29-187 N&D秋 変態に離れてる
次の日も、信二はダンジョンに潜ってモンスターを倒していた。ガチャダンジョン紹介するから帰るかと言いたかったが、あれはまだ秘密だ。知っていても…職場に弟連れて行って碌な事は絶対にない。というわけで。
「暇つぶしな場所知りません?」
「宮崎行って地鶏と八女茶は?」
「それは昨日行きました。」
「そうなるとあれですか。そこの山の上にダンジョン向けに作られた武器工房があるんですけど行ってみます?」
「…まあ、弟がレベリング中ですんでねぇ…行ってきますよ。」
「あそこは変人が多いですからね。」
「いわれんでも慣れてますよ。」
武器工房”土佐金時”それが名前だった。意味は分からん。別府の温泉から離れると…郊外と言っていい場所に工房はあった。見た感じはぼろい屋根と…さびたトタンの壁。そういう感じだ。一応看板もあるし、入っていくと。そこでは木工所の削る音が聞こえてきた。中を見た感図数人というより10人ほどか、その職人がそれぞれ木と鉄かな。それに向き合って、何かを削っている。匂いはあれだ。大沢さんの加工所にも…リサイクル工場にも似た油と木の匂いだ。
「お客さん、何してる?」
向こうから…額にタオルを巻いた…成年だろうな、そいつがやってきた。
「ここが武器屋と聞いてきたんよ。」
私は名刺を差し出す。
「これは…会社の社長さん?」
「一応冒険者でもある。んで、武器やと聞いて興味持って来たけど、下のバットはここ?」
「ああ、ここで量産したバットだが、ここの基本は全部受注生産だ。」
「一から説明して、というか下で弟がレベルアップ中でね、邪魔したくなくて時間潰してるんだわ。」
「そういう見学者も多くてね。とはいえ冒険者がその要件で来るのは初めてだわ。事務所で。」
「分かったわ。」
というか、意外と手慣れてるな、この工房。




