8-9 世界の深淵再び
「ふむ結構これ、廃業寸前ですね。」
それからのことを聞いた、リンク、ミカは複雑な顔をしていた。シライが自分でお茶を持ってくる。ミヤックは当然という顔だった。
「そうなのか?」
「収支聞く感じだと、これ、結構まずい状態ですね…。死にはしないが何もできないという感じです。」
「ん、ダンマスって食べ物とか食べないのか?」
「はい、食べなくても死にませんが、発狂します。なので、娯楽、食事等はある方がいいです。これは部下のモンスターも一緒です。」
「それは言える、飯大事だよ。」
「そ、そうなのか?俺何も知らないからさ…。」
「いや、コアにせめて聞きましょう。」
「と言うかミヤックさんなんでそんなに詳しいんだよ?」
「…ミカさんはいいはずなので、勇者様だけです。」
「何だよ?」
「あなたはここから先を聞きますか?聞けば”人類の敵”になります。貴方は”人類の敵”になりますか?」
「なんでだよ!急に!」
「なる気がないなら、このまま帰りましょう。困っても、いずれ、この人はDPを得て復活するでしょう。数十年後に。」
ミヤックのその言葉にリンクは押し黙ってしまった。
「何だ?その言い方は?」
しばらくリンクはうなって考えていた。
「俺は…俺は…構わねえ。人類の敵になる。困ってるやつ見捨てて帰るのも、カッコ悪い。そんなのは勇者じゃないだろ?」
「かっこいいぞ、勇者様。」
「ありがと、ミカ。」
「さて、シライ様。」
そう言うとミヤックは暗闇から書面を取り出す。あれこの人こんな魔法あったっけ?
「こちらに契約書にサインを。ただ確認だけですので、納得後、拇印でいいのでお願いします。」
「…覚悟決めたよ。が俺には訳が分からないぞ。この契約書には”研修を受けて指示にある程度従ってもらう。”って書いてあったぞ?」
「はい、これは魔王軍伝統の儀式ですね。勇者にダンマスの話をする際の。」
「は?」
「一応ダンジョンを見つけた時にネル様に連絡を入れ、現在周囲調査中です。」
「何だって!」
シライの声が上ずる。今は消滅したが、分派がいることで有名な亜人同盟の前の姿が”魔王軍”であり、その中でも”ネルの園”は有名なダンジョンである。それから”エルフの森”に変わったが
そのランキングは3年間一位だった。それから聖女と会談し今は譲るが、その強さは今でも伝説だった。それにあやかり”庭園”とか”園をつけた名前がダンジョンではやったことが多いのだ。
(まずい、そんな上位来るのかよ。)
「ただこれを私が言える日が来るとは本当に私も出世したものです。少し泣きそうでした。」
「さすがエルフ。そんなんで感動するなんて。」
「ミカさんも言う日が来ますよ。」
ミアックが涙をぬぐっていたが。ミカは呆れていた。
「来ないことを祈ってるよ?」
「何言ってるんだ二人とも?」
「ネルの園が来るのか?」
シライは震えていた。
「ネルの園?」
「ネル様のダンジョン名です、”聖女”と合併したので。今はありませんが。」
「えーーー!」
今度はリンクが驚いた、”聖女”がダンマス?ネルもダンマス?
