29-197 N&D1・山奥ダンジョン奮闘記 電波はなくとも配信はできる
掃除が終わって、家に戻る。
「茶、飲みたいでしょ?」
「貰う…あれか。」
映像用の…今度は何か歩いている少年が一人。そしてその後ろには何か、棒が追走している。覗いてみると、お孫さんがいくつか確認している。
「やっほい。」
「お姉さん。」
「それは?」
「前に通販サイトで買ってきた。追走式カメラスタンドです。」
「それってTDXの?」
「そうです。」
一応ダンジョンが公表されて以来、数多くの会社が商品開発に注力するようになった。企業向けの高級防具シリーズ。スポーツグッズメーカーが作るダンジョンコンパクトウェポンシリーズなどだ。その中でTDXは土木用建築機器大手3社が合弁会社を組んで作ったダンジョン用ポータータンクの開発専門会社だ。と言っても、撮影して検索かけて今説明見てるんだけどね。わがダンジョン研究所は専攻は取っているものの、やはり企業規模的には私達はベンチャーと言っていい。んで・・・ポータータンクは武器や盾を両手に装備する人向けに荷物を運ぶ専用の…地上小型運搬用ドローンだ。システムは簡単でスマホに登録するとその少し後ろを追従するように歩くと言う物だ。ゴム製キャタピラで段差も…傾斜45度までの階段なら上り下りできる有能な物で運搬重量も150㎏と、人も乗れる。ただし軽い時はともかく帰りは消費電力も多くナップに交換用専門電池を入れていないと・・逆に荷物がかさばるという欠点もある。今の所日帰りなら使わないというのが定説だ。なので、このタンクは…150万円の高額の割に人気はない、評価も2。9と低い。ただし今後日帰りを超える長さになれば日の目を見そうだけど。
「改造したんだ。」
「ほら、スマホで撮影だと安定しないし…それに家族も人気出てきて母さんとか写せっていう…と言ってもマスクはするけどね。」
と言ってどこぞかのパーティグッズ的な幕巣をひらひらさせる。
「動画売れ行きいいの?」
「特定されないように工夫してるけど、なんかすごい…騒ぎになってるみたい。」
「そうなんだ。で、今から?」
「うん、新フロア作って新しい敵を作ったってさ。」
「なにそれ?」
「スケルトンだっけかな?なんか小さい骨のお化け。臭いは凄い注意して作ったって。」
「作るんだ。」
「で、武器とかほしいし」」
「それ高くない?」
「これさ、楢原さんが作ってできたんだぜ。」
一緒の楢原が呆れていた。
「一応な、ギルドは今…結構このグッズの評価試験とかそういうのの為にダンジョン探してるんだろ。安曇野の解放が終われば。」
「そんな事になってたんだ。」
「今、ダンジョンは小説通りなら強力な都市鉱山として見られてる。ただし…閉鎖できないけどな。」
「まあね。」
「ガチャダンジョンはそういう意味でも人気あるし、アニメキャラが歩いてくるから、怖いっていう意味でも色々ね。」
「一緒にはいけないけど、調査したほうがいい?」
そういう新エリアなら私も行ってみたい。
「いや、取れ高込みで、先ず初見だけ撮影しちゃう。それが終わった後ならいいよ。」
「分かった、後で行くわ。」
新しい敵か…。人型なら…楽かもしれん。




