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はじめてのまおう~《勇者に俺ツエーさせるRPG》   作者: どたぬき(仮)
第7章 白と黒と龍
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9-1 教授の章 鉱山制圧

残酷注意です。飛ばしてもいいかと。

”お前ら!そこまでだ!休憩しろ!”

 監督官のオークの声が響く。作業の音が止まる。周囲から安心の息が漏れる。

「この鉱山はマキ様の大切な鉱山だ!言われた通りに休ませるが、しっかり働くように。」

 そう言い残すとオークはその場を去っていった。

「俺たちどうなるんだ?」

 隣の男が見渡す、そこにはくたばりはてたような、人々がいる。

「モンスターが支配する世の中か…。どうなるんだ俺達は?」

 男たちの愚痴もわかる。実際彼らはここで、定期的に食べ物を分け与えられ、そして、この炭鉱で鉱石を掘っていた。

「さあな…。」

 少年は寄り掛かる、みんなは知らないだろうが…私は知っている、これが”生かす”ための搾取であり、思考を奪うための物であることを。そう。DPのために活かされた奴隷。それが私達だ。

「でもよ、なんで俺達は生かされてるんだ?こんな化け物…力も断然違う。」

 その声の気力はない、数人は奥に連れていかれ、そしていらない人間はここで労働なのだ。がどうもが意見がイケメンの者から連れていかれているのは分かっている。

「この化け物たちに俺達は殺されるのか?」 

 周囲の不安は大きい。

「私にはわからないな…ただ連中は私たちに価値を見出しているのは事実だ。それを裏切らぬ限り、殺しはしないだろうよ。少し奥で休む、もう相当働いたからな、しばらく来ないだろうよ。」

 この鉱山はモンスターに襲撃され占拠された。私はちょうどそこに武器の新調に訪れていた。この様子を見て、私は依頼の事を思い出した。そして潜入したのだ。

『確認したよ。”教授”』

 炭鉱の奥の通路の暗がりに一人の少女がいる。それが今の相棒”ブラック”だ。

『ここはやっぱり初心者とまではいかないけど、経営が芳しくないね…。で、人間牧場の計画があるみたい。あまり善良なダンマスじゃないみたい。』

『そうか…。駆逐せざるおえないか…。』

 そう、それがナッツ経由で送られた手紙にあったナオの依頼。大方私しかできないであろう”ダンマスの間引き”である。人類や自分たちの手では必ず限界があるであろうダンマスの管理。それの依頼だった。報酬が支払う事になっているがそれ以上にナッツのあの…魔王を倒し、自分を証明するときのやる気のある顔が私の…私の思いに火をつけた。元々勇者は魔王を倒すもののはずだった。人間に無害であればいい。だがそうでないなら、潰さねばならない。人間が生きるために。その為の選別方法を考えていたのだ、そして勇者SNSの亜人同盟の南の話。それは私の闘志に火をつけるに十分だった。クラウドドラゴンとか言う大物の討伐、そうだ、私はこの世界に来て…ゲームみたいな人生がしたかったのではないか?私は思うがままに…いや、思ったように…新大陸に渡った。不運にも船は途中で沈没し、ブラックに飛行を譲ってもらい、ぎりぎりで着いたがそこでの冒険に胸を躍らせた…そして捕まった。無論、私のギルドカードはダークボックスの中なので見つからず。そのまま必要な装備を持ち込み、変装してここにいた。もうかれこれ2か月は鉱山での労働だった。状況が切羽詰まれば打出するつもりが、どうも様子が違う。

『ふむ…となるとDP稼ぎがメインか…。」

『みたい…。ただ、そんなに長く生かす気もないみたい、何人か反抗的なのは殺して、餌にしてる。』

『なら、私たちもいずれ餌か…ならそろそろ決行するか…。』

『分かった、一緒に行こう。』

 ぼろぼろとなった木のナイフを取り出す、3年の間使い続け、激戦を乗り越えた。最初ネルに渡された時は一笑に付したが実際鉄並みの硬さを誇る木であり、それを聞いた時に合板の技術を話し、そのまま作ったのがこの木の合板のナイフだ。ついでに今でもエルフの里の販売では売られている。が、そう言えば寄ってないな…。私はギルドカードを取り出し、食事を買い付ける、パンと牛乳だ。そして…ボックスから煙草を取り出し…火を付けた。そして、パンと牛乳を腹の中に押し込めるように食べると立ち上がり周囲を見る…もう全員の気力がない、限界だろう…。ついでに武器となるものを人数に合わせて買い付け…ボックス内に入れる。そして立ち上がると悠然と…見張りの監督官オークの元に向かう。

