29-194 N&D1・山奥ダンジョン奮闘記 山奥で基地を作るために
それから数日の暇が終わって、次の依頼が来た。それはダンジョンに前衛基地を作るための設備機器開発だ。社長が数人の部下を連れて…部下の方はダンジョン内の研究所に入っていった。そして門番的な私と社長が入り口の”休憩室”で離してるわけだ。
「設営…ですか?」
自宅でようやくつないだ光回線を使って向こうの担当者と交渉していた。こっちにダンジョン研究所(株)の拠点を設置して、ダンジョン庁からの依頼を受けることになった。そう…秩父問題でダンジョン内に脅威がある場合があると分かってそこを自衛隊で侵攻することが決まった。がここからが問題だった。
ダンジョンの特性的に謎の現象で道具が消失する事までは分かった。こっちは理由を聞いているし、回避条件も知っている。が…それは秘密だ。そして…。もう一つは出入り口に配線とかを付けることは出来ない。出入り口のドアはくさびで固定すれば開放したままにできるけど、入り口の境界線に一定時間者を置くとそれが弾かれるか…又は切断されることが分かった。で、この回避法の依頼を各大学と一部一般企業に委託する事になった。その一部が今やダンジョン関連産業に経営をシフトしているわが社である。
「でだ、君たちの方からも…様々な方法を投稿して欲しい。そして…解決法を見つけてプレゼンして欲しい。」
「分かりました。」
とても嫌な気分だ。
「会社はダンジョン研究所になり…。それに伴い、不自然にならん程度に、そっちにSEと研究者を回す。今回はプレゼンにはSEの大塚と、一だ。」
社長が来て…言ってくれるのはいいだ。
「後、用地関連も地主と調整中だ。こっちがかなり持ち出すが、予算が下り次第ギルドと国から降りるからな。」
「あのダンジョンは…。」
うちの隣にある、公開用ダンジョンだ。
「今しばらくは公開できん。そして、工事は大方必要設備と建物を急ピッチで仕上げても五か月はかかる。そして。昨日の話だとガチャダンジョンには内閣府特別チームが来るそうだ。」
「内閣府?」
「ああ、ダンジョンが好景気と観光に使えると判断して…ギルドの立ち位置が…いずれ変更される。」
「こっちもギルドの下請けですけど…孫請けですか?」
「ひ孫だな。」
孫請け、曾孫請けというのは孫請けが、施工主ー中間業者1-中間業者2-私達、で非孫請けは、中間業者の数が三つになったものを言う。但しその一段階毎に手数料が取られて、仕事の旨味がまずくなる。うちの会社は”ギルド―うち”となっているのが、国が挟まり”国―○○庁ーギルド―ダンジョン研究所”となるという意味である。
「ギルドとも交渉しているが、国が特別法案を盾に言ってると、」
で…政府が絡むからどこがギルドを直轄に置くか…固まるまでは内閣府直轄組織に再編される。らしい…。
「独占禁止の口の根が乾かないうちに…ですよね?」
「今回の秩父の件で責任を取るって奴が問題で直轄を求める官僚が減ったんだよ。で、そこの息がかかった大学の連中がここを狙ってる。こっちが隠しでダンジョンを持っているのが公然の秘密になっていると…姉ちゃんの所に数人接触して来たそうだ。」
「軽いものですね。」
「しゃべることで、味方を増やせるんなら…あいつらはいくらでも使う、分かっていたことだ。で…こっちがしばらく親会社という事で盾になるつもりだ。」
「…こっちは親会社の許可が欲しい…ですって事ですね。」
「で、…機械開発の二人を回す。」
化学物質の会社にSEと思うと不思議に思うかもしれないが、研究者扱いで特に科学の知識を持って、手順通りの工程を踏む機械の図面を轢ける人間が欲しいという事で研究員の一人がスカウトしてきた人だ。あの二人は苦手なんだ。
「で、下請けのこっちの地位も…今は…数多くの会社が狙ってる。ここ数日で一気に増えた感じだ。」
「それでコンベ。」
「そういう事だ。後…これだ。」
社長が見せたのはSNSの#ダンジョンで欲しいものはこれだ、というタグの書き込みだった。




