29-180 N&D秋 特殊な家とかの設定は無い
家は普通に2階建ての、小さい一軒家だ。というか相馬ケミカルも郊外なので、離れがある、なおか―ちゃんと父ちゃんは普通に農家で、あたしは会社員なわけだ。
「ただいまー。カーちゃん」
「おかえり。」
(作者注:本来はこの家の中の会話は全てきつめの高知弁なのですが、それだと文が分かりづらいので、標準語で書きます。)
「どうしたの?メールあったけどさ。」
「唐突な休み、後これ。」
「あ、芳香。ちゃんと高林さんにお礼は行った?」
「あー。うん。炒っておいたし、手伝ってるよ。ちゃんと。」
そう言ってテーブルの上に、最後のお土産である。段ボールごと置く。中身は野菜だ。
「今は野菜も高いし…ありがたいこったで、お米もって、なんか時期おかしくない?」
「知らんし。」
いやマジで怖いんだけどカーちゃん。
「まあいいわ。ありがたいこと有り難い。父ちゃんも心配してたよ。メールであいさつすマスとか。」
「仕方ないでしょ。仕事でいないといけんかったんだから。」
「時々電話するのはありがたいけど…もう少しね。」
「会社勤めだからね。仕方ない。」
そういうと私は定位置に座り、スマホを弄る。戸々では電波が通じる喜びである。この3年で友達も随分…減った。山奥赴任だから会えないからね。
「明日はどうするの?」
「ああ、なじみまわって…後は寝てる。」
「ああ、信二が言ってたよ。ねーちゃん連れてダンジョン行きたいって。」
一瞬拭きそうになった。なにも含む直前で、酒を注ぐ途中でよかった。いや…。
「どこの?」
「いやさ、最近はやりなんだって、ダンジョンとかいうのが、私全然わからんけど。」
「流行りっちゃあ、流行りだね。この辺にはないけど。」
「それで行きたいって、免許もって暇なのあんただけでしょ。」
「まあ、まとめて有給取るからね。」
「んで、自分も冒険者デビューってやりたいってさ。」
「あほか。」
「いや、真剣に脱サラするかもしれんとか言ってた。」
「脱サラもくそもサラもしとらん。」
あの子は高知大学3年生だ。私の弟で、私は高校卒業してケミカル入ったけど。
「そう言えばあんた、社長だってね、有給とかどうなっとるんよ。」
「一応社長の話が来た時に有給は使い切ってからがいいって。40日余らしてるから適当に消化してから新会社の社長。それまで派遣業って事。」
「いいの?」
「相馬社長がいいって言ってるからいいの。前も一応席は入れていたしね。」
「あんたでも社長化、成長したねぇ…。」
「いんや、ペーペーカンパニーだからね。」
「相馬社長にも感謝しときなさい。」
「父ちゃんは?」
「ああ、農作業の手入れ終わったらこっち来るって。」
一応言っておくと実家は農家でもある。だからか会社勤めには意外と無知なところがあるんだけどね。




