7-外伝1 ネル様の優雅な一日 朝の巡回
今回は勇者たちが住む場所を探す中…ネルとペーリは新しくできた”大聖堂”に来ていた.その前には街も見学していた。後で聞いたら、ナオが基礎を作り、南がちょっとだけ手を加えた、事実上ナオが作った街”リンシュメルト”中世ファンタジーを体現すべく作られたこの街は王都並みの頑丈さと、実は”聖”効果で建物すべてに”対魔素”の効果が付いていた。これはあとで、ヨミ含め魔王城のメンツ全員で検証した結果だった。エレノアが腕力使ってぎりぎり破壊でき、その上、ダンジョン扱いなので、不壊設定が入る。で、南が直したいと思えば即復活…。というモンスターやゴースト系には極悪仕様の都市、それが”リンシュメルト”だった。聖王国という名まで国家であり、今は南の領域となっている、森や自然も多く、エルフやダンマス又は基本手入れ以外でのダンジョンの必要以外の破壊は禁じられており、誰に対しても優しい土地となっている。その都市の目玉となる”大学校”、”王城””2つのダンジョン”そしてこの”大聖堂”である。そのメインである講堂に飾られていたのは1対となった一つは巨大な、植物を持つエルフの少女の像そしてもう一つは白いケープを付け、輝く後光を背に負った聖女の姿だった。
「これが…新しい職場ですか。」
「ペーリの役割重要。ここで神殿の管理及び”聖女教の管理となる。”後信仰のパンフレットも作る。選んでもらって、信仰を付けてもらい、アコライトになれるようにする。」
新職業が出回ることはすなわち、世界が進化することを意味した。当然傷や怪我の直る”アコライト”は重要職業だと自分でも思った。
「当然、私たちも。」
「うん、教徒になって貰う。そして…。」
「我ら、ネル様こそ最強だと…。わたくしたちの聖典ファイルが火を噴きますわ!」
「そんなものあったんだ。」
「ご安心ください!ちゃんとファイルにして253巻分あります!最新技術の”紙”でちゃんと、ちゃんと教えて差し上げます。」
「そんなに読むと苦行。」
流石にネルは呆れた顔で、教会の周囲を見ていた。地球で言うキリスト教系の配置で聖堂、シンボル、そして脇に小部屋と後、居住区もある、
「但しここは、南の領域。だから基本の仕事は南と折衝。そして人助け。エルシュウッドでも私が神社作る。」
「分かりました。ミヤックたちは?」
「教徒を増やすために新大陸開拓の視察で、新大陸に送る。で数人、下のエルフたちから見繕ってこっちに来てもらう、こっちになじめるのかテストしたい。」
魔界の隠語で通称”下”である。が実際エルフ移民計画として、徐々にエルシュウッドから森の奥からの移民のふりをして、魔界から来た高スペックエルフたちを徐々に、徐々に出すまでならという許可をもらったのだ、本体は強制命令でナオ捜索も考えた頃もあった。がエレノアの分裂を期待して、そっちに舵を切ったのだ。
「確かに新規開拓の人員が足りませんものね。」
「不安症のネーリィは愚痴っていたけど、下は神殿が勝手に生成されたので、祈れるとは言ってたんだけど、今度の魔界改築で、どうにか人員は確保。だからエルフの職員手配。」
「できれば、司祭も多くご配分ください。」
「分かった、誘ってみる。」
この…お互いの共存こそ、ネルたちへの忠誠の秘密だった。ネルは命令権をほぼ行使せず、一人一人の意見を地道に聞いて回るのだ。
「あと教授捜索の方を裏で、ギルドに入れておく、見たら教えて。」
「了解いたしました。」
「じゃ。」
ネルの一日はダンマスの出入り口テレポートを使い、各地の巡回をすることが日課である。その中でも多いのが上のワークギルド本部と、ここ、下の冒険者ギルド本部である。
「ネル様。如何なされました?」
パリムの柔らかい声が響く。男でありながら、女性に勘違いされる細身のエルフである。前はカラムの下で、副ギルドマスターをしていたが、実務、会計担当であり、うでは確かである。
「とりあえず、下に話付けてきた。数人、今は本部付きの連中に研修させてる。普通のエルフの子。」
「ありがとうございます。」
パリムは一礼する。
「後…こっちにダンジョンに移ったエルフの子たちを順次、開放する予定。村の建物はこっちで作るけど、基本は森林と農耕、あと果実。」
「こっちは流通を入れておきます。けど…。ユー様をこちらに持ってきてよかったんです?」
「それが、ナオに聞いた。どうもあのままだと、規定違反入って消去されかねなかったらしい。なので、無理やり移した。しかも今、魔界狭くなったから。仕方ないという判断。」
「確か今は南様のダンジョンの。」
「そう、今は南のダンジョンでDP稼いでる、けど私はナオと一緒に入れるだけで後悔していない。」
「ずっと焦がれてましたからね。」
「後はみんなの結婚とか待ち。」
「今の忙しさが…もう少し一段落ついてから、私は考えさせてください。今は下のギルドも上のギルドもこっちが最終決済行っているので忙しいのですよ。」
「分かってる。」
現在のギルドは下が狭くなったことにより、本部機能をこのエルフの里から王都に移し、向こうは向こうで決済してもらうのだが、最終はこっちで行い、支援要請に応じて、ハイエルフ部隊
を送ることで協約を結んだのだ。それに伴い、人員が足りない上に全人員を投入した。後危険地帯が少し下で減ったので、地上を守るだけなら、何とかなるようになったのだ。その辺が欲しい
時はハーリスたちが何とかするだろうという事になっている。
「でもまあ…結局、我らのトップも変わらなければ。」
「一応、会議に南が来る。」
「…ですよね、そこが問題です。ギルド本部である我々の管轄はネル様がトップなのですが国の折衝がつらい感じですね。」
「大丈夫、私が行く。」
ただ現在南はギルドに口を出さない方針なのを、お互い約束してある。というのも、南はナオの関係者として係わったらしく、ナオの事を承知しているのだ。だから、ナオの利権という話をしたら一発で引いてもらえた。
「ただ、これらの出口戦略として、最終的に各地の国家単位でのギルドマスターをダンマス一人に決めて、そこを統括する考えもあるみたい。そうなったら私の方でみんなを拾う予定。ただ…。」
「ネル様は優しすぎます。私たちを駒として、切り捨てて構いません。」
「それはない。そんな事するためにみんなは産まれていない。」
ネルは優しく首を横に振る。




