29-176 N&D秋 ダンジョンは生えている。今でもだ。
「まあね、京都周辺とかもあるからね。あの辺は期待してない。」
実際ダンジョンは向島が浅草に移ってから…しばらくダンジョンは増えていた。調査した4ダンジョン以外にも12ダンジョンは確認され、その多くは市街地の適度な位置にあるので、そういう意味でもギルドはそのどの土地も…政府から借金してその周辺土地をすべて購入しダンジョン出入り口とギルドを建築した。そういう意味でも…ダンジョンという新種の鉱山は各方面にショックを与えていた。特に東京には6つダンジョンが出来ていた。浅草以外にも北新宿ダンジョンや八王子ビルダンジョンなど…変わったダンジョンも多く見られた。ただ、発見が即SNSでの報告公開されてしまい…自衛隊突入がふさがれているのも事実だ。そのダンマスが交渉可能で。しかも言語が致命的に話せない事実を知っているのは。私達だけというわけだ。、
「でも今後これはありうるのか?」
「きついでしょうな。」
「どうしてかな?」
「まずこれを出されて運ぶ奴はいますかね?」
「…確かにそうだな。」
「昔の墾田法もあります。無理でしょうな。」
墾田資材永年法というのは江戸の中期に農地を与える政策で、悔恨に成功すればその土地の所有権を開拓した本人にすると言う物だ。ただし、その多くは山奥であり自宅から距離があり過ぎて…それが新たな困難を生み出したのは事実だ。ダンジョンに農産物が出来て、それが採取できたとして…近い箇所なら持って帰るだろうが…それより価値のある物が出て来るなら…当然廃棄の対象になるし…難しい。
「社長が頭抱えてるぞ、知恵熱でないか?」
「こいつはこんなもんですよ。いつも。」
流石にここは場所が場所なので、抗議の目線だけ送っておく。
「という事は私達だけの楽しみという事か。これは。」
「そういう事です。」
私には越後屋と悪代官の会話にしか見えん。
「いや、お前が首謀者だからな。そこで、ぼーっと見てるな。」
時美さんはそれこそさっき私がやった表情みたいにこっちを見てくる。
「そうなんですか?」
「そういうことになってる、諦めろ。」
「…それは心外ですが…。」
「まあ、様子を見て…後で報告入れておく、ありがとな。」
「は、はい。では。」
そういうと二人は…事務所を出て行った。こういう付け届けが…営業では大事らしい。気の許せる友達だからという事らしい。それにあれはダンジョンで取れた野菜だ。ダンジョン関連という事もあったからね。