「一つ聞いていいかね?」

「何だ?ぼうず?」

「君たちはいつまで私たちをここに閉じ込めておく気だ?」

「…ご主人様がいいというまでだ?」

「それなら聞き方を変えよう。福利厚生のために気晴らしとか用意する気は?」

「貴様?俺に逆らうのか?」

 じっと少年がオークを見つめる。

「君は下手だね。そう思わないかね?」

「んだ?」

 そう言うとそっと少年は手をオークの腹に当てる。その瞬間オークの体は震え…そのまま崩れ落ちた。闇のレベル1魔法”シャドウタッチ”である、攻撃性能だけで言えばかなり高いが欠点は攻撃を用いないで触れた時に限り機能する攻撃魔法なのだ。大体一回戦闘で一回使えればいい。接触までの攻撃と認定されれば機能が失われる。という魔法だ。崩れ落ちる巨体の音に周囲の男たちは私の方を見る。そこで用意してあった武器をダークボックスから取り出す。

「このままだと私たちが死んでしまうからね…。だから君たちはこれで武装しておいてくれ、後、飯も置いておく。食べて、絶対にモンスターと一対一で戦わない。いいね?」

「あんたは?」

「そうだな…”教授”と呼んでくれ。わが友からそう言われていたのでね。」

 そう言うと貯め込んであった食料も放出する。

「私はこれから、この鉱山の主の元に行く。それまでに食料を食べ、元気が付いたら、この鉱山を脱出すること。私はそれまで囮になる。」

「あんた…。」

「さっさとしろ!死にたいのか!」

「は、はい!」

 そう言うと男たちが食べ物に飛びつき、その騒ぎに鉱山の奥にいた人間たちも寄ってくる。それを背後に見て私は部屋を出る。億からは数体音を聞いて駆け付けたであろうオークの群れがあった。そこにダークアローを打ち込む、これも実はアロー系にしては射程が短いが、音がなく、また黒いため視認しにくい特徴がある。それで弾き飛ばし、そのまま奥に突き進む。


『ダンマスがいるのか?』

『ここはどうもダンジョンの入り口を掘って作ったみたい、サブダンジョンだと言っていた。』

『という事は、ここに設置したのか…ダンジョンを。』

 これはナオにダンジョンの作り方を聞いた時に知っていた。そう、サブダンジョンはサブコアがあり、自身のダンジョン領域ならどこでも設置できるのだ。鉱山の奥なら当然簡単に隠せる…。

『顔を覚えられることを覚悟していくぞ、お前は中にいろ。』

『分かった。』

 ブラックを体内に入れると、ブラックの記憶がこっちに流れてくる、憑依の効果で大体のダンジョンへの道のりは理解した。ダンジョン内部は…さすがに入るとアラームが鳴るので入れない。

そしてまたもオークの一団が来る。ここでMPを使うわけにいかない。一気に股の間を抜けるように走るとそのまま通り抜けた。

「後光!バリア!」

 後光にバリアを連携させ防御壁を展開する。これで手放しでも防御が可能となる、また、光の効果で影が伸び、闇の魔法の射程が上がる。案の定向こうからオークの部隊が槍を持って…

「影移動。」

 そう言うと影に潜り込み、一気に加速する。そして、連中の後ろの影に抜けて出ると、一気にダンジョンに駆け込む。中は…ダンジョンバトルでも使いそうなベーシックだな。

「貴様!何者だ!」

 目の前には又もオークの一団がいる。

「ふむ。」

 ダークボックスからメガネを取り出すと久々につける、やはりあると違うな…。

「そう何回も名乗りはしたくないのだが、”教授”だ。覚える必要は感じないが、見ているであろう…主への挨拶だ。」

「貴様!コクオウ様を馬鹿にするのか!」

「そうか、そう言う名前か…。ふむ、ひねりが無いな…できればダンマス殿に伝えておいてくれ。もう少し名前捻れ。」

「ふざけるな!。」

 そう怒鳴る瞬間…その隊長オークは倒れた。このシャドウタッチは本来レベル2のフリップスラップと組み合わせ、遠距離化が可能だ。それを使い…不意を打ってシャドウタッチを発動した単体威力だけならパニッシュメントレイを超えるので、こういう暗殺には便利なのだ。そして、たばこを取り出し、火を付ける。

