9-2 教授の章 ネルとマジックフォン
「ありがとうございます。」
山を降りた私を待っていたのは、鉱山管理者という男の…感謝の言葉だった。彼の様子は観察する中で、労働者たちを声で支えた、そんな気のいいおっさんでもある。
「ふむ…。では要件は終わりかね…。」
「え?」
「私は重労働で疲れていてね…。感謝も君たちが労働したことに比べれば必要ではない。だから、まずは君たちが癒されることだ。ただ、潜入がばれないように君たちに。」
そう言うと教授は手を出し光を管理者の男に当てる。
「回復をひそかにでもできなかったことは謝罪させてほしい。そして、この国の今の状況を教えて欲しい。そう言えば情報を聞くに君ほどいい人間はいないのでね…。」
管理者は体を見てみる…確かに疲労は回復し、体が軽い
「あんたは一体?」
「私は”教授”と呼ばれていてね。それでいい。後、情報の提供を求める。出来れは敵がここの奪還に来るかもしれん。」
「ん?」
「だから、今の君たちの情報がまず欲しい…頼む。」
「では、今国は三つの勢力に分かれ、内紛中か…。」
この大陸の国状況は…考えたよりひどいものだった。どうもこの大陸は中央に巨大な、それこそ大陸二つ分も入りそうな巨大な。森林があり…。その周りに国家がひしめくのだ。この記録は、亜人同盟の出してる地図とは違う…どうも別の大陸か?これは。ドワーフの武器を当てにしてきた私には不幸な話だ。がで、その数少ない人間の領土をめぐり戦争をしているのが現状だ。しかも最近は化け物も森の中から出るようになり、先ほどの人間の言葉を話すものもいるという。本来は争うべきはないのだがスタンピードの防衛の最中に起きたのはそのまとめていた王の死亡だった。その争議が終わるともに王位を…公爵派、王子派、王妃派の三派に分かれ、争い始めた。そしてその争いはもう3年にはなるという。そしてここはそう言う意味では重要な鉄を生み出す鉱山だったのだ。
「そうなるとここは数回は攻められているのか?」
「我々は救援が来ると思って待っていた。があの化け物がいるとは思わなかった。」
「化け物が戦略拠点を利用してる。そう思わないのかね?人語を理解しているのだ。当然、情報収集もするぞ。」
「それは…。」
脅してみてはいるが予想はもっと最悪だ。
「で、ここに後援者はいるかね?」
「いや、いるかもしれないが。分からない。ただ、特定の勢力との取引があったわけではない…。王には忠誠しているので中立派だ…。」
「ふむ、そうだな。もう一つ聞いてから私の身の振り方を考えよう。ギルドは知っているかね?」
「は?」
「分かった、それでいい。近くに宿屋はあるかね?又は空いたベットでいい。」
「それなら…ここから少し歩いたところに酒のマークがついたところがある、その二階に止まるところがある。そこに行ってくれ。後で私が伝えておく。」
「分かった。それでは失礼。」
そう言うと私は管理者の事務所を出る。大方これはまずい。まだ戦は終わっていない。
「…やっと見つかった。”教授”。」
声のした方を見ると…そこには懐かしい顔があった。
「久しぶりだな。ネル。クックック。」
「色々溜まってる。言いたい事!」
その金髪の少女は怒ってそのまま教授の腕を引っ張る。
「こっち来る!用件済ませる!今、ハーリスに頼んで、いろいろ調べさせてる。」
「なら、ちょうどいい場所を知っている。が、ここはギルド通貨が通じないようでね…。そこは。」
「大丈夫、物を売ればいい。」
そう言うとネルは懐から白い塊を取り出した。そういえばエルフにはこの手があったな。
「探すに結局3か月かかった。”教授”は、本当に”教授”。」
怒りながら、ベットのふちに座り、足をブラブラさせている。ここは言われた宿泊部屋の一つで…一応一番いい部屋を取ってもらった。その初めての宿屋の部屋の中にネルはいた。
「悪かったよ。そういえばナオ君には会えたのかね?」
私も近くの椅子に座り…酒をあおっている。ここはどうも治水が悪いらしく、水よりも酒のほうが保存がよく、安いのだ。だから基本、飲み物は酒になる。
「会えた、そして手紙の件を聞いた。だから、…助けたかった。」
「どうしてだね?ナオの元にいればいいではないか?」
「私はナオに会って…。ナオがいるとわかるだけでも満足する。いなくなれば発狂でも、私たちはいるとわかっていれば安心する。」
「それは象徴というものだよ。君にとってね…。さて、それで終わりなら…。」
「ちがう。ヨミ…。」
「あいよ。」
そう言うとネルの影からロングドレスの女、ヨミが現れた。
「ブラックを返して欲しい。七海に頼まれた。」
「彼女にか?」
「うん、双頭で取り込む。そのあとにもう一回聞く。大体パワーアップすると聞いてる。」
「ふむ。ブラック君はいいのかね?」
脇から少女が出てくる。
「ヨミさん。」
「ああ、今回は受けても教授の為になる、心配するな。後任は用意してある。」
「分かりました。行きます。」
そう言うと、ネルにブラックが移っていく。
「ブラック。頼みある、今まで持ってた教授の道具はこれに入れる。後、これは闇魔法がないと反応しない。だから教授はこのオーブでスキル取って。」
そう言うと懐から、スマホらしきものとオーブを4つ差し出す。
「これは?」
「ハーリスから頼まれた報酬。それ一個25兆DPとか言う凄まじいDPかかってる。で、やっと望んだ範囲のことができる奴が出来た。」
「ほう?」
「但し使うに今は闇魔法の4レベルないとできない。だから、それにギルドカードを当てて、認証させた後にそのオーブで闇魔法を取って欲しい。」
「ではこれが…。」
「発注通りのゲーム機とそして、ゲーム、後音楽もセット。後鑑定、マッピング、周囲マップ野外マップ表示、アプリ導入機能付き。後エンチャントも結構つく。一応、コアを元に作ってあるから魔石吸収成長機能もある。」
教授は早速スマホにギルドカードを押し当てる。そうすると…画面にスマホならではの物が映る。
「名前をマジックフォン、燃料は本人のMP,大体一時間10MP食う。で機能使うとさらに食う。」
「この衣装チェンジ機能とは?」
「それはその周囲に実はダークミストが掛かってる。でそれを付与したダークマターで連携して、服の形でまとうことができる。またミストなので、拳でもスマホにかけたエンチャントで攻撃可能。」
中身は確かに音楽600曲、ゲーム系が多い、そしてゲームも…起動すると、手元にコントローラーが現れる、動かしてみると確かに動く。これは結構便利にできてるな
「どう?満足した?」
「ああ、衣装も自分の物が変えれるなら…魔力で硬さも行けるだろう、かなり要求を満たしたな…電話機能は?」
「これを持っている同士ならMP使えばダンジョン内でも通話可能。但し高すぎるから、試作版とそれしかない。ついでに持っているのはキラリ。生産には莫大なDPがかかるので大方魔王軍幹部向けしか出さない。」
「あまり役に立たないな…。」
連絡先が少ないのはきつい、交換手としてのキラリはもっときつそうだな…。




