29-173 N&D秋 おすす分けで酒を飲み、分けた先で酒を飲むぞ
そこは高林兄の家のすぐそばにあった。木々に囲まれた…それなりにある手水口。蛇口も着けていあり、そこで手を洗い…階段を上がる。ただそこは…神聖な感じのするエリアだ。と言っていい。私はそこまで神聖なものを感じたこともないが…そこは綺麗に思えた。そして、一応15円を入れた。なんとなくだ。そしてお決まりの2礼2拍1礼をして帰っていく。ただその時、一瞬だけ視線を感じた…気がした。
「それはありがとうございます。」
戻って来ると、感謝されるとは思わなかった。
「御在神は何ですか?」
「戦の3女神の一柱、戦巫女様ですな。」
結構メジャーな神様で、各地に神社がある。ただ…。
「珍しいですね、こんな田舎に?」
「こういう場所では落人も多く、その為、生かしてくれた戦神に感謝するという風習が多いんですよ。」
確かにこの辺は平家の落人の伝説とか子孫も多い。
「って事高林さんは?」
「それは分かりませんというか、先祖代々の墓もありますが…結構当時の記録もやぶさかでなくと言った感じです。」
いろいろありそうだが、これ以上は踏み込まれたくないんだろう。辞めておこう。
「そうですか。」
「そうだ、これだけ秋の物があるなら…今から調理しますので…色々お世話になった方々に持って行ってもらえませんか?」
おばあちゃんたちが微笑み…確かにそうだな。
「でしたらお願いできますか?報告も一緒に行くので。」
「報告ですか?」
「本来の相場リサイクル時代には一か月に一度、電話線も面倒なので、都会に買い出しに行くついでに本社に報告書もっていきまして。」
「そうなんですか。」
「まあ、色々一緒にやらないとガソリンももったないですからね。で、そういえば最近が激動で…こっちに移転する話もあります。打ち合わせ行ってきますよ。」
「じゃあ、明日でいいですか、あそこは男所帯でしょ?」
「はい。」
私ともう一人のお局様以外は全員男性と言いたいが…研究員も3名だけ女性がいる。理系女子が田舎では就職にならず、才能を惜しんだ社長が雇った子が3人ほどいる。ただし性格はほぼ男で、ファッションとか一切しない。匂いだけが女性とか皮肉を言われるぐらい、性格もやることも3人は男性だが性別だけは女性だ。
「でしたら、ちょっと簡単な物を作っておきますよ。結構ありましたからね。」
「じゃあ…お願いします。私の料理は大雑把でして。」
「はいはい。」
ここはご相伴にあずかることにした。煮物とか全然苦手で、カップラーメンと炒め物しかできない私はズボラ系と言っていい。野菜炒めるか、サラダかである。その為私の自宅の横にある畑とか…基本使ってないという田舎の無駄遣いである。、
「じゃ、行きますね。」
「後、料理もってそっちに行きますからね。」
「はい。いつもありがとうございます。」
実は大沢さんとか‥‥三木原さんたち研究員も料理は出来ず、備蓄は基本冷凍食品かカップラーメンだ。私もめんどいし、前の社長も、あいつも…料理は出来んかった。というは私達田舎に不向きすぎねぇ?
「じゃ、お父さんたちも手伝って。」
「うーん…、分かったよ。」
しぶしぶ動く兄弟たちは…オシドリ夫婦買って自分も思えていた。




