表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
はじめてのまおう~《勇者に俺ツエーさせるRPG》   作者: どたぬき(仮)
始まりの魔王 高橋直の章
23/1804

2-5 ただ領主に塩を送っただけになった話、

「すいません、領主に会いたいんですけど。」

 門番は不思議な、そして胡乱な目つきで僕を見る。僕は背中に大きな袋を背負い

「なんだぁ?」

「領主様に献上したいものがありまして。」

「ならここで受け取ってやる。帰れ。」

「領主様に会えないと、すごく困るんです。」

「そんなの知るか。荷物だけ置いていけ。」

「困るんですよね…。こちらを…。」

 そう言うと僕は今までパン焼き場で稼いだお金を差し出す。貨幣は地方では役に立たないがこういう都会では役に立つのだ、今は。これは自分の実体験ではなるが、相手が偉そうなほど”賄賂”は

効果ある、自分が子供の頃にいくらでも見た光景だ。

「こちらで通していただけないですかね…。」

 その様子にまんざらでもない顔をしている。

「僕も偉い人に頼まれたので、引けないんですよ。」

「分かった、そこまで言うなら通してやる。付いてこい。」

 衛兵に先導されていく。領主の館は大きく、そして、倉庫も大きい。人も多いが…なんかみんな笑ってる人が多いな…。

「すいません。」

 ある扉の前で衛兵が立ち止まると急に声を…こっち向きじゃないな。

「なんだ?」

「来客です。」

「通してもらえ。」

「はい、」

 そう言うと衛兵はドアを開け…どっかに行ってしまった。

「どうした?少年。」

「はい領主様にお伝えしたいことが。まずはこちらをお受け取り下さい。」

 そう言うと背負い袋から少し小さな袋を取り出す。

「それは?」

「塩でございます。」

「見せてもらってよろしいか?」

「はい。」

 領主らしい人と、数名のおじさんが袋に寄ってくる。重かったがこれでも塩田で作った塩5㎏である。というのも荷車で持ってくると奪われるかもしれないので、今の段階ではこれ以上持ち出せない。

「これは…これが塩なのか?」

 よく分からない反応をしている。

「はい。塩です。」

「こんな白いのが?」

「はい。舐めてみてください。塩です。」

「じゃあちょっと。」

 そう言うと領主らしいおじさんは塩をなめる。なんか警戒感無いな…。舐めた瞬間顔が赤みがかる。

「この白い塩…凄い。」

「領主様、我らも。」

 そう言うと家臣の人たちだろうか…みんなで塩をなめ始めた。そして口々に褒める。…それはもう食レポ…でもないか…。

「凄いですな、」

「ああ、凄い。凄いぞ、」

「凄い、凄い、凄い!これは凄い。」

「なんという凄い!」

 なんというか、言語も発達してないらしい、凄い以外の単語が出てなくて、凄いがゲシュタルト崩壊してるのだ。

「よろしいでしょうか。」

「あ、ああ、ああ、君かすまないな、この塩を堪能したいので帰ってくれないか?」

 …。

「持ってきたの私ですけど。」

「すまない、この凄い塩を凄い堪能したいのだ。」

「では、終わるまでお待ちいたします。」

「いや、帰ってくれ。仕方ない!衛兵!ここの男をつまみ出せ!」

 そう言うと、兵士たちがやってくる。仕方なく連れ出された。なんだろう、何しに来たんだろう、僕。


「で、帰ってきちゃったんだ。」

「うん。」

 結局僕はあれだけ頑張って塩を持っていったにもかかわらず、塩を渡しただけで領主の家を追い出されたのだ。交渉に使えるとは思うのだが、こうなると思わなかった。

「おいしいよ、確かにあの塩、おいしい。」

 そうなのだ。あの海の塩は純粋に生物のミネラル分が入り、岩塩で作ったスープよりおいしいのだ。だが、ああ夢中になって人を追い出すまで…とは思えなかった。

「で、どうするの?」

「一応計画は進めるか…。本当は塩をエルフの国で作ってる事にして、ダンジョンの隠れ蓑にする予定だった。当然人は寄ってくるので、そこは歓迎して。」

「歓迎するんだ。」

「ダンジョンに入ってもらってもいい。但し、海な…。」

 そこはちゃんと対策済み。まあ、人が来るようになったらエルフの国で迎撃予定だ。そのための備えも…今作ってる。時間稼ぎも可能なので、偵察部隊と、コアの監視で大部隊は察知できる。

後は防衛用大型兵器トレントさん投入でいい。が、実はエルフの国(村)建設にはDPが足りないので一週間ほど待たないといけない。

「ナオはどうする?」

「僕は仕方ない、パン焼き所でパン焼きしている。次にもう一回領主の家に入るのに賄賂が欲しい。」

 そう言うと、服装を整え

「これ着ていく。アラクネさん作った。」

 ネルが持ってきたのはそう言うと簡単なシャツだった。

「丈が足りなくて、これしか編めない。言ってた。」

 登録して…そこで再取得。


 アラクネ謹製のさらすべシャツ 22000DP


「こっちのほうが楽だよ。」

 なんかすごいDP価値が出ている。どうもこの世界の衣類はごわごわがメインで、そこまで発展してないらしい。このままだろ染色もダメではなかろうか…。ついでのシャツも白い…この上に

エレノアが変身した皮の服を着る。これでないと目立ってしまう。が、そうだ!ネルの分も作ってもらおう。まあ、後でシャツはDPで出しておこう。

「後で、糸の束だけもらえる?」

「いいよ、頼んでおく。」

「じゃあ行ってくるよ。」

「行ってらっしゃい。」

 エレノアの行ってらっしゃいが優しい。これは前の世界ではなかったことだな…おっと。

「ネルを農園に送っておく。」

「はい。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