「そうだな…貴様ら瞬殺して…コアルームまで行こう、そこで、ちゃんと労働条件の改善について、聞こうじゃないか。」

 そう言うと私は手を突き出す。

「パニッシュメントレイ!」 

 光の奔流が彼らを包むと…。そのまま全員が消えていた。そして、影を伸ばし、魔石を回収する。ダンジョンでこれはDP比率が高く魔物は復活する。魔石回収でダンジョン出のDP回収効率を下げ、ひたすらに損害を与えるのが、基本的なダンマスのいるダンジョンでの攻略方法だ。如何にこっちがリソースを吐かず、そして、向こうに損害を与えられるのか、それが求められる。その為に死体の回収が必須だった。さて、連中のいたところから計算すると…お…あれか…。階段を下りていく…。又も平均的な…いや、影を走らせ、地形を確認する。後光のおかげで影を使いトラップの

サーチが可能である、たとえ暗闇のフロアであろうと、光が優先するので、これで影を伸ばすことが可能なのだ。そして影に入っている間、その触感が残る、違和感があればそれが反応する。

「ふむ、やはりモンスターだけで行けると思ったのか…。このまま階段を探すために中央に行くか…。」

「お前…勇者か?」

 目の前には大き目な獣人の男がいた。

「何回自己紹介させればいいと思うのかね?」

「いや、教授だろ?」

 狼の獣人であろうそいつは棍棒を持ち…こっちとの間合いを量っていた。

「なら、いいじゃないか、それで。」

「俺は、マキ様一番の配下。コクオウだ。お前…何が目的だ。」

「まず、3度の飯と、後、風呂…そうだな、レクリエーションとしてゲームとそして…。」

「そんな要求!」

「マスターの首だ。」

 そう言うと私は一気に距離を詰め、コクオウの腹に全力でナイフを叩き込む。そして腹から血が飛び散る、

「な!・・・ん。」

「さっきの話を言う前に実行していないなら…。君たちに何も私は期待していない。クックック。分かるかね?」

「獣人は再生機能があるのを知らないのか?」

 ナイフが刺さり、そのままの体制でも、あまり危機感のない声が周囲に響く、ナイフは深々と腹に刺さっているにもかかわらずだ。

「知っているさ…。」

 そう言うとナイフを引き抜く…血が染みるにつれ、こいつは鈍化していった。

「一つ聞こう、君は人を愛してるかね?」

「今更だよ!貴様みたいなやつがいるから!」

「交渉決裂だな。私はこう見えて平和主義者なのだがね。」

 そう言う次の瞬間には教授はコクオウの後ろにいた。

「極光!」

 そして、そのままコクオウと名乗った獣人は崩れ落ちた。大抵の勇者はレベル6で満足するため、ほぼ見ることのない攻撃魔法。それがこのレベル9光魔法”極光”である。周囲の光を集め一点に集中させる魔法で私の最大火力魔法でもある。単純計算でパニッシュメントの数倍の火力を誇り、且つ周囲に破壊を及ぼさない。そこからは水を打ったように…ダンジョンは静寂に包まれた。そして、死体を消去すべく攻撃魔法を打ちこみ、死体も砕いた。が、ここまでにした。第一の僕は大抵どのダンマスも心の友として扱っている。その為砕けば発狂して襲ってくる可能性があるのだ。これはナオ聞いていた。ただ、見ている前だと回収できない。その為に本来は陽動部隊を置き気を引き付けて、ダンジョンに回収させる。大方、こいつがサブマスターだった。そしてその知識はなかったのだ。そして奥を見ると…ふむ…部屋がある…。、その部屋に入ると…巨大なオークがいた。

