8-外伝10 突然の別れ
「すごいですこれ、デザイン一部変更とか!」
「気合い入れて作ったんだ。ついでに一応不壊設定になっていて、ギルドカードがあると、一定時間で本人の元に帰還するから、無くす心配もない。」
「キラリ様…。」
そこの二人…。もう何だろう、憧れの英雄見る目だな…。
「で、これを使ってしてほしい事がある。」
「何です?」
「まずはリアを使ってレベリングして欲しいのと、というの忘れてたな…。早音ちゃん、ここで君は帰ることができる、これ以上先は人類の敵になってもらう覚悟がいる。」
「はい。」
「リアさんの髪の毛ですか?」
「ああ。」
そういえばリアちゃんは髪の毛伸ばして持ち運んでいたな…確かにあれは人間ではありえない。
「私は、キラリさんに救われました。もうその命はその為にあると思ってます、その為に人類の敵になろうとも…。」
「じゃあ、キラリちゃんも書類渡すから、サインして。今度から規約変わってね。それに名前が無いときは関係者とならないってなった。地下室は。」
ケイお姉ちゃんが早音さんとキラリの元に一枚の書類が渡される。
「なんで?」
「ぬぷぷぷぷ。それに名前書き終わった後、南と、私、後…リア、後貴方も鑑定してみるといい。分かるから。」
キラリと早音は迷わず、書類にサインする。
「でリアは、偽装解除していいよ。」
「はい、弟のほうが飽きてまして…。」
リアは近くの椅子に座ると、そのままお茶をもらう、
「初めまして…かな?リオだよ、よろしく!」
縦ロールが震えてしゃべりだす。
「えー!」
流石に南も驚いたようだ。
「こう見えて、今はトリプルヘッドドラゴン。ちゃんとこのように人間型でも竜の首を持つのです。」
早音さんがじっとその縦ロールを見つめる。
「恥ずかしいよ。」
「喋った。」
「で、ここはまあ、級ではないか、裏で言う魔王軍の本部であり…。」
「そして、ダンジョン運営。でしたっけ?」
「うん。」
南がくいっとお茶を飲む。
「で書類にサインをしてもらったのは僕たちに不利益な事をさせないため。でないと与えるものが強力すぎる。」
「え?…あれ?師匠に第2職業がある?南も?」
「そう、これが僕のファクターの効果。だからハーリスに行ってこれば職業をもう一個付けれる、同じ職業が可能で、勇者が職業について50になると、職業勇者になる。これが最近の判明。」
「へ?」
「コクヨウがそれになってる、」
「そういえば、拳の勇者が付いてます。」
「どうも職業が統合する見たくて、で、そっちを第2に回した。で、経験値は第2が設定されているとその分も分割するが…。」
「成長もその分上がる、レベル上限が上がることになります。」
せっかくキラリのレベルを下げるのだ…一度は…上限が見てみたい…。最強の光の勇者の。
「強く…なるの?」
「文字通りの深淵だと思って下さい。私もキラリにはステータス偽装解除したものは見せてません。」
南がそう言うと、空気が変わった気がした。
「だね…。ついでにリアも付いてる。で、何これ?南が凄い…。」
「本当です。」
「シャラが大体これと一緒位なので、最初のクラウドドラゴン戦には投入しなかったんです。出ればどこまで味方に被害が出るのかわからなくて。」
「味方に?」
「はい。これくらいになると、腕を軽く振ると衝撃波が出ますよ。なので、いつもは制御してます。」
「師匠も?」
「うん。そう。だから、時々ダンジョンに帰って背伸びして、ってやらないと、気持ち悪くなる。」
「あの時の話は本当だったんだ…。」
キラリがしょげる。
「だからこその深淵だけど…東雲ちゃんとかその辺が全員一緒位だよ。」
「え?」
「ついでにあとで教授にも何回か挑んでみたけど、これでも同じくらいだった。世界の深淵はまだ深いんだよ…私が思う以上にね。」
「先生はどれだけ強いんですか!?」
「先生ですか?」
早音が不思議そうだった。
「キラリと南の勇者としての師匠で、今でもトップランクの勇者。それが”教授”。二人には先生と言われてるね。ついでに魔法単体だとリューネさんが最強候補だと思う。」
「そんな強いんですか?」
「こう見えてドラゴンだから。」
「え!?」
早音もそして南も固まったようだ。
「だってコクヨウちゃんが竜になるのは見てるでしょ?あれと一緒の事が私にもできる。そっちが本体。」
「そういえば私も本体がありますが、見せたくないですね…。」
「南さんも?」
「一応、あります。こう見えて私もモンスターの端くれなので、ただし人間に近いものですよ。」
「というわけ。」
「でもダンマスなら…いや亜人でないなら何で協力するんです?」