「はい。で、今回はまず周囲状況から確認中です。後ギルドから設備を持った人間が来ます。」
「えっと何か?勇者って。」
「いやいや知らねえよ。俺も。」
二人が泡くったような顔になっていた。
「はい、知らないはずですよ。極秘事項ですからね。この連絡に伴いリンク様のカードにはGPショップ機能が解放されますよ。後…そうですね、次に来る侵入者をここまで通しててください。」
「手慣れてるけどなんで?」
二人ともおびえた顔になっていた。
「はい。我々は相手がダンジョンマスターであっても勇者であってもフレンドリーです。皆さま”お客様”ですから。」
微笑むミヤックの顔が…怖いものに見えた。
「あたしが来た。」
そう言ってきたのは白いドレスの女性だった。その…威圧感だけでも周囲を冷たくした。
「お久しぶりです。リューネ様。」
「あまり様はいらないかな…。で、そっちの子が狼のダンマスで、そっちの子が勇者か。よろしく。」
「よ、よろしく、」
「リューネハウス?」
というか予想倍のビックネームに気絶しそうになる。
「そ、今は他のダンジョンに入ってるんだけどさ。で今日はその要件できたわけ。そっちの勇者も込み、ミヤックちゃん、状況説明よろしく。」
「はい。」
『リューネハウスってなんだよ?”龍姫”だろ?』
これは最近のリューネの異名で、よく”コクヨウ”に乗って移動することから付いている。それがドラゴンであり、ドラゴンライダーとも言われていた。
『さっきのネルの里の一個下。旧ランク3位がリューネハウスだダンマスの上位ランカーだ。』
『じゃあ、”龍姫”もダンマスかよ…。って事はモンスター?』
『知らねえよ!』
『第一”龍姫”ってなんだよ?』
『ギルドのS級冒険者で有名な格闘家だよ。』
「そこ、ひそひそ話は耳がいいと聞こえるぞ、対策しようね。」
「「はい!」」
二人は直立不動の体制を取る。
「で今回は、状況確認した感じ、差し迫って切羽詰まったところは確認できない、周囲からはね。なのでサルベージはしない。このまま君たちを鍛える。」
「え?」
「それが、どうも、紙面契約であと2名のダンマスがこのダンマスの保護下にある見たく、それが50位前後のマスターなのです。それが2名。」
「うーん、その子たちだと動けないよね。じゃあ、ダンマス君。」
「はい!」
「その二人の位置をできれば教えて欲しい。そこに保護員おく。で、来れるようなら、講習会とかするから。」
「はい?」
「清く正しいマッチポンプのためにはまず知識。こっち側に来た以上は手加減しないからね!」
「なんで俺たちが!」
「人類の敵になるって事はすなわち全員。他のダンマス込みで勝てる程度の実力が欲しい。あたしたちは常に殺される危険性を持つ。強くないなら…。」
「と、魔王軍戦闘顧問は言ってらっしゃいます。」
「その意見、ネルに言うよ?」
「言っていただいても歓迎してもらえると信じていますよ。」
「って事は、俺は魔王軍に…。」
「入りません。」
その言葉に全員が肩透かしを食らった。がリューネからすると、、ナオたちに会い、今のナオの能力を見ると、仲間にするのはすなわち”超人”になる力を与えるのと同義であり、その為、一度、関係者で会議を行い、神様肝いりで、”秘密同盟”というルールを購入。”提携契約”を行い、ナオ及び”王”のダンジョンマスターの”関係者”になるには専用契約書を必須とするという、契約が
締結された。職業+1はそれくらい…モンスターにとって大きい能力なのだ。その為、改めて魔王軍勧誘のルールが変わり、幹部である、リューネ、ケイ、ナオ、ハーリス、エレノア、教授、ヨミ
の7名による幹部の誰かの推薦のもと、全員で会議を行った上で加入させることにした。まだ、魔王軍加入時のみ上位ファクター情報を教える事になった。それくらいファクター関連のスキルは
危ないともみている。その中でぽっと出の低位ダンマスは、まだ、即決で加入させるわけにいかなかったのだ。
「なんで?」
「それはいずれでいいかな?で、君たちにはまずDPを稼ぎ、そして勇者君には、ここのエースになってもらう。でミヤックはどうする?ネルに頼んで代役立ててもらう?」
「何だよそれ?」
「いやあね、実はここでエースするのが一番勇者稼げるんだわ。バトルも多いし、サポートばっちり。今あんた、万歳してその辺駆け回っていいほどラッキーよ。」
「そうなのか?」
「それは言える。あたしもここにしばらくいるよ、どうせ保護用の駐在員置くんでしょ?」
ミカがくつろいでミヤックからジュース受け取ってる。
「うん、そっちはガルージに頼もうと思ったけど?」
「村長は初心者さんのほうでいいし、私は勇者の従者だから勇者についていくよ。」
「分かった。」
「村長って…あの傭兵隊長さん?」
「そう。うちの村のエース。ミヤックは?」
「勇者様の従者なので、私もしばらくここに出向ですね。」
「了解。ネルには伝えておく。と言いたいが大方合同の教育する羽目になる。向こうの初心者さんも教育になる。」
「大丈夫ですかねえ。」
「俺から連絡入れておくからさ。」
「分かった。位置、聞いておいてね。」




