8-11 リンクな冒険 ダンジョンバトルでお茶会とミカちゃん
だらっと感出そうとしたら、長くなり過ぎました。
「で、ミカさん、どっち行きます?攻め、守り。」
今からここにダンジョンのモンスターが殺到するというのにとても普段と変わらないのだが…なんかおかしい…。
「攻めは探すのが面倒。だから、守りがいいかな。で勇者様は当然どっちにも付いて言ってね。」
「えぇ!?}
「そうでないと討伐数が稼げませんわ。あと、勇者様はそのカードで偽装して”勇者であること”を隠したたほうがいいです。ミカも従者の事も。」
「なんで?」
「向こうのダンマスが、怒って兵を出さないか、または大型が来る恐れがあります。今回は冒険者に偽装しておきましょう、」
そういえばそんな機能があったなこれ…”鑑定偽装機能”…よし、魔法戦士にしておいた。魔法使えるからな、一応。ミカが準備運動をしている間に…ミヤックさんがなぜか椅子と机を出してる。
「GPショップ機能で、今度から、GPで買い物ができるんですよ。こっち来てください、勇者様。今回は私のおごりで、こちらのクッキーとミルク出しますので、一緒に食べてましょう。」
「その椅子と机は?」
「もう、神官らしくする必要ないので言っておきますと、闇魔法レベル3で、ダークマターで作った椅子と机です。魔力で作るので、少し離れれば消えるので、よく野外では作業用で作ってます。」
「そんなのあるのか?ってそういえば書類とかも出してたな…。」
「はい、あれが闇魔法の4レベルのダークボックス。ギルド職員は持ってる人が多い魔法ですね、異世界人には”アイテムボックス”機能と言えばわかるでしょうか?」
「アイテムボックスあるの?」
それ絶対欲しい。
「はい。私はこれで書類を管理してますので、仕事のはここから出してますね。但し訓練がいるので、魔力は上げておいた方がいいです。」
「で、俺は何で、」
「数にもよりますけど、勇者様にはまず、ミカの実力を知って欲しいかと。連携の第一は”味方を観察する”ですので、久々のダンジョンバトルならきっと見れるでしょう。」
今まで手加減してたのか?いやあ、そんなことないでしょ。
「で、攻める時に体力がいると思いますので、まずはここで腹ごしらえを。あと。これを。」
ダンジョンの俺とミカの間に、水の膜を張る、
「これで防壁作っておくので、まずはミカの所に行ってもらいましょう。」
これは見た事がある、防御に使う奴で水魔法のレベル5、ウォータースクリーンって奴だ。結構上級って聞いているが…。こうやって見てると、何事もないように使ってる。
【ダンジョンバトル成立しました。ただいまより一時間、相手から攻撃が来ます。ご注意ください!】
「了解!」
「当然ですね、向こうはかけ持ち有りと聞いてこっちの戦力をそぐ”先攻”と取りに行ったのでしょう。」
取っている間に向こうの入り口が開き…鳥らしいものが飛んでくる、それをミカは石礫を投げて迎撃する。
「ダンジョン偵察隊から来たか。」
「なんかすっごいミカさん慣れてない?」
「はい、ゴブリン村は魔王軍で唯一”ダンジョンバトルOK”のダンジョンでした。その為、よくダンジョンバトルを挑まれていたのです。」
「え?ミカちゃんも?」
「はい、魔王軍ですね、今は亜人同盟ですが、そうなる前は角は隠していたので、人間に見えていた筈ですよ。」
その言葉にリンクはびっくりしてみていた。
「その中でも戦闘班という”幹部候補”というか。」
そういう間にも石やら倒れたモンスターやらを投げつけて飛行部隊を抑え込んでいる。
「それが、あの傭兵部隊なんですよ。私たちギルドも、本当に危険性が高い時はそちらに依頼してました。そういう物なんですよ。」
そう言っている間に鳥が来るのが収まり…。向こうから怒号が聞こえてくる。
「じゃあ、戦士の一族なんだ?」
「いえ、あの方は狩人。ハンターですよ。飛び道具のほうが得意なんです。」
「勇者様、そっち来たらお願い。ミヤックは…。」
ミカが棍棒の素振りを始めていた。
「飛び道具のほうが得意なんですが、種族特徴で、弓が使えないので。物を投げるほうが専門ですね…。」
「解説…。先生。ちょっとはこっち見てよ!」
「あなたの解説ですよ、むしろ勇者様に売り込んでるんです!」
そう言うと向こうからオークの大軍がやってくる。
「ありがとさん。けどさ…援護とか支援あれば…。」
「傷がつけば直しますが、それくらいでいいでしょ。」
