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はじめてのまおう~《勇者に俺ツエーさせるRPG》   作者: どたぬき(仮)
第6章 VSクラウドドラゴン
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8-外伝8 勇者キラリの冒険 説得してみた

 しばらく転入生騒ぎが終わり、一週間ほど経つと教室は普段通りとなり、時々娘の様子を見に来るリューネ以外はなれた感じになっていた。それとともに早音へのいじめもちらほら見えるようになっていった。それは一瞬するとわからないが、軽く…軽く無視や阻害をされているのだ。

「大丈夫?」

「いえ、慣れているから大丈夫です。」

「そういう問題じゃないと思うけど…。なんかあったら言ってね…。」

 ただ、それをじっと見るリアには…。周囲の目が…冷めているのが理解できていた。

「お母様の予想通りならそろそろ…。」


 その日の放課後の事だった。早音の周りに5人女子たちが集まる。

「お前ちょっとこっち来いよ、」

 そう言うと、数人の女子が早音を引きずり、教室を出ていった。数人が早音を引きずりトイレ連れ込むとそのままトイレの壁にたたきつけた。

「お前、新入生にいい子ぶりやがって!」

「お前が!」

 水魔法でそのまま顔面に水を叩きつけられる

「お前が私たちの勇者様を奪ったくせに!さらに奪うのかよ!」

「…やはり根が深いようですわね。」

 違和感ある一言に振り替えると、リアの姿があった。

「大方、先の戦闘で亡くなった勇者の従者たちや勇者たちの…あなたへの嫌がらせと思いました。解せないのは、あの子もれっきとした被害者ですわよ。」

「…こいつが弱いから、弱いから私たちの勇者様が死んだんだ!」

「あなた方も参加なさったんでしょ?なら同じでは?」

 その言葉に周囲がたじろぐ。

「てめえ!」

 振り返りざまにいじめっ子の一人がリアを全力でぶん殴るが効いた様子はない。

「わたくしこう見えて、訓練はしてきたので、この程度では。」

 微動だにしない姿に、全員が距離を取る。

「そう、言い忘れてました。私、それなりには強いつもりですので…。」

 いじめっ子たちが動こうとするが、体が動かない。

「このまま説教してもいいのですが、ここは少し狭いので、場所を変えましょう。」

「てめえ、何をした?」

「影縛りですわ。まあ、これ位ですとコクヨウ辺りなら、軽く力業で抜けて来ますが、口がまだ動くあたり、まだ私は修業が足りないようですね。」

 そう言うとリアの髪の毛が彼女たちに巻きつき持ち上げる。

「さすがにこの期に及んで、優雅にとは言えないので、その辺はご容赦を。後、そこの方。」

「はい!」

 早音が慌てて立ちあがる。

「服を乾かす熱風を出すので、少し…皆さん我慢してくださいね。」

 リアの頭の上の髪から少し熱い風が流れてくる。

「器用なんですね…。」

「慣れです。さて、乾いたようですわね。さて行きますか…。教室でいいですわね。歩けますよね?」

「はい!」

 リアは髪の毛をそのままに教室まで連れて行った。

「放せ!放せ!」

 そう言う間にも数発は魔法が顔面に当たっているようだが効いた様子はない。

「リアちゃん、…その子たちは。」

「光様。この子たちがあの方をいじめていたようで、実力行使してたので、取り押さえて来ました。」

 髪の毛に絡まるように5人の少女たちは体が動かせないようだ。

「離してあげたら?」

「とりあえず皆さんから話を聞きたいので降ろしますが…先ほどの様子を見てもわかるように…攻撃は効かない思ってください。」

 髪の毛が彼女たちを話し…地面に下す。

「それ、普通にモンスターが死ぬ一撃でしょ、あれ。」

「あれくらいだと、私はコクヨウにフルボッコにされます。生きていくにはつらいのですよ。どっち向きでも。」

 遠い目をしたリアを…誰も止められなかった。

「で、君たちは何でいじめを?」

「だって私たちの勇者が死んだのよ?それでこいつのような弱いやつが生き残るが許せない。」

「君たちの勇者は君たちをかばったんだろ?」

「う・・・うん。」

「この子もそうじゃないの?この子も勇者を亡くしてるんだよ。それなのに?」

「だって、死んだんだよ!人が‼人が死んだんだよ!」

「僕も冒険者してきた関係で、目の前で何人も仲間が死んでる。僕の盾になった騎士も兵士もいる。弱いころは僕はそれで吐きそうになった。盗賊に襲われギリギリ護衛を守っても、同僚が死んだ日も多い。戦場だと人が死ぬんだよ、僕たちは相手を殺しに行ってるんだ。だから相手は当然抵抗する。強くなりたかった。守れないのが嫌なんだ。」

 その言葉に全員が押し黙る。

「だって、ダンジョンでしょ、モンスターでしょ?そんな奴に勇者が負けるなんて…。」

「勇者だから何?」

「え?」

「勇者でも…僕の知ってる勇者はそんな弱音は吐かない。モンスターだから何?そいつだって生きてるんだよ?あそこは前から、普通の勇者では勝てないって言われてた。見た敵に僕たちは警告を入れ、僕たちは全力で対策を建てた。でも、死ぬときは死ぬんだ。」