「僕はちゃんと意味があってしてる。最低でも盗賊や、野良モンスターに負けない力をみんなに与え、幸せになって欲しい。それば僕の願いだ。」
「いいですわよ。勇者様にはアグム、早音には魔法が得意なリオを渡しておきます。」
「さすがに私も理解ができないんだけど、何してるの?」
リアの縦ロールがいつもよりしだれて垂れさがるのを見ていた。
「ああ、使い魔機能のパワーアップ版という事で、首の数分、”憑依”ができる。で、竜の成長補正込みのステータス分の成長を憑依した相手に与えることができる、ついでに魔法体術とかもすべて共有できる、で、一体分を本体として残すことで、会話や、情報の伝達を共有して、戦闘に参加できる、気絶した首の分は本体が管理することでそのバットコストを解消するっていう感じ。」
「そういえば猫のみゃーは魔力体となって、私の方に止まり、物理無効化していましたけどこれならそれもいらない。しかも複数を一気に育てることができる。」
「というわけですの。」
「リアさん凄かったんですね…。」
「というよりそのチートっぷり…。」
「ハイスペックと言って欲しいですわ、もう皆さんにはささやくように挨拶があったはずです。その声が付いた担当者ですわ。」
「確かに懐かしいね。初心者ダンジョンの人か。」
「私は子供…ですか?」
「弟です。そっちは回復が担当なので、思考はそっちに傾きますが…。」
「という事はこれ、5人組も夢じゃない?」
キラリがニヤリとする。
「私のレベルが上がり、双頭としての実績が上がればできますわ。ただし、非常に私はレベル上がりにくいので、夢のまた夢だと思ってます。」
「そうなんだ。」
確かにそうだ…首が現在三つでそのすべてが職業と種族を持つ、そしてその分を全部頭割りするんだ。そして成長して増えるたびにさらに上がりにくくなる。
「その分皆様には期待してますわ。私の勇者様の活躍を思うと…。」
「リアちゃん、顔がゲスい。」
リューネが呆れている。
「ぬぷぷぷぷ。実際、私やコクヨウより強くなる可能性があるのは私たちだとリアだけよ。ただ、今回は私も一緒にレベル下げたから…ナオ君…ちょっとだけナオ君成分ちょうだい。」
唐突にリューネさんが僕に抱き着く。ちょうど顔に胸が当たる。
「やっぱりナオ君はいい匂いがする。気持ちいい。」
「長谷川さん!」
「ケイちゃん、しばらくナオを頼んだ、」
「え?」
「私の方はしばらくキラリを鍛えなおすから魔界とか後…。早音ちゃんだっけ、一緒に来て。」
慌てて早音ちゃんが頷く。
「後、コクヨウ、リア、それぞれ、魔王軍から独立して居を構える。竜の尾根あたりにダンジョン作って、出入り口を一つだけこっちで持つ。その辺は。」
「融通しておく、同盟で?」
「うん、配下から、っ立場を同盟に変更する。後の文章は前と一緒で。しばらく…南はどうする?一緒に来る?南?」
「私も放置できる体制ですから行きたいんですけど、これハーレムパーティですよね、どう見ても。ちょっとそこは苦手でして、しばらく国政が安定素まで…こっちにいます。」
「分かった。というわけ、時々、ナオ君の匂い嗅ぎに来るから、ケイちゃん。」
「はい。」
ケイも真面目に見据えている。
「ぬぷぷぷぷ。ナオを頼んだ。私は…キラリの願いを叶えに行くよ。冒険をしばらくしてくる。」
「行ってらっしゃい、向こうで結婚してもいいんだよ。」
「…惨いな、東雲ちゃんは。ただ、リア、コクヨウはしばらくダンジョン建設が終わるまでいてもらう、そして、成長したらリアには龍の子供を作ってもらう予定。やっと龍族のコロニーを作る気が起きた。」
「リューネさん?」
「私は始祖の竜。ネルが亜人の繁栄に奔走するように、私も”龍族”の安定の奔走する。だから、いつかはって思ってた。で、キラリにはしばらく一緒に来てもらう、せっかくだから向こうに君たちの居住区も作る。」
「行ってらっしゃい。永遠ではないよね?」
「キラリと一緒にいるのが飽きたら来るよ。」
南が泣いている。お姉ちゃんも一緒のようだ。僕の口元もしょっぱいものが来てる。
「じゃ、行くね…。」
そう言うと両手にキラリと早音、そして変身したであろうリアがネックレスとなり、リューネのそばにコクヨウが付く、
「じゃあね!。」
そう言うと…一気に全力でリューネさんが走ってい去っていってしまった。追走できるコクヨウさんが凄い。
「本当に騒がしい方で。」
そう言いながら通りに出ると、夕方の空に白い龍と黒い竜の2体が山の方に飛び去って行った。
「やっと、やりたいことができるんじゃないかな?僕たちは支えるほうさ。」
「だよね。でも…本当にすごい人です。あの人は。」
これで、外伝”キラリの冒険”終了となります。次回から第9章”白と黒と龍"となります。




