7-夏SP3 海開き?
「なんかさ…あたしはそう言う担当じゃないんだって。」
仕事終わりで、ハーブワインの試飲用ボトルを飲んでいるヨミの前には二人の少女がいた。
「でも、資料。」
ネルとミーアが水着カタログをもってある水着を指さしている。
「これ、あとこれ。」
指さされた競泳水着にヨミは・・・眉間にしわを寄せ、見つめていた。
「資料欲しいのだ。糸でなんとかかんとか?」
「そこはっきりな。」
ネルとミーアの鼻息は荒い。
「作る。」
実は頑張れば生産できる能力があるので、水着作る気があるのだが。魔法による撥水水着の生産でない、水着の生産をしたいのだ。というのも、南の提案で、現在リンシュメルトに移住をさせたい
勇者の分散を防ぎ、暴走させないその為には勇者に対して”利益”で釣る考えだった。その一つとして”夏のイベント”を用意したかった。こういう娯楽はこの世界は薄く、その不満も勇者暴走の
きっかけではと考えていたので、夏のビーチ作戦は成功させたいのだ。
「代償は給料から引くからな。」
「ハーリスには許可貰ってる。」
「そう言えばシーアは?」
「一応了解貰って…行くって話聞いた。但し、最近設立された騎士団の訓練で忙しいって。だから水着は本見て。だけど…。」
リンシュメルトでは現在、ナオに用意されたトレント兵ではなく、自前の部隊を配置すべく”ホーリーゴースト”部隊だけではなく、募集した人間たちによる騎士団の訓練も行っている。その中にはやっぱり実戦で戦闘したい、聖王国の聖騎士団に憧れる異世界人たちの受け入れを行っているが、実際練度の差で、冒険者学校の規定学科を必須学習に入れるかという話が出始めていた。
「だけど?」
「冒険者学校のイベントにどう?という話来た。」
この冒険者学校、実は異世界的”学園生活”をしたい人向けに”勇者学科”の設立の話が出ていた。冒険者学校の方は単位制、というカルチャースクールに近い形式をとるつもりでいつでも学べる
いつまでも学べる。というのを目標にしている。無論、受講金額払ってもらえれば、エルフ経営の学食も使用できる特典付きだ。がこれとは別にせっかく学生生活するんだから一年は学校にいて
学校のイベントもやりたいという要望が主に異世界人及びリンシュメルトに来た勇者たちに寄せられた。ついでに南は賛成派なので、これを企画中だ。
「まだ、早いね…。でも魔界か…。」
「魔界なのだ?」
「ああ、今回パルミダーク沖って話と、もう一個シオバニラでって話が出てるんだよ。せっかくだから、新鮮なエルフ塩も食べるって奴。」
「それはいいのだ。醤油も売れるのだ。」
「で、そうなると勇者とか参加させんの?」
「あ…。」
元から男女比率がおかしく、女性に人口が偏った世界であるこの大陸は男である勇者には、普通にチーレムができる。男も来るが、女性が8割、水着の量産も欲しい。無ければ、熱い砂浜にただ
立ってるだけになってしまう。そして、女性向けだと必要施設も多い。シャワールームほか大量の施設を設置する必要がある。特に魔界は一歩規定のエリアを出ればモンスターが束で出てくることも
多いのだ。
「そうなるとさ、魔界の都市も改造しないといけないんだぞ。」
「あう…。」
勇者を迎えるに際しては、またはダンマスを迎えるでもビーチイベントの開設には当然”更衣室”は欲しいし、数日掛けるなら宿泊の設置も欲しい。ナオが戻った以上改装可能だが、予算の計上が恐ろしい。
「後、ギルド名義でいいからさ、」
「何?」
「設置期間と招待状出しておけよ?こういうのハブセにするとマジあとで修復きついからな。後言い訳考えておけよ。勇者や騎士団招くならさ。」
亜人同盟を制作したものの、ダンジョンマスターと呼ばれる存在はまだ認知度が低く、いち早く協力体制を打ち出したエクトネーゼ王、パルミダーク元王で現辺境公はともかく、他のダンマスも
”元魔王軍”という事で、警戒感も強い。がイベントを内々で行うにしても胴招待状を出すかという感じだった。当然ダンジョンバトルは日々行われており、SNSではその論争が激しい。となると…。
「今回は同盟内部のみって事になる。」
「なのだ。けどけど、水着のほかに何が欲しいのだ?」
「本によるとさ、どうも…ビーチシートとか?後水中眼鏡?後…結構ほらこれ。」
水着ガイドの一部、海水浴のシーンの写真を見せる。
「何なのだ?」
「これよく見ると大量にいろいろ物があるだろ?これ、欲しいんだぜ、きっと必須品。」
「この家も?」
ネルが海の家を指さす。
「そうそう。」
「この島も?」
ミーアが海岸では対岸に渡った島を指さす。
「そうそう。」
「じゃ、じゃあ、この塔も?」
さらにリゾートホテル及び、マンションも指差す。
「だろうね、さすがナオのいた世界、海の為にここまで用意するんだぜ、そりゃあ、南とか興奮するよな、大工事だもん。」