「あなた…。」

「だから…だから…そんないじめをするためにキミたちを君たちの勇者が生かしたの?違うんじゃない?」

 キラリの真剣な瞳は全員をじっと見ていた。

「でも…。」

「僕たちは、勇者と呼ばれ、前線の先に叩き送られる。けど僕たちは普通の人間だったはずだよ?、一人で軍隊を相手させられる。それくらい勇者と従者には力がある。がそれを超える相手がいないと思わない。実際先生も、師匠もそれを通り越す強さだった。だから…君たちも強くなり…勇者にかばってもらったのが成功だった。と言われる程度に強くならないといけない。」

「勇者様。」

 リアの目つきがちょっと変わった…気がした。

「そういえば今の勇者はそんな話はされなかったっけ?僕の頃はそうだった。勇者は”生きた戦略兵器”だよ。今でもね。だから戦場にも投入される。」

「あなた、もしかして…。」

「だから、勇者にかばわれたなら…それを、後悔させないように生きよう。」

「キラリ様?」

「まあね、それは秘密だよ。」

 その言葉に全員が…輝いた目で見ていた。

「でも勇者ってなんなんですか?」

 早音の言葉は…重かった。

「今は南もそうだけど、みんなに後悔の無い生を生きて欲しいって思ってる。だから、聞いた話だと”冒険者に毛が生えた物”だよ。今の勇者はね。だからすべては自己責任さ。」

「今は…ですか…。」

「今みたく勇者が呼ばれる前は…僕たちは文字通り戦略兵器だった。軍隊の駒さ。だけど南が体を張ってそれを止めた。そして僕たちはここに移り住んだ。まあ、今の国家はもう勇者を兵器とは決して呼ばないよ。ただ、これから国難があればわからない。それは覚えていて欲しい、僕も従者も力を持つんだから。」

 言葉が終わるか終わらないうちにリアがキラリに抱き着く。

「流石ですわ。勇者様。」

「ちょ、ちょっと待ってよ、リアさん。」

「リアでいいですわ。」

「とりあえずこの子たちを…。」

 ジト目で、リアがいじめっ子たちを見ている。

「…殺して死体をしまえば、手間が…。」

「せっかく救ったのに殺す算段立てないでよ!とりあえず解除はできる?」

「はい、しておきます。」

 その言葉で全員がその場に崩れ落ちる。

「さすが、お母様が見込んだ勇者様、格が違いますわ。」

「じゃ、みんな分かったね。いじめるくらいなら、強くなって、勇者に救った事を後悔させないようにさせよ?」

「「はい!」」

 全員が明るく答えた。キラリ一人だけが苦笑いしていた。 


「こうやって見てると、キラリ君はやっぱり勇者なんだよな…格好除けば。」

「ぬぷぷぷぷ。そう思った。まさかリアがああなるとも思わなかった。」

 リューネさんと僕はハーリスの監視用サブコアを使い、教室の様子をタブレットに映して、見ていた。

「普通の格好なら普通にかっこいいんだけど、あの衣装だけが私の矜持が受け付けないのよ。」

 リューネはテーブルのケーキにフォークを入れ入れる。今は夕方ごろの比棘の無い雑貨店の中である。

「私にも少し見せてください。そっちに行かないと見えないのですよ。」

「南さんは一応、そっちのタブレットから見えるし…。」

「探すのが…。まあいいです。でもなんでリューネさんはキラリが嫌いなんです?ああ見えて普通にかっこいい勇者ですよ…格好除いて。」

「その格好が問題なんだって!私からすればあれは”おカマ”なんだって!昔から、ショタと男の娘は違う!って言ってたから、それがまだ尚受け付けないのよ。」

「分かる。」

「南さん分かるの?」

 ナオが意外そうに…手前のパンケーキを一口ほおばる。

「はい、これはれっきとした違いです。お姉言葉を使う”男”とオネエと男の娘は似て非なる存在なのです。なので、その差は厳粛にあるべきなのです。」

「そ、そうなんだ。」

「だからそこが苦手なのよ。でもそうでないなら普通にいい子よ。だから、リアを紹介した。」

「考えてたんだね。」

「ぬぷぷぷぷ。だけど普通だとあそこまでイケメンオーラがあると思わなかった。が、やっぱり格好がダメだ。」

 そう言うとリューネはテーブルの紅茶をグイッと呷り飲む。

「僕からすると、若輩者の勇者が―って思ったけど、成長してるんだね…みんな…。」

「そう思っていたんです?」

「意外とこう見えて、僕もダンマス歴長いんだよ。」

「だよね。」

「今のこういう状況がうれしい。こうやって育っている人がいる。それだけでも僕達は生きてる価値があるって思う。ちょっと嬉しかった。」

「でもこうやってモニター越しに人間を観察してると、神々って感じです…。」

「神というより僕たちは単なるは覗き魔だよ。」

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