29-174 N&D秋 酷道から高知の市街って遠いんだよ
その次の日になんか段ボール一杯の料理を車に詰め込み、楢原を連れて…報告を兼ねた…買い出しに行くことにした。後はレポートとかは、私達はあえてアナログに口伝とか、紙のレポートを使っている。私達の仕事は主に企業秘密とかを売る仕事なので、こういう山奥の研究所に近い場所を本来は開発拠点として買うつもりだったと聞いていた。だけど…社員の多くに反対されて、リサイクル工場として再利用もしていたらしい。ただ、それも社長の未練っぽく感じるけど。
「なんか憂鬱じゃねぇか。」
「暑いの。」
「冷房はかけてあるぞ。」
「ほんとに、女の機微とか」
「そんなの気にして生きてたら、交渉は出来んし、話せんくなるぞ。」
「そういう所だって。」
「知るか。とはいえ…本当に怖いんだから…な。」
実際道中は次の人家が見えるまでは山間部の小道を走る感覚だ。変に台風とか来た場合。道路は一発で通行止になる。そういう恐怖もあるし、何しろ結構道幅もギリギリ。怖いったらありゃしない。一応ダンジョンの往復便とか…甘い考えていないのはこの道路が100%だ。それ位乗れる車も全部制限する。それもあったから…あのダンジョンにピストン瓶なんて考えなかった。いずれはなりそうだけど、整備計画にかける金は剣にあるかも怪しいし、そこまでの価値がダンジョンにあるかはいまだに謎だ。ついでに私達で道路を広げらえるのは私道と私有地の範囲だけだ。なので酷道は無理である。管轄が国だからね。
「とはいえ…あのダンジョンに関わるようになってココ往復するんだぞ。本気で。」
「それは思ってる、出張でここ通るだけで気が狂いそうになる。ガチで。」
「交代するとか…やめた、そんな道路の幅ねぇよ。」
そしてしばらく走ると…一車線の道に到着する。そこで二人とも深いため息をしてしまう。それ位…ここが緊張するんだ。対向車が来ないかお祈りしながら運転してる。待避所はあるんだけど、そこまでバックで戻らないといけないからね。そして、しばらく走ると、ぽつぽつ家のあるエリアに来る。この町が…私達のいつも買いに来る町だ。なんだが、今回は本社に行くから、ここからが長い。ここまで、高知市まで向かう必要がある。そこに相場ケミカルの本社があるからだ。
「途中球形で・・・コンビニ寄るか。」
「あいよ。」
楢原は慣れているとはいえ…私は3時間以上の運転とかできんよ。




