこまでお付きの方が知っているのなら…。ふむやりにくいですね…。結局今の人の数は我々より多く強敵です。ならばある程度間引いてもいいのでは?」

「多ければ生活も楽だろうに…。管理の手間は理解するが…。」

「今は対亜人同盟の為に奔走する日々です。いつ裏切るかわからない人より、モンスターや契約上の相手を優先します。」

「なら…いつ抜けてもいい”協力”なら、私は手を貸す。でいい?そこの”教授”が付いてくる、後…この鉱山一帯を独占領域で欲しい。それなら手を打つ、」

「…結構大きく出ましたね。」

「ここで徹底抗戦してもいい…そう雇い主はおっしゃっている。その時の被害を考えれば…あの映像を見て、被害の程度は理解できるよな?」

 ここでダメ押しを入れていく。一罰百戒。一つの物事を映像という形で使うのは定石という物だ。

「う…あ…少しお待ちください。相談してきます。」

 そう言うと柳田は立ち去っていった。

「ネル君、うまくなったな。」

「そう言われる、うれしい。でも飲む?」

 ネルはダークボックスからオレンジジュースを取り出す。

「脅しておいた。あの大きさの蔓の鞭が撃てるなら、自分たちの被害も計算するだろうよ。そして大方ここは現在…戦場の最先端だ。」

「え?」

「この地域には三つの勢力が争っている、ならその後ろに外に出たダンマスたちが付いているとは思わないかね?」

「あ・・・。」

 ここが戦争の最前線なら、自分の価値は変わる。強い人間は何やっても欲しい。そしていまここにそれにくさびを打つ”植物公園”が入ったのだ。当然勘繰る…。

「そしてダンマス同士での領地合戦は割譲に交渉がいる以上全滅か…または屈辱的降伏しかない。円満解決は難しい。コアは?」

「交渉を伝えれるサブコアをイアリングにしてある。これで”会談”を機能させれる。」


コンコン


それは一週間後の事だった。一週間ほど、管理者に頼み鉱山はしばらく閉山として、守備兵を周囲に置くことにした。そしてその内部ではネルがダンジョンの入り口を開設、一応レベル10ではあるため、これを元の大陸にあるネルの園とつなげた。これで補充及び渡航は可能となった。また、そこにカードで連絡すれば、ナオの連絡網が使えるとのこと。用意万端とはこういうことを言う。その間にブラックは実家に帰り、ヨミは文字通り使い魔の代わりをしてくれている。何より…このヨミの使える能力が非常に強い。流石、魔王という能力をしていた。

「入ってくれ。」

「決まりました。代表2名がこちらに来て協力と、この鉱山で手を打つそうです。但し戦闘の際にはこちら側で参加すること。だそうです。後、もう一つは。」

「君たちは何派かね?」

「さすが耳が早い、私たちは王妃派です。それがトップですので。」

「そう言う事か。」

 王妃派すなわち自分たちがそのまま結婚して取り入れようとしたのか…そしてその他は対抗組織がそのことをばらして分裂…という事か…。

「この…こむ・・・。」

 急に扉を開けて入ってきたダークエルフがいきなり・・いや二人ともか…膝をつく、一人はゴージャスな衣装をまとった…狐の尻尾を持つ女、そしても一人は黒い肌のボンテージ風の衣装を着た女だった。その瞳をネルは見つめていた。これが実は”始祖の存在”における効果の発動方法だった。”普通にしてよい”と言う命令を受けるまではこれの解除法が存在しない。

「どうして…いや、ネル…ネル様…。」

「普通に…ダークエルフと獣人だった。」

「これは何をしたのだね?雇い主殿?」

「これは始祖の存在の効果。実際ナオは言った。始祖の存在は絶対的な力を持つ。」

「さすがだな…。」

 教授が呆れていた。そういえばあの時聞いていた。実際信じがたいが、大方これが”始祖の存在”の効果。しかも亜人のツリーのトップであり”亜人の神”それが今のネルである。逆らう余地も本来残されていないはずだ。ヨミも霊と魔という対象への命令権を持つ。これだけでも十分な広さがある。確かにこの世界にはそれらが及ばない第3勢力はある。が対等に並ぶのが限界だ。しかも、転移者、転生者は獣耳とかエルフとか好物だ。実際のネルの怖さは本来ここにある。気が付かない奴が多いけどな…。ただ、普段は全員威圧しないように抑えて生活しているという。ここは交渉用に展開したのか…。

「どうしました、二人とも!」

「見てわからないの、ネル様よ。」

「だからと言って…。」

「その子の種族が大方、ゴーストかまたは、人化した別の種族だと思う。だから効果なかった。ただ、私は平伏されるのが好きではない。分かる?」

 そう言うと二人は立ち上がった。が、足は震えていた。

「でもどうしてここに?」

「教授を探しに来た。どうもこの子がここで世話になっていた。」

 そう言うとネルは私を指さす、今はいつもの服ではなく、ボロボロの服だ。

「え?」

「ここでの余りの労働環境の劣悪さに労働改善を訴えに行ったら殺されそうになってね…。それでだ、君たちにはすまないと思っている。」

「それは申し訳ありませんでした。」

 またも平伏する二人。それをジト目で、ネルは見つめていた。

「平伏されるのは好きじゃない。分かる?」

「あ、ああ、分かりました。」

 二人はゆっくりと立ち上がる。

「今は同盟なんだけど、会談はできる?」

「持って来てあります。私が交渉を一任されているので。」

 白い狐耳の女がずいっと前に出る。

【お互い、権限があるコアを確認。会談に突入します】

「えっとネル様は?」

「これが、交渉用の権限が記録できる専用のサブコア。」

「そうじゃん。よろしく。会談だよ。」

 イアリングから声がする。

「これはコアの声、サブコアと通信可能だから、これ経由なら会談が成立する。」

「常に持ってるんですね…。」

「壊れてもサブコアだから。後色々便利。で、今の状況を聞きたい。場合によってはテコ入れの協力する。」

「えっとネル様は…。」

 三人が膝をつき答えようとするのをネルが制する。

「会談で平伏はいらない。で私は今の状況、みんなの考えを聞きたい。場合によっては本格的同盟となる。」

「分かりました。」

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