7-夏SP4 海の男
「この招待状か?」
山岳同盟拠点地であり、土のダンジョンマスターのドルカスが新設した山岳同盟の対外拠点”ダンマス商店街”の内部にある”迎賓館”ではトップのドルカス、イツキ、そしてエムント、そして
パルミダーク辺境公がいた。パルミダークはリンシュメルト設立前後にエルシュウッドと合併を発表、ネルが地位を封じる共に貴族制度を発足、周囲の領主をすべて、エルシュウッドが管理する
事により、大部分を免税としギルドからの収益の一部を還元させ、統治を行った。その際旧パルミダーク領は全て公爵としてパルミダーク辺境公が設立された。がやってる事は変わらないし、むしろ
ギルドからの金額が増えたり、商売上の便器が図られたため、現在は酒と海の町であり、銘酒”スコットランド”のセールスがメインとなっていた。
「ああ、で我々に風習はないのだが、この海水浴とやらは何なんだ?」
「酒…てわけでもなさそうだしよ?しかも水着とやらの選定もするんだろ?分かんねえよ。」
「確かに…。」
「これはあれだ、遊びだよ。勇者たち異世界人がいるのは理解してるな?」
「ああ。」
「あと、これ、」
辺境公は最高級”スコットランド”をテーブルの上に置く。
「おう、ありがとな。うちらで出せるのは技術者かくらいだぞ。酒の技術もないからない。」
ドワーフは酒が好きだと勘違いされるが、実際ドルカスがなってみて思ったのは…酒が本来そんなに好きではない。って事だ。が理解はできていた。まず”水の運搬がきつい”って事だ。鉱山に
おいては水分の補充はできにくく、鉱山の出入りだけで、三日とかかかる中世の技術での鉱山において”水分”の問題は致命的な問題となった。また、土の中という環境と時間は水を容易く腐らせるのだ。その為、安全な”水”として酒が存在していた。ドワーフになってドルカスは身長が低くなると思ったが実際の身長は人間と変わらない高さだ。どうもこれ、神様に質問した所ドワーフは”洞穴”で鉱物を掘るうちに背が低い方向に進化したケイブマンでは?という…回答をもらった。なので…腕力が強いだけのおっさんだッという。
「分かってる、ただ、うちの北側の竜の尾根…の開発…出来るか?」
「俺の方でよければやるぞ、こっちの堀が一段落したからラな。サブダンジョン設置して掘ればいいんだろ?」
「それでいい。まあ条約は後で締結するがこの酒と…。でいいのか?」
「とりあえずはな。」
だが、ドルカス自身は仕事でよく酒を飲むため、酒は…今のダンマス含め開発されたものが存在していなかった。ネルがどうもワインの製造に走っているがワインは…大方ブドウの生産のめどを
建てるまで掛かるので、この酒の存在はドワーフのレジャーを支える貴重な物だった。また練度においては新たな鉱山は十分な経験値となる。
「取引としては酒一本で鉱山貰う形だな。」
「ダンマスにはこういう珍しいものを作る技術が欲しいんだよ。俺も酒が好きでさ。」
ドルカスがテーブルの上に干し肉を置いた。
「俺が作った特製のチップスモークジャーキーだ。酒に合うはずだ。おっと忘れてたな、海水浴はよくデートに使うんだよ。」
「デート?」
エムントも辺境公も訳が分からない顔だ。
「うちらの世界ではな、普通みんな服を着ているが。それでは自分の体に自信があるやつが、それを見せびらかせて誘惑とかできない。厚ぼったい服じゃあ、女の魅力の関係ない。」
「まあ、そうだな。」
辺境公がジャーキーに手を出し、しゃぶり始める。唾で柔らかくして食べるためだ。
「で、そこで裸に近い誘惑の服を着て、男をその気にさせて、一晩って奴だ。それを普通の女にさせるイベントっていうのがこの海水浴だ(作者注:個人的見解です)。」
「ほう?」
「で、カップルとかも、こういう裸に近い格好を外でさせて興奮させることで、子供の出来をよくするんだよ。」
「まあ、水に入るに専用の服が欲しいですよって言い訳が欲しい奴です。」
イツキ本を取り出し、女性用水着のページを開く。
「な!」
「なんと、はしたない!」
王たちの顔が真っ赤になる。
「暑いですから、ドレスで行けば当然熱さで脱がないと熱中症で死んでしまうが、海においてはさらにべたべたするからな。当然水着とかの軽い格好がいいと言える。男にとってはその体形で
こいつがいいとか言って誘うチャンスでもある、飢えた女に飢えた男。」
ドルカスが大きくニヤリとする。
「私は…妻が…。」
「俺は息子夫婦までいるんだぞ。」
「そいつら連れてこれば?子供がその日の夜にできるかもしれん。」
ジャーキーに手を出し、噛みつくイツキの笑みも黒い。
「お主らは?」
「ダンマスは基本外に出れないのでな。出れるあいつらがおかしいんだが。結婚してねえんだわ。俺も。な、イツキ。」
「まあ、ネルたちみたいな子はいるが、対等な者というのもな。そう言う意味では貴重なんだぜ。」
「なら、勇者たちの従者の異世界人に話を伝えて、説明させ、妻と子を誘ってみるか…。警備の方は?」
「ああ、鎧騎士と、ハイエルフ達。そして俺達からイツキの配下たちが入る、で今回は俺たち5名のダンマスも来る。」
ドワーフ3人組と、イツキ達下っ端ダンマスだ。
「ほう?」
「俺たち3年は穴倉にいてな、こういう遊びには飢えているんだ、しかも美人のリューネ、南が来るんだぞ。それを見逃す手は無かろう?」
「そんなにきれいなのか?」
「ああ、すっごいぞ、外見だけでS級だからな。リューネは。」
全員がつばを飲む。
「ネルも…。」
「来ると言っていた、部下たちと一緒だそうだ。しかも色々企画しているという。」
「私は妻を連れて行くのが怖いよ。」
「どうした、エムント。」
「妻に水着の話をするのと、後…嫉妬で私の首が絞められるのが怖いよ。」




