7-夏SP16 海の家焼きそばと割りばし
「でも…これの改良版ですかー。」
亜人同盟にゴブリン村が参加する際に、クラム村の主要人物は、一部サブマスターに昇格した。そのうちの一人”内部担当”がこのふんわりしたリーメ君の母親のメイザーさんだ。が、眷属化し
て以来…。なぜか料理とかにこだわってしまい、特産品の”ふわふわパン”の冒険者からの引き合いが高い。GPショップからも買えるが、このパンの購入と横流しだけで、勇者が資金を得られる
程度に美味しく、且つ安い。その為、ダンジョンでの基本的は勇者食の一環である。最近は勇者側からの要望で、サンドパンの生産も開始しているが…。
「これ…ですか?」
置かれていたのは”勇者特製の海の家焼きそば”である。それを見る奥様方は一応、水着にエプロンを付けたスタイルで、NEO雑貨店の厨房にいた
「まず、これは、なんなんですの?」
「小麦粉を水分含んで練り固めた者で、麺。」
ネルが一個ずつ、乾麺や麺、そしてパンも置いていく。
「卵を織り交ぜて繋ぎ木にしたり、いろいろある。」
「それは可能性があるって…でもでも?」
カマックおばさんが麺を手に持ってみる。
「その文化が多くて、これも勇者の引き合いが多い。だけど…テストした場所だと美味しかった。」
「場所?…なの?」
「一応、露天の許可出す時に、食べ物エルフたちで食べて確認した。一応味覚は種族差あるけど、大丈夫として許可した。」
ネルがダークボックスから、”焼きそば”を取り出す。それを無言で手でつまんで食べる。
「これ、もしかして、この海だとしょっぱくなっちゃわないー?」
「かもね…。」
「ちょっと待ってよ…それで許可したの?」
ナオとハーリスが厨房の出入り口に来ていた。店の中は、見回りに出かけたリューネに変わりフラワー柄の普通の水着姿のケイがアイス片手にうちわであおいでいた。この店は一応海の家だが
ギルド部分があるので、そんなに人が来ない。店の名前も”雑貨店”ではあるが、外のグッズ販売に神様とヨミがパラソルつけて、熱中症グッズを売っている。ビールの卸はここでしているが販売は
ここ以外の海の家で行っている。
「そう。」
「ハーリス、小さい木の棒二つと、後、その焼きそば、大体50度くらいまで温めてくれる?」
「いいですが…。」
「焼きそばは熱々がうまいのであって、工夫しないと冷めて旨い焼きそばにならないんだよ。」
「アツアツ・・・?」
「食器がいるんだけど、ちょっと…お姉ちゃん。箸って実演できる?」
「ん?いいよ、そっち行くよ。」
「食器・・・。」
「意外と食器の有無とかって話はあるね。マイ箸や、マイフォーク、マイスプーンって奴。これがあると熱々とか、あと冷たいものが食べれるようになる。で人間味覚は手よりも。かなり食べれる。」
「そうなの?」
「安全でかつ、おいしい食べ物になるね。例えば串焼きのお肉ってあるけど、あの肉を串に刺さなくても、棒でつまんだり、フォークで刺せばもっと楽だよね。」
メイザーさんたちの顔がこわばる。
「そう言う食べるに器具が欲しいとか…後調味料が欲しいとか作れる。」
「そうだね、これが箸。」
ケイが厨房にやってくると、ダークマターで箸を作り、ちょいちょいと動かす。
「それ?」
「ネルちゃん、この形の奴を枝の祝福で作れる?幾つか。後、ナイフ、フォークも作るよ。」
枝の祝福は森魔法レベル3で、小さく木を使ったものを育てて成形し、道具を”木の枝”で生産する魔法だ。矢も作る事ができるが、欠点は使うMPが相当に多く、そんなに連射できない事だ。
「こういう器具が欲しい食べ物ですかー?」
置かれた橋を奥様方は手に取っていじってみる。
「スープに匙を使うでしょ?それって器具だよね?」
「あ、そうだわ。そうだわ。」
「で、焼きそばもその一種。」
「でも食べにくくない?」
おかれた焼きそばは確かにあったかくなったので…全員がネルに渡された箸で…掬ってハーリスが温めた焼きそばを口にする。
「確かに、こっちの方が凄い、いい匂いして、そしておいしいわ。」
「確かに、確かに。」
「一応発展型で…。」
タブレットをいじり、ナオがテーブルの上にメイザーさんのパンを置きネルが、枝の祝福で量産中のフォークを手に取り、パンを真ん中で割いた。
「え?」
そして、箸でその間に焼きそばを詰めていく。
「あまり夏で食べると、こってりするんだけど、これで”焼きそばパン”っていう奴だね。こっちだとパンは持てるから、器具はいらない。」
「おおー!」
「ちょっと待つ、この形で食べてみる、露店で売るにこっちのほうがいいかもしれない。」
日本でも焼きそばの形で売るには”安い耐熱容器と割りばし”の普及が欲しいので、実は技術力が欲しいのが”露店の焼きそば”である。但し、パンは湿気に弱いので、外に出して夏の海で
焼きそばパンは…うん…旨くはないと思う。
「これだと、パンの味が強すぎて…。あまりおいしくないわー。」
やっぱり。
「お手軽なんだけどね、ね?」
「元の世界だと…大体、味付け濃くして面を太くして、パンも専用を開発してた。」
その言葉に全員がざわつく。
「確かにそうだね。パンも小麦で味が変わるから、配合割合とかあるんだよ。」
「そ、それ詳しくお願いできない?」
「え?」
思いっきりナオを奥様方全員が取り囲むが、やんわりとハーリスが間に入る。
「でもさ、確か楽園でも、現在一種だっけ?」
「うん、麦の種類って話まで行ってないけど…。麦にも品種があって、で、地方で味付けが結構変わる。エクトネーゼとリンシュメルト近郊は現地だと味が変わるし。」
全員が自分たちのパンを見てうなりを上げてしまった。実はまだ”酵母”との相性とか様々あるのだ。…最近だとヨミの家に召喚で楽園が”パン酵母”をお取り寄せして、ダンジョンに登録。
そして増産してるらしいが…。
「これは燃えて来たわー。」
「奥さん、それで夜更かししちゃだめよ?」
「え、大丈夫よ、肌は…荒れる?」
「モンスターになっても、程度によって荒れるから、食事はともかく睡眠はとった方がいいよ。」
「坊ちゃん、理解あるわね。」