「我が名はタダカツ。オークジェネラル!貴殿に仇討ちとして!一騎打ちを申し込む。」

「私としては大方、慌ててそこで化粧しているであろう、ダンマス殿と労使交渉をしたいのだが?」

「何を言う?我を無視するのか?」

「違うな…。私が知ってる男は、ここで前に出るのだよ、隠れはしない。だから、君は時間稼ぎだ。その程度でしかない…。」

「何を言う!」

 その直後…背中からいくつものダークアローがオークジェネラルに刺さる。

「影を支配しておいた。で、そこから攻撃だよ。」 

 部分憑依で温存させておいたブラックが動いてくれたようだ。実際に闇の大精霊である彼女は…相当強いとみてる。そう解説している間にも連射でダークアローが飛ばされる。ただ、闇魔法

は基本からの派生が多いが、実際攻撃も少なく消費も馬鹿にならない。その為人気がない…最近はダークボックスの話が広まり、徐々に人気が出てきたようだ。数十発のダークアローを浴びたオークジェネラルはそのまま倒れた。

「ボスなのにあっけない…。」

「君が上位種なのを忘れていないか?」

「オークも上位種。」

 ボス部屋は、部屋にいる設定された者のステータスを上げる部屋で結構人気ある。がそれでも闇の大精霊には勝てなかった。確か聞いた時には獣人が上位種族で、オークが獣人で上位。職業中位に将軍と王があるはず…少しこっちのほうが弱いのか…。ついでに闇の大精霊は上位でかつ職業持ちだ。その為さらに上位となる。そのつもりでねだったわけではない。そして奥の扉を上げると、頭を抱えたダークエルフの女がいた。、

「お前…!」

「そうだな…。」

 あからさまではあるが、普通に美人ではある…ダークエルフ…。

「本当は労使交渉に来たのだよ…3か月ほど、ほぼ休みなしで鉱山で働くのでね…。」

「ふざけるな、捕虜は一生働くものだ!」

「ふざけてるのは君だ。ジュネーブ条約では捕虜の人権を認めている。」

「…何を言っている!?」

 そう言うと飛ばして来るロックショットを難なくかわす。

「冷静さに欠けるな…。本来ダンマスとは交渉して、できれば温和にみんな平和的に行きたいと、雇い主も言っていてね…。」

「今更!わがダンジョンの全戦力を倒しておいて何を!」

「そうか?まだ配下は…いや交渉は決裂でいいな…私も無駄に3か月労働して、君たちの様子を見ていたのでね…できればもう少し優しい扱いが期待できるならこのような…。」

 その間もずっとロックショットで攻撃を繰り返すが、それはあまりに単発で…回避していく。

「私も同胞を殺すにためらいもある。が…君は愚かにも人を捨てだのだよ。」

 名前を見てちゃんとダンマスだと確認できた。十分だ。そう言うと…ブラックが仕事をして…相手の動きを止めた。影縛りだ。

「つらいなら私がやる?」

「いや、いい。ナオは言うだろうよ、責任は。」

 そう言うと、一直線に走りそしてその腹にナイフをえぐり込む。

「私が取ると言う。」

 腹から血があふれ出て…・。地面にあふれ出る。

「いつ見ても吐き気がする。リアルはやはり嫌いだな…。」

 ナイフをダークボックスの中にしまうと、死にそうなダンマスを睨んでいた。

「お前が…。」

「私は女神に聞いたことがあってね。死んでも君たちは無念なら勇者の列に並ぶのだろう?今度は人を蔑まない、いい人生であることを願うよ。さよなら。」

 そう言うと彼女の顔に手を当て…シャドウタッチを発動する。最後ぐらいは苦しまないように…。

「感情的に動くからこうなる。さて…。」

 ブラックが一度黒い世界を発動し、周囲のすべてを回収させた。そして、そのまま涙にくれるモンスターたちをすり抜け・・・・入り口に戻ると…入口が消滅してた。

「さて、終わったわけだが疲れた。」

 その行動の奥で座ろうとすると、黒い椅子が現れる。その脇には黒い少女の姿がある。

「今は休むといいよ。食べ物は?」

「そうだな、一緒に少し休憩してから降りよう。」

 私はダークボックスから煙草を出すを火を付ける。仕事の後の一服は本来さっぱり目の味だったのに…苦かった。

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