そうぼやきながらもミカはオークの懐に飛び込み棍棒でオークをぶん殴っていく、そしてその一発ごとに首が消滅していくのだ。そのくらいの腕力で薙ぎ払われていく、
「見てわかるとおり、この世界でのオーガの特徴は”力”にすべて傾倒してる事です。すべてのスキルとか能力がです。」
「そういえばヒューマニックオーガって。」
確か見た時に種族が書いてあった。
「そう。オーガなのです。」
「オーガか…。」
「で、種族にレベルがある場合、経験値が分散する代わりにどっちがレベル上がってもステータスが成長する。すなわち”レベル上限”が高くなるという特徴があります。そのなかで
彼女は種族、職業、どちらの利益も受け取れますが、そのすべてがSTRに傾倒してるのです。」
「腕力特化。」
そういう間にも・・・オークたちの足が止まった。余りの惨劇に恐怖してしまったからだ。ミカの傍にあったのは、首なし死体の山だった。普通では棍棒で首を吹き飛ばすとかそんな腕力
考えたこともなかった。
「そう。大きさは人間ほど…いや、少女なのですが腕力だけで言えば並の勇者より高いんですよ。」
「来ないのか?お前ら…。」
ミカがにらみを利かせるが…うん、この血しぶきの中で、これ以上クッキーを食べることはない…ちょっと気持ち悪い。一応血しぶきはこの水のカーテンが防いでいるんだけどね。
「確かに、ここまで敵がふがいないと、食欲もなくなりますよね。わかります。」
「あるあ・・・ねーよ!」
「来ないなら帰れ。ダンマスの命令なんだろ?あんたらは。来いよ。来ないなら帰ってダンマスの指示受けて来い。」
「後勇者様、これ見てるとわかりますが。モンスターでも意思や知識はあるので、実は9割以上”交渉可能”です。」
「じゃあなんで殺し合うんだよ?」
リンクは流石に自分を全否定されている気がした。
「自衛です。ダンマスには”領土拡張したい”と言う方は多いです。その為にダンマス同士は収益の為に争うのです。要するに野良の動物に襲われるのと戦争。これはモンスターでも人間でも一緒です。神様に言われませんでしたか?”勇者である前に人であるべきだ。”ってね。」
「それはそういう意味かよ…。」
「はい。なので、これを聞くとモンスターと戦えなくなります、普通は。だから聞いたのです”人類の敵”になる気はあるかと。モンスターであっても”住人”なのです。だから殺し合いなのです。」
「じゃあこれ聞いたら勇者じゃなくなるのかよ。」
「いいえ、これはキラリ様も、又はナッツ様も、なくなりませんでした。だって”弱いもの守るのが勇者”でしょ?」
そのミヤックの言葉に何か…心が洗われる気がした。
「ただ、勇者の多くはモンスターは知恵無き獣。と思ってます。実際インスタンスダンジョンのモンスターはそうです。なので、一概には否定できません。」
「じゃあ、ミヤックさんも…。」
「区分上はモンスターになります。亜人が人類に認められる日が来れば違うかもしれませんが、それまでは”住人”と言う区分だけですよ。」
「ちょっと俺、頭が混乱してきた。」
「それが普通です。そして、私はあなたみたいな勇者を守るためにいるのです。そこはご安心ください、ミカもそうです。」
「ダンマスにも・・・。」
「これを知っている勇者は少ないのですが、ダンマスも、勇者と同じく召喚された”異世界人”の方が多いんですよ。ですのでむしろ”同胞”の方が多いんじゃないんですか?」
「俺たちは何をしてきたんだ。ダンマスが敵?違うじゃねえか…。」
「はい。ですので実は争う理由なんて、本来ないのですよ。ただ、ダンマス同士は争います、お互いのDPのために。そこは国家とかそういう類ですね…。なのでむしろそっちにも置いた方が
活躍の場が大きいのです。」
「じゃあ魔界って奴は。」
「あそこは・・・。」
「終わったみたいだよー。来ない。」
いつの間にか…血の跡もない。
「ダンジョンが吸うんだよ、そしてこれがDPとなりダンジョンの運営力になる。だから敵はこっちで倒すほうが旨い。本当は討伐においてはいやがらせするなら”いかに相手のダンジョンで戦わないかって言うのも肝心なの。だから、危ないと思うと攻めてこない。けどこれさ…。」
「でしょうね、懸念が当たりそうですね…。あと勇者様、カード見てみるといいですよ、凄い溜まってるはずです。」
えっと…2000GPが120で…。え?金貨240枚相当!すげー!
