7-夏SP1 夏の始まり
「よろしくお願いします。」
「ちょっと待てよ。」
ヨミが頭を下げる二人に慌てていた。
「今年は、いや、初年度だからこそ!」
「何?」
「海で勝負するのよ!」
ケイ、リューネの鼻息は荒い。
「何の!」
「「当然!ナオ君お持ち帰りよ!」」
「いやどこに!」
ヨミのツッコミに動じない二人に…さすがに、浮遊島の雑貨店改め”ギルド支店型NEO雑貨店”の座席の二人の鼻息は荒い。
「…ここ、自宅なのです。」
「意味が分かって無いね、エレノアちゃん。」
「ここで一発私たちが、水着とか着て、で魅了するわけよ。」
エレノアは最近だと普通に酒場の所で、ファミレス風の衣装で店員業をしている。ハーリスがカウンターでギルド職員の代わりと、雑貨店のレジ担当だ。ついでにクエスト受注
とかも行っているが、ここに来る依頼はクエスト依頼より”交換ボード”のアイテム交換とかダンマス向けの掲示板のほうが多い。当然SNSもあるが、それとは違う、観光地のノート的な物として
知られている。が当然来られる人が少ないここは…暇でかつ人が少ない。
「で夜に特別に…。」
「そう特別な夜が展開されるのよ。」
「「きゃー!」」
「恥ずかしくないのか、お前ら?」
ヨミの半眼の呆れ顔が…いや表情は伺えない。が二人の興奮は大きい。
「それはわかったのです?がそれが何でヨミなのです?」
「ああ、生贄召喚のスキルあるでしょ?」
「ああ、あるな。」
「で、スキルの解説書読んでたのよ。」
スキルはすべて、調べた物はハーリスのデータベース経由で必ずこの魔王軍特製”スキル解説書”に書きこまれることになっている。これを見ながら、取りたいスキルをナビ、予算に合わせて自分の
強化とかを行うのだ。これはネルがトップをしていた頃も一緒でやってはいるが、ハーリスが行う精度には及ばないが各自やっていた。
「で生贄召喚の上位には”異世界召喚”ありって書いてあったのよ。」
「確かにそうだぜ。こいつの参考資料はそこから出してたからな。」
ヨミが取り出したのは”聖銃シングルブリット”だ。
「これ?」
「ああ、こいつの元の話を聞いて、そこからさらに魔法で加工して火力を上げたのが、この”聖銃シングルブリッツ”だぜ。」
ナッツと教授、ハーリスたちが会議して作ったこの聖銃シングルブリッツは、ダークボックスによる転送で弾を装填し、銃の筒の底部の魔法石から”風の矢”を発射してその勢いを炸裂させて発射する銃で、かなりの圧力増加に対して、弾は専用弾。ついでにライフリング処理で、さらに圧力に耐えるようになっており、筒内は一切の隙間の亀裂がないため、現代社会の銃よりさらに圧力が高くなる仕様で、一発の重さが教授が言うには”アンチマテリアルライフル”並みというコルトパイソン型の銃だ。ついでにパーツのほとんどは”反動打消し用の銃バランス用の重り”でできている。という銃だ。流石のナッツでも…それ以上の筋力はあっても2丁拳銃は難しいと思うほどの凶悪威力でありエンチャントとコイン効果で”魔素による物理無効効果を打ち消す”という機能付きの銃だ。一発の消費MPも、使用される弾丸も桁違いに重く、ランク5クラスのモンスターまでなら一撃で貫通させる強さがある。
「…それで…。」
「なんだよ?」
「私たちの水着召喚して!」
「ちょっと待つ。水着って何?」
「なのだ。」
開発部のネル、ミーアが新開発の新開発のミルクセーキを試飲みながら、遠巻きに様子を見ていた。七海たちは家族の4人で普通にシオバニラ定食に舌鼓を打っていた。
「水着ですか?」
「こういうイベント南ちゃん好きなんだよね。」
「男…いるのかしら?」
「あらあら、女同士でも、水着は勝ち負けがあるのよ?」
春宮一家はこう見えて女だらけのメンバーだ、メインの次女七海、末っ子の鈴香のほかに長女の柳葉と母親の綾香がいた。ついでにその他にもいるが…。それぞれがダンジョンマスターとして別々にダンジョンを持つことができるダンジョンマスターでもある。双頭のレベルが上がったことで解放されており、今ではリンシュメルトで家族経営の商会を設立予定だ。
「南が?」
七海ちゃんが意外そうだった。
「うん、南ちゃんってイベントって聞くとすぐに盛り上がるんだよ。」
ついでに、双頭はルールとして”ダンジョンをまたいで首を展開できない”というルールによりダンジョンに入ると双頭の全部の首は同じエリアにいないといけない。そして魔界は”ダンジョン”だ。なので、本来は結構別々の4人もこの昼食だけは同じエリアにいた。
「ナオ君は男の子?」
ぼーっとした感じの柳葉は醤油に…わさびを足していた。
「他の男の子も多い方がいいわよね。海に行くなら、こういう時って視線が女を美しくするのよ?」
「美しく?」
その言葉には全員が首を持ち上げる。
「男に惚れられて女は輝くのよ、体がだらしないと…。もてるはずの殿方に…いや夫に嫌われるわよ?」
それが、狂乱のサマーフェスティバルの開催の合図だった。




