7-夏SP5 ナオの海岸開発計画
その頃、リンシュメルトにある”NEO雑貨店”では魔王軍の大型DP消費の決算書類にナオが目をとうしていた。
「これは?」
「はい。今度海水浴場を魔界チケットを使い、向こうの20日間開くそうでバカンスを全員で一気にとる計画ですね。で、その海水浴に対して、施設が必要なので、その変更許可書ですね。」、
ぺらぺらと書類をめくっていく。人の出入りは少ないが。その脇ではハーリスが書類を出していた。
「これ、いくつか神様と会議がいるぞ、」
「そうです?」
「地形編集内容の固定化は実は向こう任せで存在してないんだよ。で、何?島?後…魔法砲台設置?意味が分からん。」
「えっとこれを再現したいみたいですね。」
ハーリスが出した水着カタログのページには江の島の遠目の写真が映っていた。
「これ?で魔法の砲台って?」
「よくわからないですけど、これの事では?」
指さした先にあるのは、リゾートホテル及びマンションだった。
「20日の為にこれを作るの?」
「問題ですか?」
「狭いうえに…やっぱり会議行ってくる。ハーリス、こっち頼んだ、向こうに連絡入れてい置いて。」
「ふむ…ちょっと問題あるわね。但し意義としては間違えてない。」
リンシュメルトの雑貨店から浮遊島のNEO雑貨店までは徒歩3分。現在は酒場に改造され、入りきれない人員は折り畳み椅子を借りて外でバーベキューをやれる。そんな酒場”NEO雑貨店
浮遊島支店”のテーブルの一角を陣取っていた神様と資料を突き合わせていたのはナオだった。
「やっぱり。」
「確かにこのままだと、面積計算しても足りないわ。どうする?」
そう、書類に書かれた計画規模だと海岸の面積が足りないのだ、魔界の地形をいじれる権限を復活させたナオではあるが、早速この問題が来るとは思わなかった。
「最悪レベル8の遺跡パネルを海岸の町”に変更するけど…。これまず、文明レベル…。」
「足りないわよ。海水浴場+リゾートホテルは”高層建築”が成立していないとだめよ、しかも…。」
「分かってる、今回はやばい。」
全員の書類に書かれていない3つの問題があったのだ。一つは海岸の面積が足りない件。二つ目は”他の人間がこのタイミングで魔界チケットを取ってきた時の対応がない”最悪戦争になる
場所なんだ。そして三つ目。”危険地帯に20日も大人数でいるのでモンスター襲撃の可能性が高い”である。警備体制の不備が多いのだ。リューネさんとかクラスもいるので世界最高戦力とか
エレノアが警備とかに回るんだろうが…イベントに飢えた狼…ダンマスたちがこれを発見して何もしないわけがない。勇者のいる大陸ではおもちゃの発展もあるが…その地域から今はダンマスが
駆逐されている。まだギルド支部をドルカスのいる地域に設置依頼をしているとはいえ。交渉は芳しくない。なので、ダンマスにリバーシ―とか将棋を届けるのは難しい。届けないと、ボスのルーム
待機での暇つぶしが出来ない。
「最低でも20日間の宿泊どうするのよ?」
これが最大だった。リゾートホテルを建築できない場合、かと言ってくる人たちに”国賓”が多いんだ。ついでにドルカスさん。ああ見えてザガートン国の”辺境公”として外の地位も持っている。
どうも武器防具の提供と鉱山開発で地位があるらしく、条約を締結してあったらしい。なので彼も一応”国賓”扱いだ。で、それをあの魔界で守りながらの宿泊施設が欲しい。この為にシオバニラの
全面改装の話が欲しいんだ。
「シオバニラ、リゾートタウンに改造しかないと思ってる。」
「で、魔界の施設固定化パネルのルール設定ね。」
じゃあ、設定変更でいいのではという話だったのだが、ここで問題なのがこのパネル系”変更可能なら毎日ランダムで変更する”仕様なのだ。で、人間のいない”野外”は毎日変更される。最悪
泳げる砂浜が、次の日には岸壁になることも結構あるのだ。そんな危険地帯を海水浴場に指定できない。当然シオバニラの町も入るのだが、ナオたちが施設である”城壁”を建設したため、そっちの保存の方が優先され、町は固定されている。この固定方を発見したため、市街地は固定されている。但しモンスターの村は結構どこにでも発生するので、危険性はいまだ高い。が…。
「うん、あと編集可能パネル。」
高レベル市街地だと自動で”城壁”も生成されてしまうため、ナオたちの建築した10mの城壁の後ろに15mの市街地の城壁が建築されることが多くなった。その為、編集可能にしないと不思議な
街並みが大量に生成されてしまう。
「確かにわかった。とりあえず、可能なようにしておくわ。ただしこの施設のDP支払いは通常のダンジョン編集と同額貰うわよ。で、総量のみ変更不可で。」
「分かった。」
総量変更不可はある建物を消去したら、そのエリア内にそれと同量の何かを建築しないといけないという事である。山岳地帯で山を消した場合、その山と同じだけの土で何かを建築し消費しないと
いけないルールだ。
「それで…でも結構きつくない?」
「大方三桁行くと私は踏んでるからね。」
「やっぱり。」
招待状の人数に”パルミダーク辺境公一家及び護衛兵団”、ドルカスたち”ドワーフ鍛冶師達”、”エクトネーゼ国王及び親衛隊”が最低人数連れて来ても100人超える。そのうえ楽園と冒険者学校そして現在…。勇者SNSに警備募集の名義で”ビーチ警護”の依頼が入っている。…しかもこの募集…ビーチの写真入ってる。これ値段の割にうまい依頼に見えるぞ。休暇付きのバカンス護衛依頼。
「ホテルは大方、そっちがダンジョンで建物建設しないとダメだと思う。そこは任せた。こっちはパネル編集関連やるから。後…そっち、私遊びに行くからね。」
「缶ビール出さないでくださいよ?」
「逆、置いておくわ、ヨミが呼べるでしょ?生産可能よ?」
「…わかった。善処します。」