「相手がオークというそれなりを出してきたので。」
「防御側人員いないよね、これ、そうでなくても私が行くといなくなるよね…。」
「でしょうね。」
ミヤックもダンジョンの向こうを見るが反応がないようだ。ミヤックは水のカーテンを収めると急いでクッキーをダークボックスにしまっていく。
「仕方ないから、ここでおやすみしてるけど…後…。」
「30分ですから、戸の前でいいですか?勇者様立ってください。茶会の位置を戸の前にします。」
いつの間にか周囲には何もなくなっていた。
「そういえば死体はどうしたの?」
さっきまであった血しぶきの匂いさえない。
「はい、それはダンジョンに接収されてDP行きです。この死体も、魔素も、すべてDPに変換されるのです。」
「どこまでされるの?」
「実はこれ、聞いた人がいるのだそうです。実は勇者様…ダンジョンに入ってからトイレとか行きたくありませんでした?」
「いや、行きたいと思ったことないな…。」
そういえばトイレ行きたいと思うのが普通なんだが…。
「実は人間の不要物もすべてDPとして返還され、汗とかの浮揚分後糞尿もすべて”DP”として吸収され、魔素に変換されます。なので、逆にダンジョンに登録してオブジェクト化しない限り
捨てたものはすべて”DP”の餌となるのです、これがダンジョンの収益の一つ、”滞在DP”となるのです。ただ、関係者となるとこの吸収された分は”ダンジョン維持費”の方に回され
ダンマスの収益にならなくなります。なので、基本ダンジョンで”関係者”となるのは協力者以外利益上いないのです。」
「となると協力者となるのは。」
「この巨大生産装置”ダンジョン”があなたの行為をバックアップするようになります。ただDPを稼いで、相手が支払うので”スポンサ-”以上にはなれませんが、有力なバックアップだと思います。」
そう言って扉の前にあえてテーブルと三つの椅子を出すとその上にクッキーとミルクを出してテーブルの上に置いた。
「これ、実はネル様の作った牛乳とそれを使ったクッキーなのです。」
「え?」
「DPショップには今でも”ネルの園直売所”とか”楽園ショップ”が検索できます。また場合によってはトレードもできるので、ドルカス様の”ドワーフの漢ショップ”も見れますね…。」
「確かちょっと高いんだよね、全部。」
「価値はそれ以上だと思いますが…。それでも私はこうして食べれるだけでも幸せなんですよ。ネル様の手作り…。」
とうっとりしてるミヤックをよそに確かにDPショップ機能が付いているそして大量にある店の数々。
「それがすべてダンマスの経営してるDPショップです。10GPで1DPとして買い物ができます。そこでは異世界の物だったり、又は自分のダンジョンで作った特産品だったりいろいろ
あります。」
「結構多いじゃん。」
というかコーラも売ってりゃ袋菓子、下着、衣装、武器防具も売ってる、ついでにスキルオーブ販売もある。色々あるな…。
「はい、これを見ているのはダンマスの関係者なので全員。ダンジョン間の公式取引となっております。ついでにダンジョンと取引がある勇者もこれを買えるので、ここで特殊武器も買えますね
「私の村の奴もあるんだよ。確か”鬼の刀”だっけ?」
「え?刀?」
「うん。鬼ちゃんの刀マネして作った”刀術”が使える刀って言うのもあるんだよ。うちの人気商品。だた、私だとそれ折っちゃうから使えないんだ。」
「鬼ちゃん?」
「うん、うちの幹部で、強い”鬼”村長より強いから、防衛なんだ。」
「今では制度が分かりませんが、”魔王”の一人ですね。」
「は?」
魔王だって?
「魔王軍では魔王は”分担制”なのです。ついでに今は6名ですね…。”最初の魔王・エレノア”、”冥王・ヨミ”、”黒騎士・ケイ”、”鬼王”、”竜血鬼・コクヨウ”、”狂王・シーア“
です。と言っても私たちが勝手に暇で煽り文句考えただけですけど。本人にこの話しないでくださいね、ネル様に殺されます。」
「そうなんだ。」
少し引きつって言うミヤックさんの顔が可愛い。
「で、その中の鬼王が村のエースなわけ。で、武器が”大太刀”なんだ。それにみんな憧れて、うちの鍛冶屋で作って売ったら大評判で、今でも人気なの。」
すっごいミカがうれしそうだ。
「今でも勇者の引き合いが多い武器ですね、なぜか。」
「そりゃあ、刀だぜ。切れるって奴だ。」
というか、刀作ってる場所なんてあったのか…。
「へえ…。」
「それが買えるようになってくると一流の勇者ですね、高いですので稼いでいけば、こういうのも買えます。」
確かにコーラとか、あとカップ麺もあるな…。
「このチケットとか何?」
「あ、これは最近販売の”休戦チケット”ですね、後、”魔界一日滞在チケット”。ダンジョン運営本部が発行する”ランキング特典”とかです。」
「ランキング?」
「はい、ランキングは毎週切り替わりますが、そのランキングで上位だと、”魔界一日滞在チケット”と言うのが配布されます。魔界でランキング上位だと、そのチケットで経験値稼ぎや
レイドボス討伐とか、後魔界には米とか醤油とか、こっちの売り物の一部があるので、それを使った”定食”もあります。あっちは基本食事がこっちの数倍美味しいので。」
「そうなんだ。」
「よくリーメ君とアイスクリーム食べたんだ。」
ミカの声も明るい…がちょっと待て、アイスクリームだと!?
