7-夏SP2 シオバニラの夏
「では会議ね!そしてあと、今回のしおりも作るわよ!後!」
南の海へ行くときのテンションは異常だった。
「何?」
相談に行ったリューネとケイの顔は…呆れていた。
「何が欲しいんだ?」
「撮影班よ!」
「は?」
「見られて輝く?なら写真でしょ!」
一応、ダンジョンんコアにはデータ解析用に映像保存機能がある。そしてそれを使って南はいつも”美少年通信”という雑誌を作り、1万DPで販売していた。意外とこの値段ながら、撮影しての
少年の顔や、それ越しのダンジョン施設やトラップの取材。又は快適なダンジョンライフを支える…趣味100%の雑誌だ。ついでにその手の趣味がある人から絶大な人気で、余裕があるなら定期購読者
が多い。先月は”聖都リンシュメルト街角コレクション”という名前で、野外取材を観光。外に出られないダンマスから拍手喝采となり、その売り上げを伸ばしていた。
「男のダンマスも多いからね。そっち向けの本持って考えていたのよ、意外とビーチをダンジョンに作って遊ぶ人多いのよ。」
「へぇ。」
「ほら。」
南がタブレットからダンマスSNSの”俺のダンジョン世界一”と書かれたタグを見せる。そこには季節に合わせて…ビーチと日差しを再現したビーチルームが設置されており、ついでに魔界
建築士井原にも”南米ビーチ”と”ワイキキ再現”とかビーチ系の再現のルーム販売が行われていた。
「ついでに、ルームのベンチマークテストとか感想乗せた比較ルーム取材も行ってるのよ。」
「世界広すぎるわ。」
「うん。」
そこに移るのは自分の自慢の部下と写真を撮る。ダンマスたちの姿であった。
「で、私、魔界に一応行けるじゃん。」
魔王軍の特権で、ナオのダンジョン経由なら魔界にはいつでも入ることができるのだ。この特権は”地下室関係者”しかできないのだが、それに南は入っていた。なので、今はいつでも入れるし、
レベリングも行っている。
「でもでょきょで?」
シャラちゃん(地球換算3歳)がメイドさんに体を抱えられて同席していた。幼児であるシャラではあるが、当然精神的には普通の大人。海には興味あるのだが。
「どこ?ねえ…。」
上の世界ではまだ海水浴の文化はなく、新大陸のある大陸の山岳同盟の拠点地は…山と土であり、全く海の”う”の字もない。ので、海水浴に適した地域が分からない。実は海水浴の多くはまず、
適した地域がないといけない。岩肌が激しければ厳しくて泳ぐどころではない。エクトネーゼのある大陸でもその地域の多くは海岸周りを厳しい山に囲まれ、唯一パルミダーク周辺だけがぎりぎりで
あるが、その周辺は小さな島が多く、どこがいいのか…全く不明だった。
「で、シオバニラなんてどう?」
「え?」
「せっかくなら、魔界で撮影すれば…当然大人気よ。」
前回の浮遊蝋でバーベキュー以来、魔界レポートに対する食いつきは強いため、各SNSでのレポート関連のタグは大好評だ、この波に乗り遅れるのは南としては避けたかった。その中でも有名
なのが、”マグロ定食”の町シオバニラだ。近くに白浜のビーチがあり、これはレジャーの目的があると考えたナオが任意で設置したもので”海+平原”の地形の生成で任意に作ったものだ。ついでに魔王軍にナオがいた3年前だと、川のエリアと一緒で、よく遊びに行ったエリアでもある。がリューネは行ったことがない。
「シオバニラねえ…。」
「あそこはビーチがきれいだから、SNS受けがいいよ。がっつりエモってる。」
「警備上も安全と言えば安全か…。」
「あそこ変なのが怖いのよ。」
「何?」
「魔界は時々へんてこな沸きき方で敵が襲ってくるから。」
リューネの顔は渋い。それでもケイの解説が続く。
「何?」
「時々反ギルド同盟と名乗る盗賊の束が襲ってきたり、海で休もうとすると、砂浜の中から潮干狩りならぬ、砂干狩りと言い出して砂の中に潜んでるゴブリンキングの諸国連合とか・・・怪しい
登場するのよ。」
「えぇ…。」
聖女たちの二人もげんなりした顔だ。
「そう言えばそうだよね。で、狭いはずの小型ダンジョンで4ケタの敵とバトルとか結構あるもんね。で、最近はそうならないように隣接とかもかなりランクさげたんだけど。」
「しょんにゃ、不思議世界にゃの?」
「教授のその被害者よ。ランク5の難所ワイバーンの巣とかもランク4のボス”大陸ガメ”の背中にあって、街に向かって歩いてくるから討伐とか言うそう言うクエスト張られてる事あった。」
「変すぎません?何その怪しい居住区。」
「それくらい変に、魔界ってこじつけて危険地帯が多いのよ。」
「浮遊島でバーベキューとか…。」
「あれ、一番安全だった、浮遊島はエリアの周囲が安全で、敵がなくて、肩透かしだった。そうそう、今日はこれ届けに来たのよ、用地の調査は依頼してみるわ。」
そう言って雑誌を一冊テー^ブルに置く。
「これは?」
「ああ、ヨミが生贄召喚した”水着カタログ”で、一応変身とかで出せるならそっちでもいいけど、参考になればって奴、ついでにスキャニング済みだから、持って行っていいよ。」
「いただきますけど…これ、おいくら?場合によっては楽園の分が欲しいんだけど。」
「一冊4千万DPよ。」
「へ?」
二人の聖女はその雑誌を凝視してしまう。
「異世界の物体で、魔素素材でないアイテムの値段としては安いんだけど、まあ驚くよね。」
「これが?」
流石に触るのもダメと思ったのか、じっとその本を遠目に見つめる。
「私はMPで量産できるけど…。そんな多くは出せないよ。」
「変身があれば確かに衣装は…。」
「そそ、だからイメージにそれがいいと思ってね。後、終わったらDP変換してもいいけど、次からはそれ、スキャニング経由で買うともっと高いからね。」




