7ー21 ・・・としてよりも、私は
「みんな!ひどい!」
ネルは泣きながら全員を見つめる。全員がばつの悪い顔をしていた。
「私としては、魔王軍の理念からして、ナオ君は絶対のOKが出るはずよ。」
「ネルさん…。」
「ナオの魔王城…!」
「分かってる、今現在その魔王城の機能さえもう機能していないじゃない。」
そう、聖女の”勇者解放令”に基づき勇者たちが技ロ度所属の自由業になった為、今度は魔王城に挑むものがいなくなったのだ。命を賭して”願い”をかなえようとするものがいなくなったのだ。
そして言えなかった。クラウドドラゴンがが本来”ギルド”との戦争で投入予定があって、下見までした後だったことを。そしてその中身まで南は聞いていた。それに勝つのがどれだけ辛いかを。
「鬼ちゃんも暇で、できれば何とかしてあげたいんです。で、この話が本当なら、そっちに力を入れたほうが…。これには暇な勇者たちも歓迎してくれそうですし。」
「分かるけど…わかるけど…!」
「リューネはどうよ?」
南もさすがにネルから顔をそむけた。
「私はナオ探しがメインだからね。ただ意見としては分からなくもない。ただ、その意見を通すなら私は魔王軍を抜ける。」
「リューネ。」
「ナオがいない、そんな場所に本来意味はない。私にとってはね。だからこそ去る。ナオの居場所がないなら、私にここは意味ないのよ。」
「リューネも落ち着きましょ。…そうね、少し時間を置きましょ。冷静になってからもう一回聞く。いいわね…ナオ君がいないならッテわかるけど短絡的すぎよ。」
「分かった、少し席を外すよ。」
「ネルさん…失礼します。」
リーメもみんな去っていった。その場でネルは崩れた。
「何で、なんで、なんで、こうなる。みんな、ナオは嫌いの?」
そのまま、会議場にはネルの嗚咽がしばらく響くのだった。そして落ち着いたとき・・・ふと思いだした、あの男の言った”知り合いからの手紙”である。少し泣きつかれ、震える手で開けると。
『ヨミより。地下室で聞いたのは”魔王軍をやめて、リンシュメルトのNEO雑貨店に向かえ。その時ナオの居場所が分かる。私はこれでたどり着いた。”』
…。じっと、しばらくその手紙を見る、確かにヨミの字だ。確かにヨミだ、これ。なんであいつがこんなものを持ってる?でもこれ…本当なら魔王軍を抜けないといけない。…なんだ、なんなんだ
もう道があるじゃないか…。がどうする?…あれをやるか…私はすべてを捨てる…。
「どう?、落ち着いた。」
「南…。」
ネルの顔はむくれ、涙の後が頬にあった。
「ネルさん…。」
「お願いがある、私を魔王軍からやめさせてほしい。私もナオを探しに行く、エレノアを見つけに行く。」
「それは本気なの?」
「私はナオに命を救われた。文字通り救われた。だからこそ、あの人のもとに行きたい、けどみんなの言う事もわかる、だから私が引いて事を収める。」
「…それなら私もやめるわ。ネルもいい子よ。それをここまでさせるなら、あの同盟に私は意味はないと思ってる。」
「リューネ。」
「で、でもエルフとダンジョンはどうするんです?」
「それは昔ナオに手順聞いてる。最悪の手段として私が逃げるための道。一時的だけど、今まである初心者ダンジョンは全部引き上げる。で、私は南に従属する。そして、そのまま追放される、
そうすることで部下とダンジョンが南に渡る、これの前にこっちでコア経由で演説する。部下を引き売れてくれる?二人とも。」
「分かった、そこまでの決意があるなら引き受ける、ただし枠は買い付けした後で2名。サブマスター指定する。それでいい?ダンジョンはネルがサブマスになった後、こっちにフロア移設。」
「分かった、感謝する、エルフの族長としてよりも、私は”ナオ”と一緒でありたい。」
「ただし、本人の了解を得るわ、それでもし、私のダンジョンにいたくないというなら、それは止めないからね。」
「ありがとう。」
「ネルさん、考え直しませんか?ネルさんと僕、一緒にいたいです。」
「ううん、リーメ。私は…。愛する人といたい。それはリューネでも一緒。だから、すまない。」
ネルは深々とお辞儀をした。
「分かりました。ネルさん…ありがとうございました。」
「最後の仕事してくる。ちゃんとナオに顔向けできるようにしてくる、そして。」
「分かってます、私たちで主導権を取ります。あのドワーフたちにナオの住処なんて全部あらさせるもんですか。」
「南さん。」
「行くよ、リーメ君。頼りにしてる。」
「はい!」
そのリーメ達の言葉はネルにとって心強いものだった。