「そうですね、王都ですかね。」
「そう、近くに最近”農場”できたとかで王都に店ができたんだ。」
「王都って?」
「魔界の大都市ですね…名前は一回滅びると変わるので、地形名で私たちは覚えてます。王都はその中心の街です。後は”漁港””鉱山都市”、最近”森林都市”ができたそうです。
エルフの里と一緒になるのか不明で現在ネル様がそちらに向かわれたそうです。」
「大変だね…。」
「魔界ってなんなんだ?」
「世界のルールが違う”別世界”と言う方が正しいです。ルールが違います。そこでは生き物は基本襲ってきますし、”復活”します。なので、モンスターも復活します。」
「じゃあ、あのレイドボスも。」
「はい、次の日には復活します。ただし懸賞金は復活しないので、そこに差があると思いますが…。」
「あれがいちいちで復活するのかよ、魔界は。」
「はい、そういう”修行の地”それが魔界です。」
あんなのが毎日沸くとか聖女涙目…。
「あれ?そういえば、聖女もダンマスなんだよね?」
「はい。」
「だとしたらなんで復活するのに討伐なんてするんだ?復活するの知ってるだろ?」
「あれにダンジョンの”運営”から懸賞金が出てるのです。15億DP。」
「15億!」
「GP換算ですと150億GPで頭割りです。」
そりゃあ凄いわ。金貨にすると数百万枚の大仕事って事になる。そりゃあ、プロジェクトチームもできるわ。国家単位だもんな…。
「ですので、現在各ダンマスが対策考え、覇を唱えるべく各ダンマスが戦力の確保に躍起になってるところだそうで。ついでに15億DPは今のダンマスのDP収益の全体の半分くらい
ありますね。週の。そんな大金が動くのですから、当然。後倒したとあれば自分の陣営にダンマスを囲い込み出来ます。」
「じゃあ、あれはダンマスにとっても。」
「はい。現在勇者の実力の再認識に伴い。ダンマスの構造変革とかが訪れてる最中ですね。ギルド職員としてもあまり強いと人間を襲撃してユニークの経験値を稼ぐ”スタンピード”の発生
確率が高くなるので、できれば…。」
「できれば?」
「おいしく頂きたいです。」
「防ぐんじゃないのか?」
この人物騒すぎだろ、考え方は?
「いえ、そんなおいしい餌、だって、勇者様も見たでしょ、そのカードのGP。それが来るんですよ、向こうから。」
「負けたら?」
「その場合もありますし、実際ダンマスがスタンピードを行ったこともありますが。そこは運がなかったと思ってます、最悪でも大都市には”ハイエルフ”がいて最大戦力を呼べます。
また小規模においても援軍は討伐部隊込みで送り、今まで阻止してきました。それが実績です。今後においてないとは言いませんが、我々も馬鹿ではないのです。」
ちゃんと考えているようだ。
「後ダンマスには当然”のんびり”とか自由生活を好む方もいます。なので総じて悪、又はスタンピードを起こすとは考えてません。」
「すごいダンマスに理解のある冒険者ギルドだな。」
「ただし、この考えは魔界では通じません。何せ”モンスター”も”ダンジョン”も次の日に復活し、襲ってくるのです。固まれば自動でスタンピードしますし、最悪”言葉が通じないオーク
の大規模な巣”が近くで発生し襲ってくるときもあるのです。」
「何だそりゃ。」
それは世界の厳しさが桁違いすぎるだろ。
「これは実際魔界で数件あります。ゴブリンの巣を倒したらオークの巣が沸いて、そのオークの巣を潰したら別のオークの巣が1km先でできた。とかですね。」
すごい危険地帯に聞こえるんだがぞれ…。
「だから友好的なやつ潰したら、死ぬのは自分。そう覚えておけばいいよ。あそこはそういうところ。」
ミカがクッキーをほおばり、牛乳を喉に押し込んでいる。
「そうなんだ…。」
「ただしあそこは”盗賊”でさえ文字通り沸くので何とも言えません…。」
すごいミヤックさんの目が遠い。
『向こうのダンマスから降伏宣言が来た。終わりだそうだ。ありがとよ、4万DPくらい入った。かなり儲かった。』
「分かりました、ではここの入り口を別にお願いします。私たちもコアルーム戻りますね。」




